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五話
◇
「歯を立てるな!見目の他はとんだおぼこだな」
「カハッ。ハァ……ハァ……もう、堪忍、して下さい——あうぅッ」
「あー……尻は締まるッ」
境内では狂宴が続いていた。
もう何度目の責めなのか——
銅鑼は責めの始終を告げるのみ。
男の肢体には絶えず淫獣が群がっていた。
「ここの窄まり、ちんぽに喰いついて堪んねえなあ。生娘より具合がいいよ」
「おい、早く代われ!」
娼館の旦那衆が、休む事なく男を輪姦していた。
一人が背後から足を抱えて開かせ、もう一人が穴に捩じ込む。
両手にも蒸れた魔羅を握らせ、交互に口を犯す。
男は喘く暇すら与えられず、体を蹂躙されて続けた。
そんな地獄の沙汰の最中にも、世間はお祭り騒ぎなのであった。
「東西東西~!」
日はとっくに暮れていたが見物人は増すばかり。
出店が軒を連ね、お白洲を噺に、寄席や舞台まで即席で設けられた。
中でも書林は大盛況である。
「お次の責めは堪らないよ~。三十二責めは、なんとなんと、大開脚! 大黒屋の旦那に、下からグイグイっと突き上げられようもんなら、罪人のアソコは丸見えってぇもんだ」
「それ、こっちにも頂戴な」
「なんだい。大魔羅太夫との一局は、まだ見本絵があがってねえのかい」
「早くしてよ。泣きながら子種を漏らしちまったってさあ。そこんとこ、しっかり描かれてるんだろうねえ?」
「この十番は絵がイマイチだなァ。もっと発情した雌猫みてぇに腰がしなって淫らでよォ。両の乳首も捻られて真っ赤だったぜ? 色気が足んねぇよ、色気が」
「予約札、早くおくれよ~」
「うちは全部買うよ。あんたら寝ないで刷りなんし」
まだ版木すらあがらぬ春画まで、予約で重刷御礼。
他にも一人目の責めが終わらぬうちから、
『百責め達成記念まんじゅう』
と銘打たれた、えくぼ饅頭が飛ぶように売れていた。
市中も大層賑わい、酒場も銭湯も長屋も大名屋敷も。
どこもかしこも、見目麗しい罪人の話題で持ちきりであった。
◇
夜四つを告げる時の鐘が鳴り響いても、見物人は途切れる事なく。
罪人は群衆の前で、終わりの見えぬ責めを受け続けていた。
「はぁ……ぁんッ、おさむらい、さま」
「ああ、男は久方振りだが、悦いものだな。このまま、連れ帰ろうか……くく」
夜の帳が落ち、松明の炎が燃え盛る中。
重なる二つの影が、陣幕越しに浮かびあがっていた。
仕置人に抱え上げられた足が艶かしく揺れ、漏れ聞こえる喘ぎ声も、なかなかに乙な物ではあったが。
「……邪魔な幕だねぇ」
突如として現れた大幕に、群衆は辟易していた。
しかし強面の武士 が睨みをきかせ、大人しく果てを待つ他なかった。
「とっくに四半刻経たねえか?」
「これじゃ罰でもねぇ、ただの床入りだよ」
「さっきのお武家様なんざぁ、家宝の刀を質入れして離縁までしてきたってのに。水ぶっ掛けられて、あっという間に引き剥がされてたぜ?」
「そりゃあ、こちらは大層高貴な方なんだろうよ。まァ、幕で隠すなんざ、無粋だけどねェ」
「まったく、あのお方を見習えってんだい」
「ああ、あのお方……あれは良かったね。粋な女だったな」
いまだ瞼に焼きつく、一人の女。
『女も腰を振るなら責めと認むる』と。
御上が洒落で加えたのが、“女の仕置人なれば騎乗責めのみ許可す”という特例である。
当然、奉行所の誰もが、
『大金を払い、見せ物のように腰を振る女など、古今東西、天上天下探しても居るはずなかろう』
と、高を括っていた——が。
一人だけ居たのである。
その女は、まだ年若く。色白で鼻筋の通ったなかなかの美人であった。
それがどうにもこうにも恥ずかしげもなく、シュルリと帯を解くと、
——「貴方の子種を、下さいまし」と。
胸も腹も、股の秘所まで人前に晒し。
