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成長と新しい道
出会い
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「才能のある人と仲良くしなさい」
お母さんの口癖だ。
小さい時から言われ続けてきたこの言葉のせいで高校生にもなって友達は片手で数えれるほどしかいない。
そんな僕は夢もこれと言ってなく特に行きたい高校も無かったので、1番近い小山学園に通っている。
友達がほとんどいない俺を気遣って斜め前に家がある幼馴染小浦しおんも俺と同じ小山学園に入学した。
「レアト!朝やしそろそろ起きなさいよ~
学校遅刻するし、しおん君もう待ってるよ~。」
今日も母のなぜか上手い関西弁で目が覚める。
時計を見ると朝の八時だ。どうも俺は目覚まし時計の音で起きれない体質らしい。
眠たい目を擦り制服に着替えて、コンタクトを入れ朝飯なんて物は食わずに家をでる。
もちろん寝起きなので歯は磨いている。
ドアを開けると今からどこか旅行に行くかのようなテンションで待っている小浦しおんがいた。
「レアトおはよう!!!今日はええ天気やな!!今日こそ友達作るんやで!」
「はいはい。頑張りますって。」
しおんはこのお決まりのセリフを毎日言ってくる。
正直めんどくさい所もあるが、そろそろ友達を作らないと今後の生活に関わってくる。
(お母さんの口癖がなかったらな~)
そんな事を考えつつ二人で学校へ向かう。1番近いと言っても歩いて十五分ほどだ。
着く頃にはほとんどの生徒が登校している。
「レアトさぁ昨日のアニメみた?!めっちゃおもろいやつ見つけてさ!まじでおもろいし今日でもいいから漫画探しに行かん???」
「どっちでもいいでー」
いつものようにしおんが喋っては俺が返事をする会話が続く。
そんな会話が続くなか一際異彩なオーラを放つ女子生徒が俺ら二人を颯爽と抜かして早々と歩いていく。
短いとても綺麗な髪におおきな目、綺麗な唇にとてもスタイリッシュな体を持つ彼女は
空絵りあだ。
とても美しい彼女は同じ学年なら知らない人がいない人気者でファンクラブもあると噂で聞く。
しかし、彼女は美しい代わりにとても謎が多い人でSNSを一つをしてないらしい。
彼女には友達がいるのか、という疑問と
自分と友達になってくれないかな、という期待をいつも抱きながら彼女の事を目で追う。
「あいつってレアトと似たような人やんな。」
「え、どこが似てるねん」
「だってめっちゃ可愛いのにSNSやってないねんで?!レアトも一応ハーフでかっこいいって言われてんのにインスタのフォロー来ても返さんやん??」
「そんなんやってないのと一緒やん!」
「それは確かにそうかもなー。」
言われていれば似てる部分があるかもしれないが、それ以外に彼女は俺とは違う何かがある気がするのだ。
「とりあえずレアトさぁ、しおんさんに話しかけてみたら?」
「はぁ?なんでよ。」
「似た者同士なんか通じる者があるかもしれんやん????」
「俺は一つも似てると思わんけどなぁ~。
けど、入学して一ヶ月も経ったのにしおん以外友達がいないのはやばいとは思ってる。」
「勇気だして友達なってこい!結城だけに」
しおんの面白くないボケはほっておいて、はたして俺は空絵りあに話しかけることは出来るのだろうか。
そんな事を考えているともう教室は目の前だ。
「今日中に話しかけるように努力するわ~。」
そう言い残し俺は教室に入っていった。
***
(さぁどう話しかけよう、実際に話しかけることが出来たとしてそこから話題を広げる事はできるのか。)
一時間目の数一の授業は一切頭に入ってこず、空絵りあの事しか頭に無い。
怖い事に彼女とはクラスが同じで、もっと怖い事に彼女の先は俺の斜め前の席なのだ。
同じクラスメイトだから話す事なんて容易い
と思いたいところだが、客観的に見ると友達の数が少ないハーフの俺と、ファンクラブがあるという噂の空絵りあの二人が教室で会話をしていたら、おかしい状況になるのは間違いない。
そんな気がする。
色々考えすぎ、時間はもう昼ごはんの時間になってしまった。
お母さんの弁当を持ち、しおんと二人で屋上に行く。小山学園はめずらしく屋上が開放されている校舎がある。
屋上のドアを開けると奥の方で一人でご飯を食べている空絵りあがいた。
