ゲームと結婚した男

ひいらぎ

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人間以外との結婚生活 短編集

ゲームと結婚した男

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会の街中
大きなテレビ画面に街中の人が釘づけになっている。
ニュースキャスター「えーたった今新しい法律が可決されました!結婚相手が人間だけなんて考えはもう古いです!今はもう何でもありの時代です!動物でも植物でも物でも!さぁみなさん!自分が本当に大事だと思うものと未来を共にしましょう!!」
街中が混乱してざわついている。
人「えっ物?と結婚出来るってどう言う事?」
人「何か怪しいなーこわーい」
そんな中、木下草太は真剣にそのニュースを聞いていた。


○数日後、とあるビルの一室
草太はおそるおそるその部屋に入って行く。
数人程度の人が仕事をしていた。
草太に気付いた案内道絵(26)が笑顔で近づいてくる。
道絵「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」
草太「あ…あの…こちらで物と結婚する手続きをとっていただけると伺ったんですが…」
道絵「はい承っております。どなたとご結婚される予定ですか?」
草太「あ…あの…テッテレビゲームと…あっいや!やっぱり大丈夫です!」
草太その場を去ろうとする。
道絵「お待ち下さい」
草太「えっ……」
道絵「もしよろしければ少しお話ししませんか?」
道絵、草太にコーヒーをだす。
草太「ありがとうございます。……すみません…ちゃんと決断して来たのにいざとなるとつい動揺してしまって…」
道絵「いえいえ新しい法律が可決されたからまだそんな日にちが経ってませんし。仕方ないですよ」
草太「あの人間以外と結婚した人っているんですか?」
道絵「はい、100名程」
草太「あっそうなんですか多いのか少ないのかよくわかんないですね…」
道絵「そうですね。でもこれからどんどん増えると思います。物と結婚された方の8割は再婚の方でしたよ。」
草太「!!そうなんですね!……実は僕も3日前に離婚したばっかりなんです。結婚2年目で出張が多い仕事をしていて、あまり家には帰れない事が多かったんですがそれでも花ちゃん…元妻とは仲は悪くはなかったんです。でもある時気付いてしまったんです。仕事から帰ってきた時、僕が楽しみにしていたのは妻の笑顔でも温かい料理でもなくテレビゲームをする事だったんです。」
道絵「そうだったんですね」
草太「はい、休みの日も妻の事ほったらかしでゲームばかり…ひどい夫ですよね…」
道絵、草太の手をとる。
道絵「そんな事ないです。木下様にとって元奥様よりもテレビゲーム様の方が大事だった。結婚相手を間違えてしまった!それだけの事です!」
草太「え…」
道絵「よかったじゃないですか。自分にとって本当に大事な物が何か気づけて!これからはテレビゲーム様と素敵な未来を築いて下さい」
草太「そうか…そうですよね…」
道絵「そうです!」
草太「ありがとうございます!僕テレビゲームと結婚します!」
道絵「おめでとうございます!細かい説明などは後ほどメールでご連絡致します。ただ…ひとつ条件がありまして…テレビゲーム様は自分で言葉を発する事が出来ません。なので代わりに私共職員がテレビゲーム様の気持ちを代弁をする形になります。」
草太「代弁?」
道絵「はい、テレビゲーム様の中にこのICチップを入れさせて頂き木下様がテレビゲーム様にどのような扱いをしてるのかこちらでわかるシステムになっております。」
草太「えっそれって僕のプライベートが監視されてるって事ですか?」
道絵「いえ、あくまでテレビゲーム様とのやりとりのみですのでご安心して下さい」
草太「あ…はいそれなら別に」
道絵「ありがとうございます!それでは記念にテレビゲーム様とツーショット写真をおとりいたします」
草太「えっ写真?」
道絵「はい!ケジメや記念にもなりますしぜひお勧めしております」
草太「あ…そうですよね。じゃあお願いしようかな」
草太、タキシードを着てテレビゲームも花やリボンで飾り付けてもらって写真を撮る。


○数日後、草太の家 
テレビゲームをしている。
草太(おっ新しいソフトが出てる!よしっ片っ端からダウンロードしていくか!いやー本当最高だな。ゲームと結婚したらゲームにかかる電気代もソフトも全部タダ!もし壊れても修理代もだしてもらえる!あぁーなんでもっと早くゲームと結婚しなかったんだろー)
草太はゲームと結婚生活を楽しんでいる。

○数日後
残業で遅くに家に帰ってくる。
草太、風呂に入り歯を磨く。
布団に入ろうとしたその時チャイムが鳴る。
草太(誰だ?こんな遅い時間に…)
扉を開けるとそこには道絵が立っていた。
草太「案内さん!どうしたんですか?」
道絵「夜分遅くにすみません。テレビゲーム様のお気持ちを代弁しにきました。」
草太「え…」
道絵「今日は全くテレビゲーム様と交流を持たれていませんよね?」
草太「あっはい今日はもう疲れてしまって明日も早いですし…」
道絵「テレビゲーム様は今日一日ずっと木下様がお帰りになるのを待っておられたのです。お疲れだとは思いますが30分…いえ15分だけでもテレビゲーム様との時間を過ごしていただけませんか?まだ新婚なんですし」
草太「あ…はい…わかりました。」
道絵、にこりと笑って帰っていった。
草太(……少し戸惑ったけど…まぁそうだよな…テレビゲームと結婚したんだし…)
草太、20分だけゲームをしてから寝た。


