【R18】傾国の罪人【完】

くじらいたか

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四話

「ア゛、ア゛、あぅぅッ」

 美しい顔が天を仰ぎ、苦悶に歪む。
 赤黒い肉槍が、余す事なく真っ白な尻へと飲み込まれた。

「く……ッ、なんて穴だ。わしの魔羅を喰い千切るつもりか?」

 役人はぐいと轡の結び目を引き、腰を一層突き上げた。
 男の瞳は虚ろに翳り、既に気を失っているようだった。
 体の芯の抜けても尚、轡と手枷を手綱のように引かれ、倒れ込むことすら許されない。

「しかと足を開かんか! これしきで気を遣っていたら、仕置人ならんぞ!」

 役人は目を爛々とさせ、男の首を押さえつけ水桶に沈める。
 そうして気を取り戻せば犯し、気を失えば水責めをする。
 まさに生き地獄だが、見る者にはなんとも極楽浄土の景色であった。

「なんと……わしの魔羅がかように滾るは、何十年ぶりか」

 まるで天女の戯れでも覗き見たようであり、皆、男の色香にあてられ、次々と果てていく。
 罪人はただただ、水責めをされ、むごい尻責めを受けているに過ぎない。
 だが、群衆の目には、水責めで濡れた肌から雫が玉石のように飛び散り。
 尻責めで仰け反る胸には、かぐわしい桃色の蕾が膨らみ、見る者全てを誘惑するかに見えていた。
 男が責めを受けるごとに、人々は理性を失い、淫獄へと堕ちていくのであった。

「ウッ、ぅ……っ、ぁン……ッ」
「どうした? 善がりおって、もう男の味を覚えたか」

 役人もまた、色香にあてられ腰が止まらなかった。
 男のはらわたは灼けるように熱く、蛇の如く締め付けてきた。
 かと思えば、海鼠ナマコのように柔らかくなり、奥へと飲み込もうとしてくるのである。

「まこと極上の穴だ……肌も吸い付き……たまらんな」
「ハァ、ウッ、はぁ……アウッ」

 お役目とも忘れ、胸を揉み上げ、頬に首にとしゃぶりつく役人。
 そうして体を揺らされると、罪人の股の一物がプルプルと跳ねる。
 淫靡な姿を目の当たりにした小役人も当然、男の色香にあてらる。
 地獄の底に咲く、健気な一輪の花に誘われるように、ついにはその雄蕊おしべを口に咥えていた。

「ンーッ、んんっ」

 前から後ろからと責め立てられ、罪人は苦悶のままに喘いだ。

 ちゅこ、チュパ、ぢゅ、ジュボ、ぢゅぅぅ
 パン、パン、パンッ、パン、パン、ググゥ

 お白洲からは、淫らな音が絶え間なく響いた。
 男の怒張がしゃぶり立てられ、若い尻肉が弾かれる音。
 見物人もついぞ堪らず、男女なく連れ立ち、茂みへと消えていく。

「けしからん尻穴だ。きつく咥え込みおって……わしの魔羅が、そんなに気に入ったか?」
「ンッ、ンッ、ン……ッ」  

 腕を後ろに引かれ、体の自由を奪われた男は、蹂躙を受け入れる他なかった。
 更に律動も早まり、仕置人の果ても近いようである。

「ンーッ、ンン~~ッ」

 朦朧としながらも頭を振りかぶり、声にならぬ声で必死に拒み続けた。
 けれど前からの責めには、グッと轡を噛み締め、耐え凌ぐのみ。
 だが、その刹那に——小役人が恍惚の表情を浮かべ、男の表情をじっくりと見上げていた。
 暫く味わうように舌を転がし、コク、コク……と嚥下し、上下する喉仏。
 それを見てとり、再び醜男の口で、美しい罪人が果てた事を悟るのだった。
 そして追い討ちを掛けるように、仕置人が雄叫びをあげ、膝が浮くほど臓腑を穿ち始めた。

