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ドナドナでしょうか......
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エメルさんの言葉から程なくして、目の前の騎士団の囲みが左右に割れた。
中央のトニー兄さんが引いて、騎馬隊の馬面が騎士達を押し退けるようにこちらに近づいてきた。
「殿下、ご帰還と伺いました。ウィスタリア殿下のご命令により、お迎えにあがりました」
先頭にいるのは、ネヴィル伯爵。俺達は一様に身を固くしたが、エメルさんは大丈夫だ、と苦笑いした。
「ウィスと話をつけてきた。王宮までは無事に運んでくれる」
え?ウィスって、ウィスタリア殿下ですか?お知り合いですか?
......て王族同士だから当たり前か。現実逃避なぅ。
レイトン先生の家から出ると、近衛騎士団の騎馬隊が俺達を囲んだ。傍らでトニー兄さんが、ネヴィル伯爵に、抗議している声が聞こえた。
『アントーレ殿下に叛意のお疑いが......』
まぁ、兄さんの申し出は、ネヴィル伯爵には歯牙にもかけられなかったみたい。
『そのような事はお前が判断することではない。お疑いがあれば、皇帝が直々にお調べする』
そりゃそうだよね。仮にも王族の人間を一介の貴族が詮議しようなんて、明らかな越権行為だよ。
トニー兄さん、やっぱり兄さんもサイラス家の人間だったんだね。
俺はひどく寂しくなった。
その肩をアントーレがそっと抱いた。そして小さな声で言った。
「大丈夫ですか?須藤さん」
そうだ。この世界の家族だけが、俺の家族じゃない。前世からの仲間がいる。エメルさんやレイトン先生やお前がいてくれる。
俺は泣きそうになるのをぐっとこらえて頭を上げた。
俺達は二台の馬車に別れて乗るように命じられた。
俺はアントーレとレイトン先生と。そしてもう一台の馬車にはエメルさんがマグリットとルードヴィヒを引き連れて乗った。
ふたりはきっとエメルさん、もとい宮下さんにきつい説教を食らうだろう。まあ自業自得だけど。
そして俺達は王宮についた。
跪いて神妙に待つ俺達の耳に聴こえてきた足音はふたつ。
「長旅、ご苦労様、顔をあげなさい」
と仰る声は皇帝陛下だ。
顔を上げた俺達の前には玉座を座る皇帝陛下と、そしてウィスタリア殿下がいた。
俺達は改めて居儀をただし、深く頭をさげる。
「皇帝陛下、皇太子殿下にはご機嫌うるわしく。仰せつかりました、魔王退治、無事果たしましてございます」
アントーレが極めて恭しく口上を述べる。
しばし、沈黙。
あれ?信じてないの?
報告、まだ入ってないの?
「魔王は消滅いたしました。ダンジョンも......」
アントーレが畳み掛けるように、けれどつとめて抑えて言う。
「うむ。聞いている。よくやった」
皇帝がうんうんと頷く。
「大変だったろう?ラフィアン・サイラス」
え?いきなり俺?
いや、アントーレ頑張ったんだよ。
「全てはアントーレ殿下と、ここにいる皆の力です。私はお誉めに預かるようなことはしておりません」
「ずいぶん謙虚だな」
ウィスタリア殿下が怪訝そうに目を細める。陛下がははは.....と軽くお笑いになった。
中央のトニー兄さんが引いて、騎馬隊の馬面が騎士達を押し退けるようにこちらに近づいてきた。
「殿下、ご帰還と伺いました。ウィスタリア殿下のご命令により、お迎えにあがりました」
先頭にいるのは、ネヴィル伯爵。俺達は一様に身を固くしたが、エメルさんは大丈夫だ、と苦笑いした。
「ウィスと話をつけてきた。王宮までは無事に運んでくれる」
え?ウィスって、ウィスタリア殿下ですか?お知り合いですか?
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『アントーレ殿下に叛意のお疑いが......』
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『そのような事はお前が判断することではない。お疑いがあれば、皇帝が直々にお調べする』
そりゃそうだよね。仮にも王族の人間を一介の貴族が詮議しようなんて、明らかな越権行為だよ。
トニー兄さん、やっぱり兄さんもサイラス家の人間だったんだね。
俺はひどく寂しくなった。
その肩をアントーレがそっと抱いた。そして小さな声で言った。
「大丈夫ですか?須藤さん」
そうだ。この世界の家族だけが、俺の家族じゃない。前世からの仲間がいる。エメルさんやレイトン先生やお前がいてくれる。
俺は泣きそうになるのをぐっとこらえて頭を上げた。
俺達は二台の馬車に別れて乗るように命じられた。
俺はアントーレとレイトン先生と。そしてもう一台の馬車にはエメルさんがマグリットとルードヴィヒを引き連れて乗った。
ふたりはきっとエメルさん、もとい宮下さんにきつい説教を食らうだろう。まあ自業自得だけど。
そして俺達は王宮についた。
跪いて神妙に待つ俺達の耳に聴こえてきた足音はふたつ。
「長旅、ご苦労様、顔をあげなさい」
と仰る声は皇帝陛下だ。
顔を上げた俺達の前には玉座を座る皇帝陛下と、そしてウィスタリア殿下がいた。
俺達は改めて居儀をただし、深く頭をさげる。
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アントーレが極めて恭しく口上を述べる。
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あれ?信じてないの?
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「全てはアントーレ殿下と、ここにいる皆の力です。私はお誉めに預かるようなことはしておりません」
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