「あ、レアトごめん!俺早弁して弁当なくなったんやった!購買行くから先食べといて!」
「あ、おい!」
ウサインボルトかというぐらいの速さで階段を降りていくしおん。
「あんな遠回しに言わんでも、話しかけてこいってことぐらい分かるわ。」
と呆れた小言が漏れる。
実際チャンスなのでここは漢魂で行くしかないと決心し、隣の空いてる部分に座る。
「隣良いですか??」
「あ、全然いいですよ。」
この辺で心臓はバクバクだ。女子と目を合わせるのだけでも俺にとっては珍しいのに、話しかけてしまった。
弁当を食べながら何を話そうかと考えていると彼女の方から話しかけてきた。
「いつもここでご飯を食べているのですか??」
「え????」
当然驚きはした。
その内容もだが、それよりも驚いたのは彼女からの目だ。
すごい目力で俺を見てくるのだ。
(え、俺今尋問されてる??え、殺させるのかな)
「今日は友達がいなくて、教室だとちょっと空気が嫌だったので、ここに、、」
返事の選択を失敗すると殺させる、そう思った俺は一つも噛む事なく返事をした。
「ではなぜ私の隣に???」
確かにそうだ。
彼女のとなりではなくとも他の席は空いている。
ここは正直に言うしかない。
「実を言うと空絵さんと友達になりたくて、なんだか自分で言うのも恥ずかしい所はあるけど、似てる部分があるというか。」
「そうでしたか、では友達になりましょう」
「え、あ、はい。お願いします。」
まさかの返事に二度目の驚きだ。
先程のような目力はもうすでになくいつもの美しい空絵りあに戻っていた。
「あの、本当に友達になってくれるんですか??」
「なりたいと言ったのでは???」
「はい、言いました。」
「なのでなります。」
おそらく彼女は少し他の人とはずれている。
友達がいない俺でもわかるくらいにだ。
それでもそれよりも俺は彼女の美しさに見惚れていた。
そこからは何を話したか覚えていない。
頭がパンクしてしまい脳が働かなかった。
予鈴のチャイムがあり、俺ら二人の生徒は教室に戻っていき屋上は俺ら二人きりだ。
「じゃあ、そろそろ教室に戻らない??」
「そうですね。時間ですし。とりあえずあなたは別の所から教室に戻って。」
「え??」
「一緒に帰ったらおかしいでしょう?」
「あー確かにそうだね。」
彼女も俺と同じ考えだったので少し安心した。
「あなた本当にわたしと友達になりたいの??」
「まぁうん。」
「はっきりとどっち?!」
「はい!なりたいです!!」
急に大きな声で言われたので思わず反射的に口に出してしまった。
実際なりたいから良かったが。
「じゃあ今日の夜七時に京阪の伏見稲荷駅に集合ね。それじゃあまた夜に。」
「え、、ちょっと待って。」
彼女から言われた謎の約束。本当に謎でしかない。
驚きと不安を抱えながら俺は教室に戻った。
そこからの授業中の彼女はいつも通りで俺もいつも通り授業を受けた。
***
今日の授業が終わりしおんと帰路につく。
「空絵さんとはどうやった?!」
「まぁ友達?にはなれたのかな。」
「それは大勝利やな!
とりあえず言ってたアニメの原作探しに行くかぁ~。話はそのあとやな!」
「 ちょっとそれはまた今度にしよ。」
「え、なんでやねん?」
「まぁ今度話すよ。」
「そか!じゃあまた明日!」
そう言ってしおんは家に入っていった。
何かあったのかはバレてはいるがそんな事よりも、これから空絵りあに会いに行く、というので頭がいっぱいだ。
自分の部屋でその時間を刻一刻と待つ。
時間が来てしまった。
頭がまだ整理されていないが行くしかない。
幸い駅は近いので自転車で駅までいった。
伏見稲荷駅に着くとやはり異彩なオーラを放つ彼女がいた。
「あのーこんばんわです。」
クラスメイトなのに変な敬語で挨拶をする。
「どうも結城さんこんばんわです。」
彼女を変な敬語で返してきた。
なぜか親近感が湧いてくる。
「では行きましょうか。」
そう言う彼女に俺はついていくしかないので、黙ってついていく。
これはデートなのでは、と思いつつ彼女の速度に全力でなおかつバレない程度に歩いていく。
ついたのは伏見稲荷神社。
千本鳥居で有名なあの場所だ。
夜にこの場所に来るのは初めてで、少し不気味な空気が漂っている。
「では、こちらです。」
「あ、はい。」
もう到着したのでは、そう感じる部分はあるが彼女的にはまだなのだろう。
