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三章 夏休みは夜遊び
053 女性の口説き方
しおりを挟む酒場でナンパしたベロンベロンの女性2人と楽しんだフィリップは、明るくなる前にシャワーを浴び、宿を出て帰宅。ダグマーに夜遊びがバレないように何度も匂いとかを確認してからベッドに飛び込んだ。
ここで寝てしまうと仮病を使えないので、ダグマーが部屋に入って来るまで酒場で得た情報をまとめる。そしてダグマーに熱があるのを確認させたらようやく就寝。
夕方にちょっと食べて、心配するダグマーが出て行ったら、夜の街へと繰り出す。
今日は予定通り違う酒場に行こうとフィリップが外町の大通りを風を切って歩いていたら、昨日行った酒場の角刈りのオッサン店主、マッツとバッタリ出会った。
「あんた!」
「えっと……昨日のマスターだよね? こんなところでどうしたの??」
「酒が思うように手に入らなくてな~。だから今日は俺も飲みに出たら、偶然な」
「へ~。てっきり娼館に連れて行ってほしいから、待ち伏せしてたのかと思ったよ~」
「ギクッ!」
「やっぱり……」
マッツの嘘はフィリップにバレバレ。でも、ちゃんと吐かせたら、本当に営業するにはお酒が心許なかったらしい。
「それはわかったけど、しばらく僕に近付かないほうがいいよ?」
「そんな連れないこと言うなよ~」
「いや、僕のお金目当てに、悪者がやって来ると思うし……」
「そんなヤツ、俺がブッ飛ばしてやら~」
「だったら止めないけど……じゃあ、女の子と飲める店に連れてって」
「かしこまり!」
威勢のいいことを言うマッツには行き付けではなく、行きたくても高いから行けなかったクラブを紹介してもらい、社会勉強とか言って忍び込むフィリップ。
そこでも「僕の奢りだ~!」と金をバラ蒔き、ナンバー1とナンバー2の綺麗な女性を独り占め。マッツにもおこぼれの女性を2人付けてあげたら情報を出させていた。
「なるほどね~。行き付けの娼館で病気もらったんだ」
「アレはヤバかった。女房にもバレたし、痒いのなんのって」
「まさかそこを紹介するつもりだったの?」
「いや、いい女がいるって聞いた高いほうをな」
「そこはそんなに高いの??」
「俺がギリ行ける程度だけど……もっと高いところなんてしらねぇよ」
フィリップの要求はマッツでは叶えられそうにないので、ドン引きの顔をしているナンバー1と2にまで聞いてるよ。
「そんなに引かないでよ~。僕、ハタチだって言ってるでしょ? もしも相手してくれるなら、お姉さんの日給の10倍出してもいいよ?」
「「マジで??」」
「マジマジ。モミモミ」
「「いや~ん。エッチ~」」
フィリップ、絶好調。目が金貨になっているナンバー1と2を揉みまくってる。それをマネたマッツは手を叩き落とされて「お触り禁止」と睨まれてた。スポンサーじゃないとバレてるみたいだ。
ただし、フィリップのナンパも失敗。子供云々の前に、このお店では客との体の関係は御法度。大声で喋っていたから、紳士風のオーナーにまで伝わってしまったのだ。
「「「ええぇぇ~~~」」」
「2人はスタッフなんだから一緒にゴネるな! クビにするぞ!!」
オーナーに叱責されたナンバー1たちは諦めてしまったので、フィリップがやるしかない。
「ま、男に夢を見せる商売だもんね。無理を言ってゴメン。だったら、系列の娼館とかない? オーナーが行き付けでもいいから紹介して~」
「なんなんだこのエロガキは!?」
オーナーは大金を落としてくれるからとフィリップの見た目は大目に見ていたけど、子供に娼館はやっぱり気が引ける。こんな商売をしていても、常識がある紳士なのだ。
「お姉さんたちって、仕事のあと暇? 僕と宿屋にしけ込まな~い??」
「アフターを予約するな!」
フィリップには一切常識がないな……
