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しおりを挟む三大公爵家のひとつ、テレーズ公爵家にうまれたシャルル=テレーズ。富も名誉も、そして美も、全てを手にし、そして将来は同い年であるチャールズ皇太子と婚約し王妃にまでなるのだと噂されていた。
そんなシャルルは、噂に違わずチャールズとその友人と、放課後の生徒会室で紅茶を嗜んでいた。
「で、結婚するんです?お二人は」
シャルルとチャールズが通う貴族学園の生徒のみならず、その親たちまでもが熱心に交わす議論が、そういえば、と紅茶にミルクを淹れるかどうか聞くようにさり気なく本人たちにぶつけられた。
「……だ、そうだが?如何お考えだ、姫」
チャールズは輝かんばかりの金髪を揺らし、美しい蒼い瞳でシャルルを見つめる。チャールズは王妃の美貌を受け継ぎ、その肖像画が国中に回るほど美しい顔をしている。そのため、身分も美しさも肩を並べる二人の結婚は国民から望まれていた。
シャルルは小さくため息を吐いてチャールズを睨みつける。可憐な花のような見た目をしているのに、どうしてそんなに威圧感が出てしまうのか。
「だめよ、わたくしよりちやほやされて育った男は御免なの」
「そうだ、シャルルは性格が悪い」
シャルルは細い指でティーカップを持ち上げ、それを隣に座るチャールズに掛ける仕草をした。もちろん一滴たりとも中身は零れず、チャールズが危なげなくカップを取り上げる。
「おまえのせいでわたくしの紅茶がなくなったわ、淹れなさい」
「ほら性格が悪い」
シャルルは同級生かつ先ほどの質問を不躾に投げかけてきたアーロインに視線を向ける。アーロインはシャルルの圧にも屈さず、人好きのいい笑みをにこりと浮かべた。
「じゃあ俺もダメですね、三男なんで甘やかされ放題でした」
「そうね。でもわたくしは海外には行かないから、何かあったらおまえに嫁ぎに行くわ」
「やったあ、シャルルさまがチャールズ殿下の怒りを買って、ご実家から追放ぐらいされたらワンチャンありますね」
「無理だろうなぁ」
チャールズが笑って、立ち上がった。そしてシャルルの冷めた紅茶を一気に飲み干し、キッチンスペースの方へ行く。学園では皆が平等と謳われてはいるが、未来の王が手ずから紅茶を淹れ直そうとしているのに「当たり前だ」とばかりにその背を見送ったシャルル。流石だなぁ、とアーロインは感心して、結婚すればいいのになぁともひとりごちた。
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