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十の2 深夜の密談?
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一方、こちらは諸葛家の書斎……。
書棚にぎっしりと詰められた書物を背に向き合うのは難しげな顔をした男ふたり……諸葛と東雲である。
「さて如何にアレを討伐すべきか……」
「そうですな……」
古い文献の記録によれば、あのテンタクルなる妖物が現れたのは、ざっと数百年前。十六夜国どころか青千輝帝国すらまだ存在していない時代。
今回のように海藻を根こそぎ引き抜いたり、陸の木々をなぎ倒して奪い去るというようなことはしていない。
ただ、妖物の吐く瘴気に当てられた人々が生業を放りだして日夜得体の知れない遊びに熱中して、財や家畑のみならず、家族まで失った者もいる……と記されている。
「この妖物は、蚪獏と呼ばれたようですが……どのようにして退治されたかは記されていませんが、いつの間にか姿を消した、と書かれています。……ただ、その頃に作り出された遊びはまだ残っているようで、時にその妖物の瘴気の抜けきれなかった者の子孫が身を滅ぼした……という話を漏れ聞くことはあります。まぁ治療法も対処法も明確に分かっている今日ですから……」
自己責任ですよね、と諸葛氏は少しばかり苦い笑みを漏らした。東雲も小さく頷き、心の中で、高雪が懐に隠し持っていた賽子を早々に取り上げねば……とふっと思った。
「いずれにせよ、過去に討伐されたという記録が無いわけだから、我々自身が対処法を考え出さなければならないのですが……」
ふむ……とふたりは古書を前に顔を見合わせた。
「アレが形状のごとく海の生物であるならば……」
「陸に長く繋ぎ止めておいたらどうなるか……ですね。実際の海の生き物は長く地上に留めておけば、弱って死ぬ……」
東雲の言葉に諸葛氏は深く頷いた。
「記録によれば、アレ……というか、アレに似た妖物は陽が登るとそそくさと海に帰っていき、また満月になると現れた……とか。日の出まで、いや日中までアレを陸上に留めておければ、あるいは……」
「問題は、どうやって繋ぎ止めておくか……ですね」
ううむ……と唸るふたりの足許で、にゃあと声がした。覗き込むと、そこにいたのは灰色のあの猫だった。
「それは我らに任せろニャ」
「イェンリー?」
「あの妖物がこの海に現れたのは、我らがトドメを刺さなかったせい……とウェイインにちと責められてな」
居心地悪そうに前足でヒゲを撫でながら、灰色猫は続けた。
「酎留を百本用意していただければ、俺が王や皆を説得して協力させる」
「酎留百本か……」
ふむ……と東雲は頭を巡らせた。山河家の財力をもってすれば不可能なことではない。一時的に十六夜国の市場から酎留が消えるかもしれないが、妖物に荒らされた海辺の村の産業復興の材料にもなる。
まぁイェンリーに鯛の酎留と指示されたのには、少々頭を抱えたが……。
「……で、不知火国の方々の力を借りて、陸上に誘い出して足止めした後は……」
「干からびるのを待つ……というのも少々気の長い話のような……」
心配気な諸葛氏に、東雲はニヤリと笑った。
「琉論がおります。あれは普段はああですが、やる時にはやる男です」
それに琉論には龍王姫が付いている。普段は厳しくキツいことを言いはするものの、琉論にぞっこんなのには間違いはない。
ーーあれの何処がいいのだか……ーー
とたまに思いはするものの、たぶんに姫はかなりの面喰いなのであろう、と東雲は思うことにしていた。実際、頭も悪くないし、腕もたつ。少々、性格がアレなだけで、琉論は黙っていさえすれば、そこそこモテるのだ。
まぁ稀にチャラけたキャラを好む女性もいるが、もれなく姫に蹴散らされている。ー嫉妬深……いや愛情深いのだ。元々龍族とはそういう生き物なのだから。
「あぁ、そうだ……」
侍女の運んできた茶をゆうるりと喫していた諸葛氏がやにわに立ち上がり、背後の書棚をごそごそと探り始めた。
「如何がなされましたか?」
「いや、貴殿にこれをお渡ししようと思いまして……」
