バックレそびれた(元)悪役令息の冒険日記

葛城 惶

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ちょっと頑張ってみました!

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「ひでぇなぁ.....」

「どうしたんだろうね?」



 旅を続けていると、賑やかな町ばかりがあるわけじゃない。時には辺鄙な村が点在している地域を通ることもある。
 みんな豊かとは言えない場所だけど、ここは特に酷かった。

「空っからだぜ......」

 地面はひび割れて、作物はみんな枯れ果ててしまっている。

「教会へ行ってみよう」

 アントーレは厳しい表情で、枯れた麦らしきものを手に取ると、村外れにある尖り屋根の建物を指差した。

 俺達は、黙々と足を進めるアントーレの後を着いていった。

 古ぼけた木の扉を叩くと、中から年老いた司祭さんが顔を覗かせた。足許に、小さな痩せた子がしがみついている。

「旅の者だ。話が聞きたい」

 アントーレは相変わらず横柄な口振りで司祭さんに切り出したが、その目はいつになく真剣だった。




「どうぞ、こちらへ.....」

 司祭さんに案内されて教会の中に入っていくと、痩せて力なく横たわっている人々がいた。

 司祭さんが言うには、この地方はひどい干魃かんばつに襲われていて......もう何ヵ月も雨が降らないんだって。
 特にこの村は、元々痩せた土地で、この日照りで植物が全く育たない状態になってしまったんだって。みんな餓死寸前だというから、本当に深刻な状態。

 俺達はマジックバッグから、なけなしの食料を取り出し、司祭さんに渡したが、そんなもので足りるわけがない。ニコルがふと思い出したように訊いた。

「井戸は?井戸の水を引けば.....」

「この辺りは岩盤が固くて深い井戸が掘れないんです」

 農夫らしきおじさんが、悲壮な声で言った。



「なんとかしてあげなくちゃ......」

 教会の片隅に植えられた木の下で俺達は、相談することにした。

「なんとかって、どうするんだよ?」

「雨雲は呼べますけど......一時凌ぎにはなりますが、後々また干魃が起きたら....」

 聞けば、この村はずっと干魃に悩まされているという。

「硬い岩盤を打ち抜ければ、豊かな水脈があるはずなんですが.....」

ー岩盤......打ち抜ければ......ー

 俺は、はっと思い付いた。

「アントーレ、みんな、手を貸して!」




 俺はまず、ルードヴィヒに確実に水脈の通っているところを探してもらった。
 ルードヴィヒが示したのは、村の中心から離れた草の枯れた牧場だった。好都合だ。

「こんなところでどうするんだよ。土を掘る道具もないぜ?」

 マグリットは土魔法を使えるけど、そこまでの威力はない。けれど、
 俺はアントーレを振り向いた。

「アントーレ、ここに雷、落として。デカいやつ。マグ、雷に土魔法乗せて!みんなは下がって!」

「雷を?」
「雷に?」

俺は大きく頷いた。雷の威力に魔法を乗せて、地面を砕く。

「わかった」

 アントーレが静かに詠唱し、手を振り上げた。

「ライディーン!」

 たちまち頭上に黒雲が湧き、稲光が地面に突き刺さる、と同時にマグリットがその眩しい雷光に力を注ぐ。
 あっと言う間に地面に大穴が空く。だが、まだ浅い。

「もう一度!」

と、俺が叫ぶと同時にケヴィンが進み出た。

「俺も手伝う!」

 稲光と土を砕く轟音とともに、ケヴィンの風魔法が、竜巻を地面の中に叩き込んだ。

ーそうか!ドリルだ!ー

 先ほどより遥かに深く地面は抉れ、覗き込むと、わずかに水が滲み出てきた。

「僕の出番だね!」

 ルードヴィヒがにっこり笑い、両手をかざして、水を地表に引っ張り上げた。大地からは滾々こんこんと水が湧きだし、頭上からも大粒の雨が降り注いできた。

「やったぁ!」

 大成功だ。

 教会や家の中から大勢の人が飛び出してきて、降り注ぐ水を全身に受けていた。

 俺達はびしょ濡れになって教会に戻った。
 と、レイトン先生が司祭さんと一緒に扉の前に立っていた。

「ご苦労さん」

「先生、どうして?!」

と目を丸くする俺達の頭上でドローン・カラスが自慢気に羽ばたき、『カアァー!』と声をあげた。高性能なのね、お前。見直したわ。

 先生は可能な限りの食料を転送してくれて、俺達は久しぶりにパートナーの先生お手製のアップルパイにありついた。
 もちろん村の子ども達にも分けて、一緒に幸せを味わった。

「それじゃあ、頑張れ!」

 先生は用件を済ますと、あっさり帰っていった。
 でも、直前にアントーレが何か手渡していたの、俺は見たからね。



 後から訊いたら、半ば膨れっ面でアントーレが言った。

「だって食料は食べたら無くなるだろ。植物が実りを着けるのはまだ先だ」

 皇帝に支援物資送ってくれるよう、手紙書いたんだって。やるじゃんお前。もしかして、その膨れっ面は照れてるの?案外可愛いね、ポンコツだけど。


 俺は仕上げに大地の祝福の魔法を村の畑に施し、そして俺達一行は村を後にした。
 実りの時期に、また立ち寄る約束をして.......。
 
 
 
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