異能少女〜私と母と菖蒲さん〜

曉ノ未来

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菖蒲が見てきた世界

はじめての仕事と失敗

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「まずは、首が折れてた男の人についてね。…これは、私が社会人になってすぐの頃の話。」
……………
「先輩!このままじゃ…」
「菖蒲!弱音を吐くな!最期まで抗え!」
この時、私はある仕事でとある書類を受け取りに行ったんだよ。そしたら、相手は勝手に持ってってくれって言ったんだ。
私はこれがはじめての方で、緊張しちゃってたんだ。前日に何回も内容確認して、計画も一語一句間違えないまで読み込んだ。小さなメモ一つも見逃さないように。
絶対成功するって思ってたんだ。その時は。
「せ、先輩!書類がどこにあるかわかりません!」
「菖蒲、落ち着け!落ち着け。ゆっくり探せ。俺達が異能を発動している間は安全だから。」
持ち帰らなきゃいけない書類の置いてある部屋がぐちゃぐちゃ過ぎて、どこに置いてあるのかわからなかったんだ。
ペアの先輩も私も同じ様な異能で、念の為気配を粗方消してたんだけど、どこに置いてあるのかわからない状況に私がパニックしちゃってつい、異能の発動を止めちゃったんだ。
相手は重要書類だから、結局取られまいとしてて嵌められてた。今まで異能を発動してたから気づかれなかったけど、止めちゃったせいで速攻気づかれちゃって、急遽脱出する事になったんだ。もう、その後もパニックし続けて、異能の発動も出来なくて、先輩の足を引っ張ってて…
ついに追い詰められたんだ。
「先輩!このままじゃ…」
「こら!菖蒲!弱音を吐くな!最期まで抗え!」
「…でもっ!」
「…菖蒲、例の物は持ってるか?」
「はい!ここにしっかりと。」
「菖蒲はまだ若い。未来を担っていく者だ。こんなおじさんより、未来がある。組織には俺の失態だと言っておけ。」
「せ、先輩!」
周りは相手からの追手ばかり。…二人で逃げ切れる確証は無かった。
「いいか!これが俺の遺言として受け取れ!組織には俺の失態だと言っておけ!菖蒲はそれを組織にしっかりと言わなければならない!この意味がわかるよな!必ず生き残れ!最後の一滴を使い切っても力を振り絞れ!ここから逃げ切れ!絶対だ!俺の死を無駄にするな!いいな!覚えておけ、今日の失態を!次に繋げろ!これが俺の遺言だ!計画書を読み込んでいた事は知っている。よく頑張った。そんな菖蒲ならこの言葉は一語一句忘れんだろう。忘れる事は許さない!」
「先輩!それは駄目です!」
「菖蒲!返事は『はい』しか認めない!」
この時、こんな押し問答を繰り返しても、両方共捕まるとしか思えなかった。だから…私は…返事をした。
「……はい」
「よし、よく言った。あとは頼んだぞ。」
そう言って、先輩は大勢の追手に向かって単騎で突撃していった。
「せんぱぁぁい!!!!!」
今でも私はあの時の先輩の後ろ姿は忘れていない。とても、勇敢だった。立派だった。私はすぐに走り出した。けど…
ゴキッ
すぐに嫌な音がした。私は振り向いてしまったんだ。
……そこには、首を折られて、無力に相手の追手の手の中でぶら下がっている先輩が居たんだ。相手は開発中のパワースーツと、警備用ロボットを使っていたみたいで、力は人外のものだった。
「う、うわあああああああ!」
そこから私は逃げた。逃げて、逃げて、逃げた。何度も足がもつれて、追いつかれそうになった。でも、逃げ続けた。諦めなかった。先輩の死を無駄にしないように。
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