The change, is unlike

葛城 惶

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第二章 さらば愛しき日々

第21話 逃亡失敗~拘束と恥辱~

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「う......」
 
 俺が意識を取り戻したのは、薄暗い部屋の中だった。如何にも扇情的な淡いルームライトの下、見慣れない寝具の上に素っ裸で横たわっていた。頭がひどく痛む。額に滲む汗を拭おうとして、両手が括られていることに気づいた。
 首を振るとジャラリ.....と鎖の鳴る音がした。首には新しい首輪が嵌められ、背中に回された手を戒める枷に繋がれていた。

「目が覚めたかね.....」

 見上げると冷たいブルーグレーの瞳が俺を見下ろしていた。身動ぐと鳩尾が鈍く痛む。俺は思わず顔をしかめた。

「私のボディブローは効いたろう。若い頃にちょっとボクシングを噛っていたことがあってね。だいぶ手加減はしたつもりなんだが....」

 ねめつける俺の目線の先でヤツはシガローネに火を点けた。上着を脱ぎ捨てベストにシャツ。袖を捲り上げ、紙巻き煙草を燻らすさまは、間違いなく堅気の実業家ではない。悪名高いロシアンマフィアの若き首領に相応しい昏い眼差しが俺を見下ろす。慣れた仕草にワルの匂いが全身から発ち昇るようだ。俺はあらためて身を凍らせた。が、竦んでしまってはいけない.....と自分に言い聞かせた。

「あんたが紙巻きを吸うなんて知らなかった」

 俺の言葉に、ヤツはふん......と鼻を鳴らして笑った。

「随分と余裕じゃないか。私の躾けはそう甘くはないぞ」

 ヤツが顎をしゃくると傍らの闇に潜んでいたニコライが近寄ってきた。無造作に俺の髪を鷲掴み、頭を上げさせ、顎をこじ開ける。目の前に屈み込んだミハイルは咥え煙草の口許をニヤリと歪ませて、片手で金属の蓋を投げ捨て、茶色の小瓶を俺の口に捩じ込んだ。どろりとした苦い液体が喉を伝う。ヤツに鼻を摘ままれ、酸素を求めて気管が上下し、否応なしに液体を咽下していく。

「何をしやがる.....! 」

 げほっ.....と咳き込むが既に液体はほとんど飲み下され、不味い味だけが舌先に残った。と同時に、身体が熱くなり、汗が吹き出してきた。頭がぼうっ....として蟀谷の脈打つ音だけが大きく響く。

「...何を飲ませた?!」

 熱の苦しさに肩で息をしながら、やっと言葉を叩きつける俺に、ヤツは愉しそうに喉を鳴らして言った。

「最近、開発させたばかりのドラッグだ。まぁ催淫効果が強すぎて一般市場には出せないが、顧客には喜ばれている」

「てめぇ....」

「心配するな、純度の高い高級品だ。お前のような犬には勿体無いが、精神(こころ)をへし折るには役にたつ。身体は正直だからな.....そろそろ効いてきたろう?」

「なっ.....!?」

 どくん.....と腹が波うち、腹の奥底から火柱が立ち上がったように熱が沸き、下腹が激しく疼き出した。俺は思わず身を捩り、身体を丸めてヤツの視線を逃れようとした。が、ニコライに頭と肩を押さえつけられ、力の入らない身体をミハイルの前に晒させられた。