おっ広げた火所に、男の一物を擦り付けるように腰を回すのだった
そんな淫らな誘いを断る男など、古今東西、天上天下探しても居るはずがなかった——が。
一人だけ居たのである。
「うう、いけませんっ。か……かようなことをされては、離れて下さいませぇ」
動けぬよう緊縛された罪人は、頑なに目を閉じ、顔を真っ赤にして女を拒んでいた。
男は姦通罪で捕らえられたとはいえ、未だ女を知らぬ童貞であった。
だが女とて、ここまできて引き下がるわけにもいかない。
名も明かさぬ謎めいた女は、遊女か。はたまた博徒の色か。
見事な腰遣いで男を果てまで追い詰めていく。
「うぅ……ッ、だめ、だめです、ややこが、ややこが出来てしまうぅ」
「構わないから、欲しいのです、貴方の子種が。ああン、いい……奥まで、ああっ」
繋がりはネチョネチョと水音を立て、女の陰毛が泡立つほどであった。
熱い火所に注いで欲しいと強請られ、断る男など——
ここに居たのである。
「もぅ、堪忍して下さぃ……!貴女の中で、うぅ、果てて、しまいます……!」
「はあ、あン、あんっ。構いませぬゆえ、子が、出来てもっ。一人で育てますから、どうか、お願いします……っ」
「そんな、いけません、ややこは、だめです……」
最早、どちらが男か女かも判らなかった。
終いには悶えながらも、男はメソメソと泣き出す始末であった。
「うぅ……いけません……ややこは、番で育てるものですから。一人でなんて、いけませんよ……ぐすっ」
「…………」
すると、どういうわけか女まで、ハラハラと涙を零していた。
「あい、分かりました」
ついには責めを止め、横たわる男の傍らに膝を付き、頭を下げた。
その所作の美しさから教養と身分の高さが見てとれた。
女にも何か、退っ引きならぬ事情があるようだが——
男の涙を汲んで身を退く姿は、実に潔く、見事であった。
群衆も「どの責めより男前だよ」「天晴れ天晴れ」「粋だねえ」と。
去る女に、鳴り止まぬ拍手喝采をおくるのだった。
「あれは確かに、いい女だったねぇ。どこぞの坊やとは格が違うよ」
陣幕の向こうでは、どこぞの坊やの果てが、ようやく迫っていた。
「後ろも具合がいいな……どうした、あぁ、ここか?」
「ああんッ、ァンッ、やッ、ああッ」
助けを求めるように、罪人のもがく手が前へと伸びた。
幕の切れ目からようやく覗いた細い手も、すぐに腰を引き戻され、敷物を握りしめるしかない。
パンッ、パンッ、パンッ
柔らかな尻肉が、打ち付ける腰とぶつかり、激しく音を立てた。
四つん這いにされ、腸を激しく穿たれる様子が、幕に浮かび上がる。
「悦いところにあたって、お主のここも喜んでおるな」
「あンッ、アッ、アンンッ、もぉ、だめ、体が、おかしく……!あぁ——……ッ」
反り勃ち、股間で揺れていた罪人の肉竿から、
びゅっ、びゅるるッ
放った精の放物線が、影絵となって幕に映し出された。
ついには仕置人も男に覆い被さり、腰を一層、激しく突き立てる。
「また、奥に注ぐぞ……!ああっ、いいッ、く……っ! 」
ズン、ズン、と。
さらに奥へと魔羅を捩じ込み、ようやく終了の銅鑼が鳴り響いていた。
「ようやっと、あの幕ともオサラバかい」
「ありゃあ、気を遣ってるみてぇだな。浜に打ち上がった魚みてぇにビクビク痙攣してらあ」
陣幕が下ろされると、既にどこぞの坊やの姿はなかった。
まこと身分を明かせぬ、高貴なお方だったのだろう。
そんな御仁から二度も精を注がれた罪人は、尻を上げたまま身繕いも出来ずにいた。
すると、
ドォ~ン、ドォ~ン
大袈裟に銅鑼が打ち鳴らされ、役人が久方振りの口上を述べた。
「百責め、これより最後の一局。仕置人は、二ノ町の呉服問屋、錦屋~錦屋~」
それを聞くなり群衆はどよめいた。
責めを了とする人情が、御上にあった事にも驚いたが。