訝る東雲の前に三冊ほどの分厚い書物を置いて諸葛氏がニコリと笑った。
「|千里知理の書……でございます」
「チリチリ……の書?」
だいぶ古い本なのだろう、ところどころ色褪せてはいるが、大切に保管されていたのがよくわかる。
「この世界に伝わるあらゆる伝承を記した書物です。霊獣や人外の者達の種類や特徴からカラクリの作り方まで……あらゆる知恵が詰まっております」
それゆえ、イェンリーやウェイイン達を見ても、その変身の様を見てもさして驚きは無かったという。
もっとも、東雲の頭を占めていたのはそんなことではなく……。
「カラクリの作り方……」
すげなく天界に去ったまま、ちっとも帰ってきてくれない伴侶の姿を思い浮かべて、この旅が終わったら……と密かに思い描くばかりだった。
「でも、どうしてそんな貴重なものを……」
怪訝そうな諸葛氏の視線にはっと我に返った東雲は小さく咳ばらいをして相手に問うた。
「ちと旅に出ようと思いましてな……」
若き当主は躊躇いがちに、ほんの少しはにかんで、小声で答えた。
「旅?」
「私はずっとこの家から出ずに暮らしてきましたが……方々を見て、広い世間を見たくなりました。今度の件が片付いたら、夏侯覇を連れて旅に出ようと思います。……あれにも若いうちに見聞を広めさせたい」
遠くを見るような眼差しには、初めて憧れを抱いたような少年のような初々しさがあった。
「しかし、この家は如何がなさるのですか?……当主が不在では……」
「華喬と羊が守ってくれるでしょう。私は学問の他に取り柄の無い男ですから……」
「そんなことは……」
言い掛けて、東雲は諸葛氏の寂しげな微笑みに口をつぐんだ。
心なしか冷ややかであった家人の姿が頭をチラリと過ぎったが、敢えて言うことでもあるまい。
それ以上にこの若き当主はまだ見ぬ世界への思いに心を踊らせているのだ。
「では、ありがたく頂戴いたします……」
あてがわれた客間の寝所に向かう回廊をひとり辿っていくと、厨の端っこ、炉の近くで猫ちぐらの中に丸くなって猫たちが眠っているのが見えた。
ーーどんな夢を見ているのやら……ーー
東雲は、ふと足を止め、天上高く輝く星を見つめて、ひとつ小さな息をついた。
書棚にぎっしりと詰められた書物を背に向き合うのは難しげな顔をした男ふたり……諸葛と東雲である。
「さて如何にアレを討伐すべきか……」
「そうですな……」
古い文献の記録によれば、あのテンタクルなる妖物が現れたのは、ざっと数百年前。十六夜国どころか青千輝帝国すらまだ存在していない時代。
今回のように海藻を根こそぎ引き抜いたり、陸の木々をなぎ倒して奪い去るというようなことはしていない。
ただ、妖物の吐く瘴気に当てられた人々が生業を放りだして日夜得体の知れない遊びに熱中して、財や家畑のみならず、家族まで失った者もいる……と記されている。
「この妖物は、蚪獏と呼ばれたようですが……どのようにして退治されたかは記されていませんが、いつの間にか姿を消した、と書かれています。……ただ、その頃に作り出された遊びはまだ残っているようで、時にその妖物の瘴気の抜けきれなかった者の子孫が身を滅ぼした……という話を漏れ聞くことはあります。まぁ治療法も対処法も明確に分かっている今日ですから……」
自己責任ですよね、と諸葛氏は少しばかり苦い笑みを漏らした。東雲も小さく頷き、心の中で、高雪が懐に隠し持っていた賽子を早々に取り上げねば……とふっと思った。
「いずれにせよ、過去に討伐されたという記録が無いわけだから、我々自身が対処法を考え出さなければならないのですが……」
ふむ……とふたりは古書を前に顔を見合わせた。
「アレが形状のごとく海の生物であるならば……」
「陸に長く繋ぎ止めておいたらどうなるか……ですね。実際の海の生き物は長く地上に留めておけば、弱って死ぬ……」
東雲の言葉に諸葛氏は深く頷いた。
「記録によれば、アレ……というか、アレに似た妖物は陽が登るとそそくさと海に帰っていき、また満月になると現れた……とか。日の出まで、いや日中までアレを陸上に留めておければ、あるいは……」
