異世界王女、バカ貴族を倒します。

財政魔法省崩壊編

王国議会、カオスの宴

　アルカナ王国議会は今日も満員だった。
……と言っても、議員の半分は魔導ポーカーをしており、もう半分は昼寝していた。
唯一まともに起きているのは、第一王女補佐官の私、リュシエル王女（18）と、なぜか床に寝袋を広げている国王イダーだけだ。

「国王、会議始まりますよ」
 「……あと5分。夢の中で財務魔導省を再建してるから」 「それ悪夢じゃない？」

議長が魔導ベルを鳴らすと、最初の質疑が始まった。


「次は、“減税より増パン派”代表、ベイカー卿の質問です」 ベイカー卿は、小麦粉を頭から被りながら立ち上がった。
「なぜ減税するんですか！ その金で国民にメロンパンを配布すればいいじゃないですか！」 
「いやあれ高級品だから予算が爆発するわ！」
とイダー国王が即答。 
「なら、財務魔導省の残党を捕まえて、強制パン焼き労働に！」 
「お前、割と鬼だな!?」

　続いて、突如扉を蹴破って現れたのはラクヤマ卿。
「闇の戦士ラクヤマ、参上！ 今日こそ予算委員会を粉砕する！」 
「やめなさいって言ったでしょ！」
と私が止める。 しかしラクヤマ卿は机の上に乗り、謎の魔導カードを取り出した。 
「この“予算削除カード”で――財務魔導省の予算を完全消滅！」 
「それは助かるけど、手段がカードゲームってどうなの!?」




その後も議場は大変だった。

　エルゾ従者が「財務魔導省を跡地にテーマパークを」と提案したり、マルカ従者が「それより議員専用カラオケ城を」と反論したり、
増税ギルドのラーヤマ卿が「全部裏金パーティー会場にしよう」と割りこんだりなど、会議は大荒れだ。


最後にイダー国王が立ち上がり、決定を下した。
 「よし！ 財務魔導省跡地は――“プリン王国”として再建だ！」 
「「「プリン!?」」」 
「国民に毎日配布！ 税金？ 全部プリンで徴収！」 
「通貨がデザートになる国ってどうなのよ！」
と私が絶叫するも、議場は大喝采だった。

こうしてアルカナ王国は、新たなカオスに突入するのだった。

—第四話へ続く—