異世界王女、バカ貴族を倒します。

財政魔法省崩壊編

アルカナ王国、防衛費よりもおでんが高い件について

—王国議会・早朝—

「本日の第一議題、『防衛費よりおでん費が高い件』について！」

議長の合図と同時に、議場に湯気が立ちこめた。
そう、今日の議会は全員の机の上におでん鍋が鎮座しているのだ。
私、リュシエル王女（18）は思わずツッコミを入れた。

「これ……予算会議じゃなくて、完全に“おでんフェス”では？」 「いや違う、王女。これは立派な経済対策だ！」
と胸を張るのは、我らが国王イダー。
「おでんを食えば国民の心も温まる。ついでに支持率も温まる！」
「ついでが本音じゃないですか！」

そこへ、防衛魔導軍代表のクロゴ将軍が立ち上がった。
「国王！我が軍の装備がボロすぎて、昨日、剣がパスタに変わりました！」
「え、なんで？」
「錬金術部隊の予算を削っておでんに回したからです！」
「……イダー、やっぱりおでん費やめない？」

—数分後—

なぜか議場の扉が勢いよく開かれた。
現れたのは、闇の戦士タナマツ卿。例の予算委員会キラーである。
「聞いたぞ！防衛費よりおでん費が高いだと？それなら――」
彼女は机のおでん鍋を一つ掴み、豪快に食べ始めた。
「ちくわ！ちくわうまっ！もう防衛費いらん！」
「お前が言うと説得力ゼロだよ！」

—その日の午後・突発議案—

エルゾ従者が慌てて駆け込んできた。
「王女！大変です！財務魔導省の跡地に“おでん魔導省”ができました！」
「は!? 予算ゼロでどうやって!?」
「全部ツケ払いです！」
「国債じゃなくてツケ!? 破産まっしぐらじゃん！」

さらに悪いことに、新任の“おでん卿”が就任演説を開始していた。
「我こそは、前職・屋台店主、現・おでん卿ソデンジャ！
　本日より、全国民におでん配給を約束する！」
「それ配るだけじゃなくて、絶対税金爆上げコースだよね!?」
と叫んだ私の声は、議場の湯気にかき消された。

—議会の結論—

防衛費は削減、おでん費は倍増。
結果、王国の国境防衛は豆腐メンタルの兵士だけとなり、
代わりに国民は毎日おでんが食べられるようになった。

「……で、これ国としては成功なの？」
「国じゃない！もはやおでん屋だ！」と全員が総ツッコミを入れた。