戦国魔法奇譚

結城健三

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岐阜城再建

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「では、今夜は、城下の空き家をお借りして、休ませて頂きましょう」
子供達に囲まれたエヴァが、茶々を抱き上げながら、頭を撫でる

「天女様。。。天女様は、どうしておりん様とお雪先生の匂いがするのですか?
天女様の匂いを楽しみにしていたのに。。。」

「それはね、あの2人に吸いつくされてしまったようです」
半泣きで、おりんとお雪を睨む 茶々

「そういえば、忠勝殿の姿が見当たりませんが?」
話題を変えようと、おりんが聞いてくる

「忠勝殿は、おりんちゃんに頂いた毘沙門天と千手観音に、さらに護法魔王尊の加護を授かって
三位一体·尊天の加護を頂くのだと、鞍馬寺の奥の院·魔王殿に行かれました」

「えっ!?魔王殿に行かれたのですか。。。天女様、私は魔王殿の事を忠勝殿に教えてはいませんよ 
せめて天女様をお守りできるようにと、毘沙門天と千手観音の加護は分け与えましたが。。。」
ひどく慌てた様子のおりん

「ええ わかっています 私と忠勝殿でお玉様から無理を言って聞き出したのです」

「魔王殿で尊天の加護を授かった者は、未だに居りません 尊天の加護を必要とするような、厄災に見舞われなかったと言う事もありますが。。。あそこの試練は、いくつかあり控えめに言っても、地獄か。。。あるいは地獄。。。もう地獄しかありません」

「わ。。。私は、そんな所に旦那様を行かせてしまったのですか!?」

「普通の人間に、あの試練を乗り越えられるとは思いませんが、忠勝殿なら、もう一度
天女様の顔を見たさに無事に戻ってくるかもしれません 信じて待つよりありません」

「それは、もちろん信じていますが。。。今頃、地獄のような試練に挑んでいるのですね。。。」

「天女様! 忠勝殿は、天女様と結ばれたのですから、地獄の責め苦くらい 物の数ではありません!! 
天女様の側にいる為に、明日にも、のこのこと戻ってきますよ」

稲葉山の麓にほど近い宿屋を今夜の宿とし ブルート等と囲炉裏を囲む
「そして、下鴨神社に着いた時に、お玉様の意識が戻って“この呪いは、誰にも解けないと、忠勝殿を手伝ってから逝く”と言って、光の粒となって天に帰られてしまいました
その時に、この殺生石に光の粒が吸い込まれるのを確かに見たのです」
そう言い、ブルートの手の平に殺生石を載せる エヴァ

「なるほど、鑑定するまでも無く これには、凄まじい妖力が込められているな」

「この独鈷杵とその殺生石を、アランに錬成して貰いたいのです」
「ふむ。。。青龍と。。。妖狐か。。。この独鈷杵の中に。。。収まりきれないかも」

「形状は、お任せします 杖や錫杖がしっくりきますが お玉様と青龍のなりたい形にしてあげて下さい」


翌朝、稲葉山の山頂にて、新岐阜城の図面を広げる ブルート
「まずは、この図面の様に、直径200mの円形に深さ50mでこの山をくり抜く事からだ
まずは、お雪ちゃんに全員に鼓舞を掛けてもらい 土魔法を使える者で掘削してくれ
その土砂を風魔法を使える者が、外周に積み上げ、火魔法を使える者が、掘削した内部を焼き固めていく 
その基礎が出来るまでの間、羽柴組と弓兵の皆さんには、調度用の材木の調達を頼みたい」

「「「「「「「「「「わかりました!!!!!」」」」」」」」」」

「それと正宗君と幸村君、火の精霊エフリートと鉄の精霊フェローは、明日以降上面の
仕上げに活躍して貰うことになる 魔力の残量に気をつけながら作業してくれ」

「「はいっ!!ブルート先生!!」」
ルイ、アラン、信勝、満腹丸、正宗が、直径200mの円の外周部に間隔を開けて立ち
土魔法で、一気に掘削していく ごっごっごっごっごっごっごっっごっごっごっ!!!!
耳をつんざくような爆音をあげ、山全体が縦に横にと地震のような揺れに襲われる
盛り上がってきた土砂を、ブルート、茶々、千代、信忠が風魔法に乗せどっさどっさと
外周部に積み上げていく

「しかし兄上、いつ見ても凄まじいですな!」

「こりゃ、本当に今日1日で基礎まで終わるかもしれん!急いで材木の調達に行くぞ!」


少し離れて材木の伐採に励んでいる、羽柴組の面々が、山頂を見上げると
稲葉山の山頂から、いく筋もの土砂が舞い上がり 山の中腹あたりに着地する 
あたかも数匹の龍が、稲葉山で舞踊っているように見えたと後に語っている

