【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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三章 夏休みは夜遊び

056 お勉強

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「あ~……なんかゴメンね」
「こちらこそ申し訳ありませんでした……」

 寝室でベッドインしたフィリップとクリスティーネ姫であったが、しばらくしたら謝り合っていた。

「てっきり初めてじゃないと思っていたよ。できたら、最初に言っておいてほしかったな~」
「申し訳ありません。あんなに痛いとは思いませんでしたので……」

 どうやらクリスティーネはマッサージが初めてだったから、フィリップも途中でやめてしまったらしい。これではフィリップも楽しめないので、今日のところは諦める……

「まぁ僕と付き合うなら、それなりのテクニックを覚えてほしいし、今日はそれだけやってみよっか?」
「はい……お願いします……」

 その選択肢はないらしく、教育したり攻めたりと、なんだかんだ楽しむフィリップであったとさ。


「す、凄かったです……」

 フィリップの超絶技巧のマッサージでノックダウンしていたクリスティーネは、フィリップに腕枕されて目をパチクリしてる。

「僕も気持ち良かったよ。それじゃあ僕はそろそろ帰るね」
「へ? まだ何も話をしてないのですけど……」
「だからやる前に1日後って言ったでしょ? 僕、動ける時間が夜しかないから、帰らなきゃいけないの」
「夜だけとは?」
「日中を歩けない病気なの。太陽の光を浴びたら灰になっちゃうんだよね~」
「そんなヴァンパイアみたいな病気、あるわけないですよ~。ウフフ」

 嘘にクリスティーネが笑っているなかフィリップは服に袖を通し、帰る準備。そして着替えが終わると、クリスティーネの頭を撫でた。

「また明日来るからね。そしたらベッドの中で話を聞かせて」
「普通にお話はできないのでしょうか?」
「できないというか、したくないみたいな? アハハハ。それじゃあ、明日ね。バイバ~イ」
「そっちは窓……あっ!!」

 フィリップが窓から出て行くので、クリスティーネはタオルケットを体に巻いて窓から顔を出した。

「消えた……まさか、本当にヴァンパイアだったのかしら……」

 どこを見てもフィリップの姿がなかったので、クリスティーネも嘘を信じてしまいそうになるのであった……


「やっべ。遊びすぎた」

 フィリップが消えていた理由は、空が少し明るくなっていたから急いでいたから。屋根を飛び交い急いで帰ったら、バルコニーで行水してから匂いチェック。
 ベッドに入ってダグマーが体温チェックをして就寝となるのだが、フィリップは少し気になることがあるのでベッドに招き入れた。

「体調が優れないのになさるのですか?」
「いや、ちょっと聞きたいことがあったから。あと、抱き締めてほしくなったみたいな?」
「もう……殿下は寂しがり屋ですね」

 いつもならこのままおっぱじめることが多いので、ダグマーも失礼な勘違い。ただ、フィリップを抱き締めることはやぶさかではない顔をしてる。

「この国にお姫様っているの?」
「カールスタード王国の王族ですか……確か国王には3人の子供がいて、全て男性だったはずです。そちらにもいまのところ男子しかいないと聞いております。ですが、どうしてそのようなことを聞かれるのですか?」
「いや~。僕って結婚相手なんて選べないじゃない? もしかしたら他国に送られるかもしれないから不安になっちゃって。だからお姫様がいるなら、帰る前に顔を見ておいたほうがいいかな~っと……」
「それはご不安に思ってしまいますね」

 フィリップを察してというより、自分が寂しくなったダグマーは強く抱き締めた。

「なんか寝付けそうにないから、この国の歴史でも聞かせてくれない?」
「私も最近の情勢ぐらいしか教えられていないのですが……それで眠れるのですか?」
「勉強嫌いだからすぐ寝ちゃうかも?」
「ウフフ。でしたら、頑張って眠らず勉強してください」
「そこを握られると怖いんだけど……」
「ウフフフフ」

 めったにないチャンスとばかりに、ダグマーは気合いを入れてカールスタード王国の近代史を語り、フィリップがウトウトする度にぎゅっとして起こすのであった。何をぎゅっとしているかと言うと……秘密だ。


 歴史の授業は、ダグマーもそこまで詳しく知っていなかったので小一時間で終了。それから小一時間はなんか盛り上がってからフィリップは眠りに落ちた。
 そして夜になったらお出掛けして、昨日マフィアたちと約束をしていたマッツの酒場に顔を出した。

「なんか静かだね~? あ、いたいた」

 客はいるのに誰1人喋っていなかったのでフィリップはキョロキョロしていたら、カウンターにオロフ、トム、ロビンの姿があったから早足で近付いた。

「よっ。お待た」
「「「お疲れ様です」」」
「そんなのいいって。座って好きなの頼んで」

 仰々しくお辞儀する3人を宥めたフィリップは、椅子に飛び乗ってカウンター越しに顔見知りのマッツと喋る。

「なんかみんな静かじゃない?」
「そりゃ~……なあ?」
「あ、こいつらのせいか。とりあえず、ここの客全員にお酒とか出してあげて」
「またか……」
「みんな~。今日は僕の奢りだよ~? マフィアなんて気にせず騒げ~~~!!」
「「「「「うおおぉぉ!!」」」」」

 マフィアのボスが3人も揃っていたら、そりゃ騒げない。それに気付いたフィリップがタダ酒を振る舞うと、マフィアなんて気にならなくなる酔っ払い共であった。


「これ、例のブツだよ……ゲヘヘ」

 酒場が騒がしくなると、フィリップは大きな革袋をカウンターに乗せて3人のほうへ押した。裏取引感を出して遊んでいると思われる。

「また銅貨……」
「アレ? これじゃなかった??」

 でも、中身を確認したオロフは不満そうな顔をしてる。トムは嬉しそうなのは、年齢の違いからだろう。

「いや、ここだと金貨を使ってると思ってよ」
「別に金貨でも銀貨でもなんでもいいよ。ただし、懐に入れたヤツには、もうくれてやらないけどね」
「そんなことしねぇよ。あんたが重たくないのかと思っただけだ」
「あら~? 優しいところあるじゃな~い??」
「ふざけてんじゃねぇ!」

 フィリップが腕に絡み付いたので、オロフも気持ち悪くなって振り払おうとしたが、一向に離れる気配がない。

「いてて! いてえって!!」

 そう。フィリップはこう見えて、怪力の持ち主なのだ。

「と、僕に力のことを聞くのは無粋ってヤツだよ。本気で殴ったら、人体ぐらい穴開くから僕のことを怒らせないでね?」
「「「はい……」」」

 昨日のこともあり、フィリップには逆らえないと心に刻んだ、オロフ、トム、ロビンであった。
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