それ以上に仰天したのは、『錦屋』は罪人の奉公先であるからだった。
「歯を立てるな!見目の他はとんだおぼこだな」
「カハッ。ハァ……ハァ……もう、堪忍、して下さい——あうぅッ」
「あー……尻は締まるッ」
境内では狂宴が続いていた。
もう何度目の責めなのか——
銅鑼は責めの始終を告げるのみ。
男の肢体には絶えず淫獣が群がっていた。
「ここの窄まり、ちんぽに喰いついて堪んねえなあ。生娘より具合がいいよ」
「おい、早く代われ!」
娼館の旦那衆が、休む事なく男を輪姦していた。
一人が背後から足を抱えて開かせ、もう一人が穴に捩じ込む。
両手にも蒸れた魔羅を握らせ、交互に口を犯す。
男は喘く暇すら与えられず、体を蹂躙されて続けた。
そんな地獄の沙汰の最中にも、世間はお祭り騒ぎなのであった。
「東西東西~!」
日はとっくに暮れていたが見物人は増すばかり。
出店が軒を連ね、お白洲を噺に、寄席や舞台まで即席で設けられた。
中でも書林は大盛況である。
「お次の責めは堪らないよ~。三十二責めは、なんとなんと、大開脚! 大黒屋の旦那に、下からグイグイっと突き上げられようもんなら、罪人のアソコは丸見えってぇもんだ」
「それ、こっちにも頂戴な」
「なんだい。大魔羅太夫との一局は、まだ見本絵があがってねえのかい」
「早くしてよ。泣きながら子種を漏らしちまったってさあ。そこんとこ、しっかり描かれてるんだろうねえ?」
「この十番は絵がイマイチだなァ。もっと発情した雌猫みてぇに腰がしなって淫らでよォ。両の乳首も捻られて真っ赤だったぜ? 色気が足んねぇよ、色気が」
「予約札、早くおくれよ~」
「うちは全部買うよ。あんたら寝ないで刷りなんし」
まだ版木すらあがらぬ春画まで、予約で重刷御礼。
他にも一人目の責めが終わらぬうちから、
『百責め達成記念まんじゅう』
と銘打たれた、えくぼ饅頭が飛ぶように売れていた。
市中も大層賑わい、酒場も銭湯も長屋も大名屋敷も。
どこもかしこも、見目麗しい罪人の話題で持ちきりであった。
◇
夜四つを告げる時の鐘が鳴り響いても、見物人は途切れる事なく。
罪人は群衆の前で、終わりの見えぬ責めを受け続けていた。
「はぁ……ぁんッ、おさむらい、さま」
「ああ、男は久方振りだが、悦いものだな。このまま、連れ帰ろうか……くく」
夜の帳が落ち、松明の炎が燃え盛る中。
重なる二つの影が、陣幕越しに浮かびあがっていた。
仕置人に抱え上げられた足が艶かしく揺れ、漏れ聞こえる喘ぎ声も、なかなかに乙な物ではあったが。
「……邪魔な幕だねぇ」
突如として現れた大幕に、群衆は辟易していた。
しかし強面の武士 が睨みをきかせ、大人しく果てを待つ他なかった。
「とっくに四半刻経たねえか?」
「これじゃ罰でもねぇ、ただの床入りだよ」
「さっきのお武家様なんざぁ、家宝の刀を質入れして離縁までしてきたってのに。水ぶっ掛けられて、あっという間に引き剥がされてたぜ?」
「そりゃあ、こちらは大層高貴な方なんだろうよ。まァ、幕で隠すなんざ、無粋だけどねェ」
「まったく、あのお方を見習えってんだい」
「ああ、あのお方……あれは良かったね。粋な女だったな」
いまだ瞼に焼きつく、一人の女。
『女も腰を振るなら責めと認むる』と。
御上が洒落で加えたのが、“女の仕置人なれば騎乗責めのみ許可す”という特例である。
当然、奉行所の誰もが、
『大金を払い、見せ物のように腰を振る女など、古今東西、天上天下探しても居るはずなかろう』
と、高を括っていた——が。
一人だけ居たのである。
その女は、まだ年若く。色白で鼻筋の通ったなかなかの美人であった。
それがどうにもこうにも恥ずかしげもなく、シュルリと帯を解くと、
——「貴方の子種を、下さいまし」と。
胸も腹も、股の秘所まで人前に晒し。
おっ広げた火所に、男の一物を擦り付けるように腰を回すのだった