3時間ほどで、地下へ地下へと掘り進む作業も、20mを超え 魔力回復の為に早めの
昼食を兼ねた休憩となる
ルイの空間収納から、岩村城で山のように握ってもらった 握り飯を取り出し
全員に配る
「ではみなさん、食後には2時間ほど仮眠をとって下さい 魔力が早く回復しますからね 
休むのも仕事ですよ」

「「「「「「「「「はい!天女様!!」」」」」」」」」

「では、ルイ 羽柴組のみなさんにも昼食を届けに行きましょう」

「ああ そうだな行こうか」


麓への道を下っていくと、どこからか聞こえてくる、勇ましい歌声

「♬♪俺たちゃ 木を切る~ヘイヘイホー ヘイヘイホー♪♫」

「♬♪俺たちゃ 皮を剥く~ヘイヘイホー ヘイヘイホー♪♫」

木こり顔負けの手際で、木々を伐採していく羽柴組と弓兵の面々
伐採された丸太を麓まで下ろす部隊 皮剥きをする部隊 大割りする部隊 
挽き割りする部隊に分かれ、効率よく製材された木々が積み上がっていく
「これは、天女様とルイ殿、ご苦労様でございます」

「羽柴殿、お疲れ様です 昼食を届けに参りました それにしましても凄い手際ですね
羽柴組のみなさんは、何でも出来てしまうのですね」

「はははっ 戦闘は、からっきしですが 土と木を扱う事でしたらお任せ下さい」

「それは、頼もしいです! お渡しした図面のような寝台、卓、椅子の制作も可能でしょうか?」

「それもお任せ下さい!ただ木を乾燥させるのに、数週間の時間が必要になりますが」

「それには、考えがあります」
積み重ねられた製材済の材木に手をかざし 封印魔法で密閉すると
風魔法に火魔法を乗せ、適度な温風を高速で循環させる これにより材木の内部から強制的に湿気を追い出し さらに重力魔法で圧縮することで、歪みも反りもない完璧な材木が出来上がる
「エヴァ。。。材木の乾燥にどれだけ複雑な術式を。。。」

そして数時間後、目覚めた天武の面々による作業が再開し
ドドドドドドォォォォォッ!!!!!!
ガガガガガガガッァァァァァァッ!!!!! バババババババッァァァァァッ!!!!!
ゴゴゴゴゴゴッォォォォォッ!!!!!! 縦揺れに横揺れ 爆音がこだまする


「今日の作業は、ここまでにしようか みんなお疲れ様」

「「「「「「「「「「お疲れ様です!! ブルート先生!!」」」」」」」」」」
地下50mまで掘り進められ、壁に高い圧力をかけながら、火魔法により焼き固められ
結晶化された壁面からは、所々赤や青の鉱石がキラキラと光を反射し、なんとも幻想的な
雰囲気を醸し出している

「ブルート!あれってルビーやエメラルドだよな!?」

「そうだな、ここの地脈が酸化アルミニウムやクロムが多いって事だな かなりの強度が期待できるな」

「いやいや あれだけで一財産だろ? お雪ちゃんに指輪を何個作れるだろう?」

「明日には、鉄化ですべて覆い尽くすから、見れるのも今日だけだけどな」

この夜、深夜までヤモリのように壁面を這いずり周り、カンッ!カンッ!カンッ!と宝石をほじくる
ルイの姿を見たものは居なかった


その頃、本多忠勝は、身も心もボロボロに憔悴しきっていた
虚ろな目で大空を見上げる またしても全裸で、大海原に小さな筏で投げ出され
照りつける太陽に全身を焼かれる 忠勝の精神も極限まで追い込まれ、自分がもはや
どの位の期間この海原を漂っているのかさえ、さだかでは無い 夜の無い世界で空を見上げること以外に出来ることが無く 1ヶ月にも2ヶ月にも感じられる時間 
食事を摂ることも 睡眠を取ることも出来ずに、小さな筏の上で寝返りを打つ事もできず継続して襲ってくる痛みに耐え続けている
投げ出された当初は、手足の指先から、自分の細胞が燃えるような、ひっくり返るような
激しい痛みに襲われていた もしも痛みに耐えかねて海にでも落ちれば
2度と這い上がれぬような、自分の身体の制御をすべて奪われるほどの激痛
指先の激痛が収まってくると、手の平へと足の甲へと徐々に身体の中心に向かって
登ってくる 細胞が燃えつき、新たな細胞が生まれているとでも言うのだろうか。。。
「地獄の試練と言っていたが。。。これは、無理だろう?」

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