結局ナンパは成功しないし情報も遮断されてしまったので、フィリップは撤退。その時、支払いの倍を払ってフィリップは立ち去ったので、オーナーは「カッコイイ」とか思ったそうだ。
外に出たからには、次の店を探すしかない。女の子のいるお店はまた同じことになっては困るので、酒場に足を運んだ2人。
そこで4人で女子会をしているテーブルに「奢るから」とフィリップは潜り込んだ。マッツは……女性から邪険にされたので、カウンターでヤケ酒してる。
「へ~……みんな、お城で雑用してるんだ~。それで、このあとどっか行くの? 僕と宿屋にしけ込まない??」
女性たちの職業にはフィリップも興味はあるけど、その前にナンパだ。その受け答えに、この集まりのリーダー格でロングヘアーのお姉さん、カロラが相手をしている。
「愚痴を言ったら帰るだけよ。てか、子供がそんなこと言っちゃダメよ?」
「ハタチって言ってるでしょ。昨日も女の子お持ち帰りしたもん」
「ウッソだ~」
「じゃあこうしよう。その愚痴に耐えられたら、僕の勝ち。誰かひとり、一晩共にするってのは?」
「どこに勝負の要素があるんだか……」
「私はやりたい!」
「「「ロリ……」」」
お姉さんが4人も集まれば、そんな趣味の女性がいてもおかしくない。
ロリと呼ばれたお下げ髪の若い女性は3人から冷たい目で見られて焦っていたけど、フィリップがロックオンして隣に来たので、このチャンスに触りまくるのであった。
「アハハ。城勤めも大変だね~。そんなセクハラして来るヤツ、殴っちゃダメなの?」
カロラたち全員の愚痴を興味津々で聞いていたフィリップは、ずっと笑ってる。愚痴というより悪口ばっかりだったから面白かったみたいだ。
「お貴族様だからね。嫌がった顔しただけでもクビになったとか噂があるから、殴れるわけないじゃない。殴りたいけど」
「ふ~ん……そこまでしといて、犯したりしないんだ」
「犯されたって子の噂はあるけど、あのハゲは小心者だからムリムリ。それに2級市民でも見下してるから、体の関係まではしたくないんじゃないかな~?」
「あ、お姉さんたちも2級市民なんだ」
「ええ。城や中町で働くには、2級以上じゃないと入れないからね。でも、給料はこの辺りで働く人と変わんないの。ケチだわ~」
「そりゃ愚痴りたくもなるね~」
カロラたちの愚痴を聞いていたら、そろそろお開きすると言うので、全てフィリップ払い。というか、金貨を山積みにして「ここにいる全員に使って」と払っていた。
そうして寂しそうにしていたマッツと一緒にカロラたちの元へ戻ったら、激しいジャンケン大会が行われていた。
「いよっしゃ~~~!」
「うわあああああああ……」
その勝負は、フィリップにまったく興味がなかった女性が勝ったので、ショタコンのロリは号泣。
「えっと……なんのジャンケンだったの?」
「今日は私が相手してあげるよ~?」
「あ、それだったんだ……でも、今日はロリさんとするつもりだったからゴメン。明日でもいい?」
「えぇ~……」
「うわ~ん。ありがと~。メスブタって呼んでぇぇ~」
「イヤだよ……変なこと言うと、チェンジするよ?」
せっかく助けたロリが、ショタコン以外のドぎつい趣味を持っていたので、フィリップも珍しく引いているのであったとさ。
今日のお相手が決まったら、残りの女性にはマッツを紹介してメッセンジャーとして使う。マッツはまた娼館に行けないのかと落ち込んでいたので「メッセンジャー代を弾むからこれで行って来い」と言ったら「ヒャッホ~」と喜んでいた。
これでお別れと行きたいところであったが、店の前で話し込んでいるフィリップたちに、ガラの悪い集団やボロボロの服を着た集団、普通の服装の集団が迫っていたのであった……
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