「問題は、どうやって繋ぎ止めておくか……ですね」
ううむ……と唸るふたりの足許で、にゃあと声がした。覗き込むと、そこにいたのは灰色のあの猫だった。
「それは我らに任せろニャ」
「イェンリー?」
「あの妖物がこの海に現れたのは、我らがトドメを刺さなかったせい……とウェイインにちと責められてな」
居心地悪そうに前足でヒゲを撫でながら、灰色猫は続けた。
「酎留を百本用意していただければ、俺が王や皆を説得して協力させる」
「酎留百本か……」
ふむ……と東雲は頭を巡らせた。山河家の財力をもってすれば不可能なことではない。一時的に十六夜国の市場から酎留が消えるかもしれないが、妖物に荒らされた海辺の村の産業復興の材料にもなる。
まぁイェンリーに鯛の酎留と指示されたのには、少々頭を抱えたが……。
「……で、不知火国の方々の力を借りて、陸上に誘い出して足止めした後は……」
「干からびるのを待つ……というのも少々気の長い話のような……」
心配気な諸葛氏に、東雲はニヤリと笑った。
「琉論がおります。あれは普段はああですが、やる時にはやる男です」
それに琉論には龍王姫が付いている。普段は厳しくキツいことを言いはするものの、琉論にぞっこんなのには間違いはない。
ーーあれの何処がいいのだか……ーー
とたまに思いはするものの、たぶんに姫はかなりの面喰いなのであろう、と東雲は思うことにしていた。実際、頭も悪くないし、腕もたつ。少々、性格がアレなだけで、琉論は黙っていさえすれば、そこそこモテるのだ。
まぁ稀にチャラけたキャラを好む女性もいるが、もれなく姫に蹴散らされている。ー嫉妬深……いや愛情深いのだ。元々龍族とはそういう生き物なのだから。
「あぁ、そうだ……」
侍女の運んできた茶をゆうるりと喫していた諸葛氏がやにわに立ち上がり、背後の書棚をごそごそと探り始めた。
「如何がなされましたか?」
「いや、貴殿にこれをお渡ししようと思いまして……」
訝る東雲の前に三冊ほどの分厚い書物を置いて諸葛氏がニコリと笑った。
「|千里知理の書……でございます」
「チリチリ……の書?」
だいぶ古い本なのだろう、ところどころ色褪せてはいるが、大切に保管されていたのがよくわかる。
「この世界に伝わるあらゆる伝承を記した書物です。霊獣や人外の者達の種類や特徴からカラクリの作り方まで……あらゆる知恵が詰まっております」
それゆえ、イェンリーやウェイイン達を見ても、その変身の様を見てもさして驚きは無かったという。
もっとも、東雲の頭を占めていたのはそんなことではなく……。
「カラクリの作り方……」
すげなく天界に去ったまま、ちっとも帰ってきてくれない伴侶の姿を思い浮かべて、この旅が終わったら……と密かに思い描くばかりだった。
「でも、どうしてそんな貴重なものを……」
怪訝そうな諸葛氏の視線にはっと我に返った東雲は小さく咳ばらいをして相手に問うた。
「ちと旅に出ようと思いましてな……」
若き当主は躊躇いがちに、ほんの少しはにかんで、小声で答えた。
「旅?」
「私はずっとこの家から出ずに暮らしてきましたが……方々を見て、広い世間を見たくなりました。今度の件が片付いたら、夏侯覇を連れて旅に出ようと思います。……あれにも若いうちに見聞を広めさせたい」
遠くを見るような眼差しには、初めて憧れを抱いたような少年のような初々しさがあった。
「しかし、この家は如何がなさるのですか?……当主が不在では……」
「華喬と羊が守ってくれるでしょう。私は学問の他に取り柄の無い男ですから……」
「そんなことは……」
言い掛けて、東雲は諸葛氏の寂しげな微笑みに口をつぐんだ。
心なしか冷ややかであった家人の姿が頭をチラリと過ぎったが、敢えて言うことでもあるまい。
それ以上にこの若き当主はまだ見ぬ世界への思いに心を踊らせているのだ。
「では、ありがたく頂戴いたします……」
あてがわれた客間の寝所に向かう回廊をひとり辿っていくと、厨の端っこ、炉の近くで猫ちぐらの中に丸くなって猫たちが眠っているのが見えた。
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