「即効性だからな.....もぅこんなになっているじゃないか」

 ヤツは冷たい眼差しのまま、剥き出しの俺のペニスを凝視した。それは充血しきって痛いほどに張りつめ、透明な涙を溢していた。

「み、見るな.....! 」

 恥ずかしさに顔を伏せる俺の耳許でヤツが悪魔の笑みを浮かべる。

「可愛いものだ.....」

 ヤツの指先が先端を弾き、頭を大きな掌に握り込んだ。俺は思わず呻き、身を震わせた。

「止めろ.... ! 」

 ヤツの掌の中でくちくちと捏ねられ、俺は堪らずに白濁を吐き出した。

「早いな.....女とはしてこなかったのか?」

 ヤツは俺の眼を覗き込むようにして、含みわらいながら囁いた。

「なんのことだ.....」

 俺は脳裏に浮かんだレイラの顔を振り払うようにして、ヤツを睨み返した。ヤツはくっくっ.....と喉を鳴らすと、ニコライに目配せをした。

「何をする.....!」

 俺は言う間もなくニコライに引き倒され、腰を高く掲げ上げられた。

「お前を大人しくさせるには、加減は無用らしい。下の口からも飲ませてやろう。素直になれるようにな....」

「止めろ......!」

 ヤツは片手でキャップを外すと、シリンジに瓶を挟み、俺の乾いた後孔に捩じ込んだ。俺は突然、無理矢理にそこを押し開かされる痛みに目を見開き、声にならない叫びを上げた。

「奥の奥にたっぷり飲ませてやる。しっかり味わえ!」

 ヤツはゆっくりとシリンジの中身を俺の直腸に注ぎ込み、俺は冷たい液体の感覚に身を震わせた。だが、それはすぐに耐え難い熱に変わり、俺の胎内の疼きは一層激しくなった。

「粘膜は吸収が早いが、量が多いからな。零れてしまっては勿体ない」

 ヤツはシリンジを引き抜くと、充血してひくひくと痙攣する俺の後孔の入口の襞をなで、そして何かをつぷり......と押し込んだ。

「なっ.....! 」

「アナルパールだ。......しっかり全部呑み込むんだ!」

 つぷり、つぷりと球状のものが次々と押し込まれ、俺はその度に肉壁を押し拡げられ、また閉じる刺激に身を捩らせた。

「腰がくねっているぞ。ふふ......気持ち良くて溜まらないようだな。だが、それではお仕置きにならないからな」

 ヤツはそう言うと、手元のリモコンらしきもののスイッチを入れた。

「あっ.....あああっ.......あぁっ.....」

 俺の腹の中で、球状のものが不規則にうねり始めた。俺は内奥を掻き乱され、淫らな声を上げた。

「気持ちよいか、パピィ?......だが、イかせてはやらない。これはお仕置きだからな」

 ヤツはそう言うと再び勃ち上がってしまった俺の睾丸の根元と亀頭の下のクビレとの2ヶ所を革のベルトで締め上げた。俺は射精を禁じられた苦しさに頭を振った。が、ヤツの拷問はそれだけでは終わらなかった。

「これを知っているか?」

 ヤツは先端に小さな丸い珠のついた細い金属の棒を俺の目の前にかざした。

「知るか.....!」

 気力を振り絞って吠える俺に、ヤツはニヤリと笑い、むんずと俺のペニスを掴み、先端を指でこじ開けた。

「ブジーと言ってな。こうして使うんだ.....」

 ヤツはその細い棒を俺のペニスの先端に押し当てると、グリグリと押し込んだ。

「ひぃあぁぁぁ....!」

 俺は尿道をこじ開けられる苦痛に身を仰け反らせた。情け容赦なくそいつを根元まで捩じ込み、手元にある細いチェーンをベルトの止め金に引っ掛けた。

「反省するまで、しばらくそうしているんだな.....。三日くらいは薬は抜けないが、なに、反省して『いいこ』になれば、すぐに楽にしてやる。......仕事が終わるまでおとなしく待っていろ」

 ミハイルはそう言うと、ニコライと共に部屋を出ていった。俺は両手を戒められたまま、身体の疼きに身悶え、行き場を失った熱に苦しみ続けた。陽の差さない部屋で時間を測ることもできず、毒々しい紅い照明の下でいつ果てるとも知れない苦痛と押し寄せる快感の波に呻き喘ぎ続けた。
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