空絵りあは早々と歩いていき、大きな鳥居をくぐった。
そして、空絵りあは消えた。
お母さんの口癖だ。
小さい時から言われ続けてきたこの言葉のせいで高校生にもなって友達は片手で数えれるほどしかいない。
そんな僕は夢もこれと言ってなく特に行きたい高校も無かったので、1番近い小山学園に通っている。
友達がほとんどいない俺を気遣って斜め前に家がある幼馴染小浦しおんも俺と同じ小山学園に入学した。
「レアト!朝やしそろそろ起きなさいよ~
学校遅刻するし、しおん君もう待ってるよ~。」
今日も母のなぜか上手い関西弁で目が覚める。
時計を見ると朝の八時だ。どうも俺は目覚まし時計の音で起きれない体質らしい。
眠たい目を擦り制服に着替えて、コンタクトを入れ朝飯なんて物は食わずに家をでる。
もちろん寝起きなので歯は磨いている。
ドアを開けると今からどこか旅行に行くかのようなテンションで待っている小浦しおんがいた。
「レアトおはよう!!!今日はええ天気やな!!今日こそ友達作るんやで!」
「はいはい。頑張りますって。」
しおんはこのお決まりのセリフを毎日言ってくる。
正直めんどくさい所もあるが、そろそろ友達を作らないと今後の生活に関わってくる。
(お母さんの口癖がなかったらな~)
そんな事を考えつつ二人で学校へ向かう。1番近いと言っても歩いて十五分ほどだ。
着く頃にはほとんどの生徒が登校している。
「レアトさぁ昨日のアニメみた?!めっちゃおもろいやつ見つけてさ!まじでおもろいし今日でもいいから漫画探しに行かん???」
「どっちでもいいでー」
いつものようにしおんが喋っては俺が返事をする会話が続く。
そんな会話が続くなか一際異彩なオーラを放つ女子生徒が俺ら二人を颯爽と抜かして早々と歩いていく。
短いとても綺麗な髪におおきな目、綺麗な唇にとてもスタイリッシュな体を持つ彼女は
空絵りあだ。
とても美しい彼女は同じ学年なら知らない人がいない人気者でファンクラブもあると噂で聞く。
しかし、彼女は美しい代わりにとても謎が多い人でSNSを一つをしてないらしい。
彼女には友達がいるのか、という疑問と
自分と友達になってくれないかな、という期待をいつも抱きながら彼女の事を目で追う。
「あいつってレアトと似たような人やんな。」
「え、どこが似てるねん」
「だってめっちゃ可愛いのにSNSやってないねんで?!レアトも一応ハーフでかっこいいって言われてんのにインスタのフォロー来ても返さんやん??」
「そんなんやってないのと一緒やん!」
「それは確かにそうかもなー。」
言われていれば似てる部分があるかもしれないが、それ以外に彼女は俺とは違う何かがある気がするのだ。
「とりあえずレアトさぁ、しおんさんに話しかけてみたら?」
「はぁ?なんでよ。」
「似た者同士なんか通じる者があるかもしれんやん????」
「俺は一つも似てると思わんけどなぁ~。
けど、入学して一ヶ月も経ったのにしおん以外友達がいないのはやばいとは思ってる。」
「勇気だして友達なってこい!結城だけに」
しおんの面白くないボケはほっておいて、はたして俺は空絵りあに話しかけることは出来るのだろうか。
そんな事を考えているともう教室は目の前だ。
「今日中に話しかけるように努力するわ~。」
そう言い残し俺は教室に入っていった。
***
(さぁどう話しかけよう、実際に話しかけることが出来たとしてそこから話題を広げる事はできるのか。)
一時間目の数一の授業は一切頭に入ってこず、空絵りあの事しか頭に無い。
怖い事に彼女とはクラスが同じで、もっと怖い事に彼女の先は俺の斜め前の席なのだ。
同じクラスメイトだから話す事なんて容易い
と思いたいところだが、客観的に見ると友達の数が少ないハーフの俺と、ファンクラブがあるという噂の空絵りあの二人が教室で会話をしていたら、おかしい状況になるのは間違いない。
そんな気がする。
色々考えすぎ、時間はもう昼ごはんの時間になってしまった。
お母さんの弁当を持ち、しおんと二人で屋上に行く。小山学園はめずらしく屋上が開放されている校舎がある。
屋上のドアを開けると奥の方で一人でご飯を食べている空絵りあがいた。
「あ、レアトごめん!俺早弁して弁当なくなったんやった!購買行くから先食べといて!」
「あ、おい!」
ウサインボルトかというぐらいの速さで階段を降りていくしおん。