○出張先のホテル
仕事が終わり草太の部屋でみんなで飲もうという話しになり同期の社員5人と一緒に草太の部屋に行く。
するとテレビゲームが置いてあった!
社員「え!!何でゲームがあんの!?」
草太「あー僕テレビゲームと結婚したんで出張先の、部屋にもゲームを届けてもらえるんだ。やっぱ夫婦はなるべく一緒に過ごした方がいいからって」
社員「マジかオレらにもやらせてくれよー」
みんなで楽しくゲームをする。
ある程度楽しんだら社員達それぞれ部屋に帰っていき草太1人になる。
部屋のノックがなる。
草太(?誰か忘れ物でもしたのかな)
扉を開けるとそこには道絵が立っていた。
草太「えっ案内さん!?何でここに?」
道絵「テレビゲーム様が傷ついておられるのでそれを伝えにまいりました。」
草太「えっ何でですか?」
道絵「おわかりにならないのですか!」
道絵、草太を睨みつける。
道絵「……テレビゲーム様を他の男にさわらせるなんて無神経にもほどがあります!自分の大事なテレビゲーム様が他の男にもて遊ばれてる姿を見て一緒に楽しんでるなんて!!」
草太、道絵の言い分についていけず言葉がでない。
道絵「さぁテレビゲーム様に心から謝って下さい!そして労ってあげて下さい!」
草太「えっ労るってういうのは…?」
道絵「他の男性に触られた所を丁寧に拭き取ってあげて下さい!それにホコリもだいぶ積もってるじゃありませんか!結婚されてるんですから大事にしてあげて下さい」
草太「あ………はい…わかりました…」
草太、力のない返事をする。
道絵「ご理解いただけてよかったです。では私はこれで失礼致します。」
道絵、にこりと笑って帰っていく。
草太、無表情でゲームをふきはじめる。
草太(…これが僕の望んでた結婚生活なのか……?)
草太の中で芽生えた違和感は日に日に大きくなっていった。


○数日後、ビルの一室
草太が扉を開け部屋の中に入る。
道絵「いらっしゃいませ木下様。どういったご用件で?」
草太「あの…テレビゲームと離婚しようと思って……」
道絵「そうですか残念です。差し支えなければ理由を伺っても大丈夫でしょうか?」
草太「今までは自分の好きな時間に好きなようにゲームをしてたからすごく楽しかったんです。でも結婚してからはゲームをする事が義務みたいになってきて全然楽しくなくなってしまったんです。」
道絵「そうですか…こちらからひとつ言っておかなければいけない事がありまして離婚されますと二度とテレビゲーム様と遊ぶ事は出来なくなりますがそれでも大丈夫でしょうか?」
草太「えっ!?そうなんですか!?」
道絵「特に理由がない限り別れた相手といつまでも繋がってるのはおかしいですし。」
草太「そう…ですよね…」
道絵「考え直されますか?」
草太、一瞬考えるが自分よ手を握り締めながら
草太「いえ!離婚でお願いします!」
道絵「わかりました。それでは手続きを致します。」
……しばらくして……
道絵「お待たせしました。離婚手続きが完了しました」
草太「ありがとうございます」
道絵「またどなたかと結婚する予定が出来ましたらまたお越し下さいね」
草太「はい!でも…出来ればもう一度花ちゃんとやり直したいと思ってるんです。ちゃんと謝ったら花ちゃん許してくれると思うんでそしたら2人でまたここに来ますね!」
道絵「……それではどうぞお元気で」
道絵、深々と頭を下げる。
草太(?てっきりお待ちしておりますって言ってくれると思ったのに…まぁいいか!待っててね花ちゃん)
草太、部屋を出て走り去る。

他の社員が道絵に話しかける。
社員「道絵さーん言ってあげなくてよかったんですか?花さんスマホ様と再婚してるって」
机にはウエディングドレス を着た花とスマホのツーショット写真が置いてあった。
道絵「こらこら他のお客様の個人情報は言えない決まりでしょ」
職員「あっそうでしたねーでも花様は木下様とまたやり直そうと思いますかねー?」
道絵「……無理でしょうね。スマホ様は一番人気だしスマホ様と離婚した方は一人もいないわ。…それに木下様はなぜ花様がいつまでも自分を好きでいると思ってるのかしら…結婚されてた頃、木下様がテレビゲーム様に心変わりしてたの見てるうちに花様もスマホ様に気持ちがいってしまってたのに…その事に気付いてもいないなんて…」
他の社員「ほらっそこの2人!無駄口たたいてないでお客様がいらっしゃったわよ!」
扉が開く。
道絵「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
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