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一章 帝都で夜遊び
015 酒場にて
酒場ですったもんだあった挙げ句、なんとか店主からもお酒を出してもらえることになったけどミルクを頼んだフィリップは、世間話を開始する。
「帝都は今日初めて来たんだけど、広すぎて何度も迷子になっちゃったよ~」
「そりゃ親御さんも心配しただろうな」
「ハタチ。僕はハタチだから、親も心配しないの。このあと娼館にも行く予定だから、酒を控えてるんだよ」
「あ、そ、そうだった。でも、娼館は……なんでもありません」
いくら腕っ節が強くとも、どうしてもフィリップのことが大人に見えない店主。子供に娼館なんて勧められないので止めようとしたけど、睨まれて黙ってしまった。
「チェンジ! 女の子いないの? チップも弾むよ??」
「そういう店ではないんだが……」
「ちょっと世間話するだけだよ。マスターが話をしづらそうなんだもん」
「はあ……」
常識人のマスターは追い払い、連れて来てもらったのは奥さん。人妻に手を出すのは気が引けたのでこれもチェンジして、店主の娘で看板娘、やや日焼けした肌で赤毛のミア21歳を隣に座らせて話をするフィリップ。
「お触りはどこまでオッケー?」
「アハハ。この子、おもしろ~い」
フィリップ的にはマジで聞いたのに、ミアには笑ってスカされてしまった。冗談だと思っているみたいだ。
「銀貨1枚でどこまで触っていい??」
「え……マジだったの??」
でも、銀貨をスッと出したら引かれた。大真面目な顔してるもん。
「いや~。こういう店、疎いからね。どう遊んだらいいかわからないから、情報料を先払いしただけだよ~」
「じゃあ太もも触るなよ」
「あ、ゴメンゴメン」
ミアに冷めた目で見られたフィリップは言い訳。セクハラまでしていては謝るしかないわな。
「うちはお触り禁止ね。触ったらパパが出て来るから気を付けて」
「パパって……このマスターのこと? めっちゃ首振ってるけど……」
「いつもは! パパもビビらないでよ!!」
フィリップが大の男を投げ捨てていたのだから、店主は戦意喪失。というか、子供と関わり合いたくないらしい。
「まぁいいや。服とか武器防具、あと食材を買うところや飲食店、冒険者ギルドがあるなら知りたいな。それと女性と飲めるお店と抱ける店だけ教えて」
「多いし最後のふたつは女の私に聞くなよ」
「アハハ。あとでマスターにでも聞くよ」
いらないことを聞いてまたミアを怒らせてしまったけど、銀貨は欲しいからかペラペラ喋って教えてくれる。一番ほしかった冒険者ギルドみたいな組織は一切ないので、フィリップはガッカリ。
その他の内容もフィリップはメモに取っていたが、夜しか出歩けないからどうしようとか考えながら。やはり夜でもやってる店もプラスしたら、店主の知り合いの店なら予約したら開けてくれることとなった。
「なんでそんなに夜にこだわるの? 昼間行けばいいじゃない」
「僕、ヴァンパイアなんだ。だから太陽の光に当たると死んじゃうの」
「ウソつけ。モンスターがダンジョンから出て来るかよ」
「アハハ。もうバレちゃったか~。でも、太陽の光に弱いのは本当なの。すぐ日焼けして、酷い場合は水ぶくれとか、しばらく動けなくなっちゃうんだよね~」
「それは……なんか悪いこと聞いたね……」
ヴァンパイア説よりはマシな嘘を信じてしまったミア。口は悪いけど、根はいい子なのかもしれない。
「だから女遊びぐらいしか楽しみがないんだよね~。今晩どう?」
「それでオッケーする女がいると思うのか?」
「あ、冗談冗談。冗談だよ~?」
「このエロガキめ……」
でも、フィリップがまたいらんこと言ったので、肌が弱い説も噓じゃないかと睨んでる。
「じゃあさ、女の口説き方教えてくれない? お姉さん美人だから、口説かれまくってるでしょ?」
「いや、ウチはそれほどでも……」
「あ、やっぱりけっこうありそうだね。口説かれた名文句とか、一晩だけならオッケーしちゃった名言とか聞かせて欲しいな~」
「ないし! 彼氏いないし! ワンナイトで終わったことないし!!」
フィリップの要望は、ミアの父親が目の前にいるので受け入れられず。興味津々で聞き耳立ててるもん。
しかしもう1枚銀貨を積んだら、友達の話として教えてくれた。フィリップはニヤニヤ聞き、店主は怒っているような悲しいような顔で聞いているから、バレバレみたいだけど……
「アハハハ。あ~。おかしい。最初から失敗談のほう聞いとけばよかったよ」
ミアを口説こうとして失敗した酔っ払い共の話は、フィリップに好評。店主が殴ったりミアがドロップキックしたりのバイオレンスだったから面白かったらしい。
「アレ? だいぶ人減ってるね」
「そろそろ閉店だからね」
「そっか~。じゃあ僕も出ないと行けないのか。あ、そだ。朝までやってるような店は知らない?」
「朝までとなったら、それこそ娼館ぐらいしか……ウチは知らない」
「マスター。教えて~」
最後の情報は、店主が行き付けではなく、店主の友達が行き付けのお店。娘からは汚物でも見るような目で見られていたから、行ってるとバレてるなこれ。
「んじゃ、いくら?」
「情報料だけで銀貨2枚も貰ったし、ミルクぐらいはウチの奢りにしておくよ」
「それじゃあ僕の気が済まないよ~……そうだ。ジュースを何本か仕入れておいて。これ、先払いね。ごちそうさま~」
「……ちょっと! 多すぎるよ!!」
フィリップは銀貨を5枚置いて立ち去るので、ミアは「意外とスマートでカッコイイ」とか思って出足が遅れた。
しかし貰いすぎなので追いかけて外に出たけど、しばらくしたらトボトボとカウンターに戻って来たので、店主が不思議そうに声を掛ける。
「どうした? 返して来たんだろ??」
「いや、もう姿形もなかったんだけど……あの子、本当に存在してたのかな??」
「怖いこと言うなよ~。寝れなくなるだろ~」
「乙女か。キモッ」
人間が消えるには早すぎたので、フィリップのことを子供の幽霊か何かと思うミアたちであった……
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