「うおぉ……ッ、出すぞッ、しっかり己の罪を、罰を、奥で受け止めよ!」
「ンーッ、ンッ、ンッ、ゥウ——……!」

 役人が咆哮し、一際、ズンッと、男の尻に一物を捩じ込んだ。
 するとしばし、固く閉じられていた男の目が見開く。
 どうやら身の内に注がれていくものの違和を、腸の奥で感じ取ったようである。

 ドクンッ……トクッ、トクッ、ドク……

 無理矢理に奪われ、突き入れられ。
 望まぬ男の性器が体内で脈動し、腸にジワリと子種を染み込ませていく。
 耐え難い悲しみが押し寄せ、見開かれた瞳はすぐにまた潤み、大粒の涙をハラハラと零すのであった。

「ウッ、フゥ……。んっ……くっ」

 一方で、余程の快楽なのか。未だ腰を打ち付け、精を放つ悪癖の役人。
 ようやく最後の一滴まで搾りきり、男の尻穴から黒光りしたものが引き抜かれた。 

 ぬ、ぽ……

 空いた穴からは、役人が注いだ子種がトロリと零れ落ちる。
 開き切ったままの罪人の菊門を、グイと持ち上げ群衆の前に晒し上げた。

「おお……」

 感嘆の声を漏らす人々の前で、溢れ出た己の子種を、野太い指で掬い取る。
 そしてその指を、頭上高く天に掲げ、

「百~!」

 誇らしげに、声高らかにして責めの数を、堂々宣言するのであった。

 ドォ~ン、ドォ~ン

 銅鑼の音が、秋晴れの空高く。さらには城下までも響き渡っていった。


「見事なお裁きだったねぇ」 
「これで錦屋の大旦那様の気が晴れるといいさね」
   
 観劇でも終えたように、群衆は一同に、晴れやかな顔をしていた。
 裁きを下したのはお役人であれど、ここに集った者全てに、無実の男は犯されたも同然であった。

「本日のお白洲、これにてお開き、お開きなり~」   

 立札も引き抜かれ、ようやく轡と手枷を外される。
 目を真っ赤に腫らしながら、脱がされた着物を引き寄せる。

 無実の罪とはいえ、ようやく沙汰を終えたのだ——

 そう己を慰め、水桶に浸した手拭いで尻を拭っていた、その時。

「——ええい、道を開けよ。御上からの新たな沙汰を申し付ける!」

 群衆を掻き分け、立派な紋付袴の役人が現れた。
 そして引き連れてきた岡っ引き連中が、新たな立札をお白州に打ち付ける。
 群衆がどよめく中、新たな役人は御上の書状を読み上げた。

「右のもの、市中を騒がせた罪で、新たに百責めの刑を申し渡す。仕置を望むものは、以下の金子、又は相当する資産を奉行所に持って参上せよ」

 新たな立札には、手・口・胸、脇・尻、と。
 それぞれの金子きんすの目安が書かかれている。

「どういうことだ?」
「金を用意すれば、あの男とまぐわえるって話じゃないのかい?」
「こりゃ大変だ……番頭にすぐに金子を用意させておくれよ」
「くそぅ、カカァの着物を売っても足りやしねえ」

 つまり御上は、この美しい傾国の罪人を利用して、一儲けしようという魂胆である。
 市中のみならず、近隣諸国にまで御触れが伝わり、民は沸きに沸いた。
 金策に走る者で、押し合いへし合いの大騒動。
 呆然としているのは、刑を終えたはずの男だけである。
 市中を騒がせた罪で、傾国の美男は、再び捕らえられた。
 ゴザは豪華な絹地の真綿布団に様変わりし、汚れた肌は隅々まで磨かれ、拷問の跡には粉まではたかれていく。

 こうして無実の男は、客取りの公娼のようにばくに就くのであった。
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