そんな淫らな誘いを断る男など、古今東西、天上天下探しても居るはずがなかった——が。
一人だけ居たのである。
「うう、いけませんっ。か……かようなことをされては、離れて下さいませぇ」
動けぬよう緊縛された罪人は、頑なに目を閉じ、顔を真っ赤にして女を拒んでいた。
男は姦通罪で捕らえられたとはいえ、未だ女を知らぬ童貞であった。
だが女とて、ここまできて引き下がるわけにもいかない。
名も明かさぬ謎めいた女は、遊女か。はたまた博徒の色か。
見事な腰遣いで男を果てまで追い詰めていく。
「うぅ……ッ、だめ、だめです、ややこが、ややこが出来てしまうぅ」
「構わないから、欲しいのです、貴方の子種が。ああン、いい……奥まで、ああっ」
繋がりはネチョネチョと水音を立て、女の陰毛が泡立つほどであった。
熱い火所に注いで欲しいと強請られ、断る男など——
ここに居たのである。
「もぅ、堪忍して下さぃ……!貴女の中で、うぅ、果てて、しまいます……!」
「はあ、あン、あんっ。構いませぬゆえ、子が、出来てもっ。一人で育てますから、どうか、お願いします……っ」
「そんな、いけません、ややこは、だめです……」
最早、どちらが男か女かも判らなかった。
終いには悶えながらも、男はメソメソと泣き出す始末であった。
「うぅ……いけません……ややこは、番で育てるものですから。一人でなんて、いけませんよ……ぐすっ」
「…………」
すると、どういうわけか女まで、ハラハラと涙を零していた。
「あい、分かりました」
ついには責めを止め、横たわる男の傍らに膝を付き、頭を下げた。
その所作の美しさから教養と身分の高さが見てとれた。
女にも何か、退っ引きならぬ事情があるようだが——
男の涙を汲んで身を退く姿は、実に潔く、見事であった。
群衆も「どの責めより男前だよ」「天晴れ天晴れ」「粋だねえ」と。
去る女に、鳴り止まぬ拍手喝采をおくるのだった。
「あれは確かに、いい女だったねぇ。どこぞの坊やとは格が違うよ」
陣幕の向こうでは、どこぞの坊やの果てが、ようやく迫っていた。
「後ろも具合がいいな……どうした、あぁ、ここか?」
「ああんッ、ァンッ、やッ、ああッ」
助けを求めるように、罪人のもがく手が前へと伸びた。
幕の切れ目からようやく覗いた細い手も、すぐに腰を引き戻され、敷物を握りしめるしかない。
パンッ、パンッ、パンッ
柔らかな尻肉が、打ち付ける腰とぶつかり、激しく音を立てた。
四つん這いにされ、腸を激しく穿たれる様子が、幕に浮かび上がる。
「悦いところにあたって、お主のここも喜んでおるな」
「あンッ、アッ、アンンッ、もぉ、だめ、体が、おかしく……!あぁ——……ッ」
反り勃ち、股間で揺れていた罪人の肉竿から、
びゅっ、びゅるるッ
放った精の放物線が、影絵となって幕に映し出された。
ついには仕置人も男に覆い被さり、腰を一層、激しく突き立てる。
「また、奥に注ぐぞ……!ああっ、いいッ、く……っ! 」
ズン、ズン、と。
さらに奥へと魔羅を捩じ込み、ようやく終了の銅鑼が鳴り響いていた。
「ようやっと、あの幕ともオサラバかい」
「ありゃあ、気を遣ってるみてぇだな。浜に打ち上がった魚みてぇにビクビク痙攣してらあ」
陣幕が下ろされると、既にどこぞの坊やの姿はなかった。
まこと身分を明かせぬ、高貴なお方だったのだろう。
そんな御仁から二度も精を注がれた罪人は、尻を上げたまま身繕いも出来ずにいた。
すると、
ドォ~ン、ドォ~ン
大袈裟に銅鑼が打ち鳴らされ、役人が久方振りの口上を述べた。
「百責め、これより最後の一局。仕置人は、二ノ町の呉服問屋、錦屋~錦屋~」
それを聞くなり群衆はどよめいた。
責めを了とする人情が、御上にあった事にも驚いたが。
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