「あんな遠回しに言わんでも、話しかけてこいってことぐらい分かるわ。」
と呆れた小言が漏れる。
実際チャンスなのでここは漢魂で行くしかないと決心し、隣の空いてる部分に座る。
「隣良いですか??」
「あ、全然いいですよ。」
この辺で心臓はバクバクだ。女子と目を合わせるのだけでも俺にとっては珍しいのに、話しかけてしまった。
弁当を食べながら何を話そうかと考えていると彼女の方から話しかけてきた。
「いつもここでご飯を食べているのですか??」
「え????」
当然驚きはした。
その内容もだが、それよりも驚いたのは彼女からの目だ。
すごい目力で俺を見てくるのだ。
(え、俺今尋問されてる??え、殺させるのかな)
「今日は友達がいなくて、教室だとちょっと空気が嫌だったので、ここに、、」
返事の選択を失敗すると殺させる、そう思った俺は一つも噛む事なく返事をした。
「ではなぜ私の隣に???」
確かにそうだ。
彼女のとなりではなくとも他の席は空いている。
ここは正直に言うしかない。
「実を言うと空絵さんと友達になりたくて、なんだか自分で言うのも恥ずかしい所はあるけど、似てる部分があるというか。」
「そうでしたか、では友達になりましょう」
「え、あ、はい。お願いします。」
まさかの返事に二度目の驚きだ。
先程のような目力はもうすでになくいつもの美しい空絵りあに戻っていた。
「あの、本当に友達になってくれるんですか??」
「なりたいと言ったのでは???」
「はい、言いました。」
「なのでなります。」
おそらく彼女は少し他の人とはずれている。
友達がいない俺でもわかるくらいにだ。
それでもそれよりも俺は彼女の美しさに見惚れていた。
そこからは何を話したか覚えていない。
頭がパンクしてしまい脳が働かなかった。
予鈴のチャイムがあり、俺ら二人の生徒は教室に戻っていき屋上は俺ら二人きりだ。
「じゃあ、そろそろ教室に戻らない??」
「そうですね。時間ですし。とりあえずあなたは別の所から教室に戻って。」
「え??」
「一緒に帰ったらおかしいでしょう?」
「あー確かにそうだね。」
彼女も俺と同じ考えだったので少し安心した。
「あなた本当にわたしと友達になりたいの??」
「まぁうん。」
「はっきりとどっち?!」
「はい!なりたいです!!」
急に大きな声で言われたので思わず反射的に口に出してしまった。
実際なりたいから良かったが。
「じゃあ今日の夜七時に京阪の伏見稲荷駅に集合ね。それじゃあまた夜に。」
「え、、ちょっと待って。」
彼女から言われた謎の約束。本当に謎でしかない。
驚きと不安を抱えながら俺は教室に戻った。
そこからの授業中の彼女はいつも通りで俺もいつも通り授業を受けた。
***
今日の授業が終わりしおんと帰路につく。
「空絵さんとはどうやった?!」
「まぁ友達?にはなれたのかな。」
「それは大勝利やな!
とりあえず言ってたアニメの原作探しに行くかぁ~。話はそのあとやな!」
「 ちょっとそれはまた今度にしよ。」
「え、なんでやねん?」
「まぁ今度話すよ。」
「そか!じゃあまた明日!」
そう言ってしおんは家に入っていった。
何かあったのかはバレてはいるがそんな事よりも、これから空絵りあに会いに行く、というので頭がいっぱいだ。
自分の部屋でその時間を刻一刻と待つ。
時間が来てしまった。
頭がまだ整理されていないが行くしかない。
幸い駅は近いので自転車で駅までいった。
伏見稲荷駅に着くとやはり異彩なオーラを放つ彼女がいた。
「あのーこんばんわです。」
クラスメイトなのに変な敬語で挨拶をする。
「どうも結城さんこんばんわです。」
彼女を変な敬語で返してきた。
なぜか親近感が湧いてくる。
「では行きましょうか。」
そう言う彼女に俺はついていくしかないので、黙ってついていく。
これはデートなのでは、と思いつつ彼女の速度に全力でなおかつバレない程度に歩いていく。
ついたのは伏見稲荷神社。
千本鳥居で有名なあの場所だ。
夜にこの場所に来るのは初めてで、少し不気味な空気が漂っている。
「では、こちらです。」
「あ、はい。」
もう到着したのでは、そう感じる部分はあるが彼女的にはまだなのだろう。
空絵りあは早々と歩いていき、大きな鳥居をくぐった。
そして、空絵りあは消えた。
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