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四章 クーデター後も夜遊び
081 秘密の暴露
しおりを挟むクリスティーネが寮に訪ねて来た次の日には招待状が届き、フィリップの体調を気遣ってかその次の日に面会となったので、フィリップは夜になるとカツラを被り、部屋を抜け出してお城にやって来た。
そして国王が使っていた寝室まで登ったフィリップがバルコニー側の窓をコンコンとノックしてみたら……
「なんの音……ハタチさん? え?? ここ、6階ですよ!?」
フィリップを見て驚くクリスティーネに出迎えられた。
「姫、救出に参りました。一緒に逃げましょう」
「ブハッ!? 確かに囚われたお姫様みたいだと思っていましたけど~。アハハハハ」
でも、フィリップのギャグで大笑い。フィリップもしてやったりだ。
「アハハハ、ハ……って、どうやって登って来たのですか!?」
「思い出しちゃったか~……とりあえず中に入れてもらっていい?」
フィリップはクリスティーネの手を取ると、踊るように強引に中に入ってベッドに座らせ、自分は近くの椅子に腰掛けた。
「時間がないから本題を先にするね」
「はあ……」
「クリちゃんって、明日、帝国の第二皇子と会おうとしてるじゃない? あんな馬鹿とは会わないほうがいいと思ってね~」
「そこまで知ってるのも驚きなんですけど……まぁ馬鹿でも影響力のある帝国の第二皇子ですし。できれば、聡明と名高い第一皇子のフレドリク様とお会いしたかったのですけどね。その方なら、お力になってくれそうですし」
フィリップは、クリスティーネがなかなか情報通だと感心して見ている。
「ちなみに第二皇子の見た目とか知ってるの?」
「はい。金髪のクルクルパーマでかわいらしいお子様らしいですよ。馬鹿で女癖が悪くて引きこもりでワガママじゃなかったら、将来は有望だったでしょうね~」
「そこまで聞いてないんだけど……」
「なんでハタチさんが落ち込んでいるのですか?」
見た目しか聞いてないのにネガティブなことを全て言われたので、フィリップも大ダメージだ。
「まぁいいや。見た目を知ってるなら話が早い」
「話が早い?? へ……」
フィリップが被っていた黒髪のカツラを投げ捨てると、クリスティーネは固まった。
「僕が帝国第二皇子、フィリップ・ロズブロークだ。控えおろう」
「は……はは~」
突然なことに、クリスティーネは真偽も考えられずにベッドから飛び下り、フィリップの前で跪いた。
「アハハハ。冗談冗談。そんなことしなくていいから。女王様でしょ? アハハハハ」
フィリップは笑いながらクリスティーネの手を取って立たせると、一緒にベッドに倒れ込んだ。
「じょ、冗談って? ど、どのへんが冗談なの??」
「控えおろうってところだよ」
「ややや、やっぱり本物!? わ、私、ずっと酷いことを言って申し訳ありません!!」
「だから~。そういうのいらないの。チュ~」
「できません!!」
「今までいっぱいしてたじゃ~ん」
クリスティーネはフィリップを押し返していたが、フィリップは強引に引き寄せてディープな感じでキスをし続けるのであった。あと、胸を揉みまくってた……
「落ち着いた?」
「はい~~~」
長く抱き合うことで、クリスティーネはいつもの感じになったのでフィリップは見詰めながら喋る。
「ビックリさせてゴメンね」
「いえ……まさか、フィリップ殿下とこんなことしてたなんて……」
「だよね~。だから、王配にはなれないの。わかってくれた?」
「はい……いえ、結婚してしまえば……あれ? それって、帝国の属国になるのでは……あれれれ??」
「また混乱してるとこ悪いけど、僕、まだ10歳なんだよね~」
「あ~~~! 20歳じゃない!? それはわかっていたけど、せめて14歳ぐらいだと思ってた!?」
「アハハハハ。もっと混乱させちゃった。んじゃ、またキスだね」
「ん……」
本当にフィリップはキスをして、クリスティーネが落ち着いたところで自分の秘密を語るのであった……
「はあ……お兄様の邪魔をしたくないから、馬鹿を演じているのですか……」
フィリップの有能すぎるところは目の前で嫌と言うほど見ているので、この話はすぐに受け入れたクリスティーネ。
「そそ。まぁ女癖が悪いのは本当だけどね」
「うん。それも信じます」
「あ、でも、僕の権力を狙っている人に手を出したことないの。ここまで位の高い人を抱いたのも、クリちゃんが初めてだよ」
「それは~……まったく喜べませんね。いっぱい抱いてるんですよね?」
「アハハ。そりゃそうか。じゃあこれは? 僕が有能なのを知ってるのは、クリちゃんだけ。この秘密は初めて人に喋ったんだよ」
「それはちょっと嬉しいです……」
フィリップの初めてになれたことに、クリスティーネは顔を赤くした。
「誰にも言わないでね? 僕、兄貴のこと好きだし、国を荒らしたくないの」
「確かにそんな秘密が漏れたら、帝国を二分するような争いになるかも……」
「あ、帝国の弱体化狙っちゃう?」
「い、いえ! 誰にも言いません! 内乱なんて誰も得をしませんし、人が大勢死にそうですし……」
「やっぱりクリちゃんは優しいね。だから秘密を教えたの」
「信用してくれて、ありがとうござ……あっ……す、するの??」
「うん。もう我慢できないや」
「ああん!」
クリスティーネはフィリップのことを第二皇子と知っていつものように受け入れられそうにないと思っていたが、いつもより乱れてしまうのであった……
「す、凄かったです……」
なんだか悪いことをしている気持ちでマッサージをしあってしまったクリスティーネは、放心状態。第二皇子で10歳と知ったならば、そうなるか……
「それで明日のことなんだけど……」
「はい……初めて会った感じで対応すればいいのですね」
「そそ。あと、何を話すか決めておこうよ」
「いつも通りですね。ベッドの上で殿下と喋るなんて」
「殿下って言わないでよ~」
「どうお呼びすればいいですか?」
「まだ数年はこの国に滞在するし、それも決めておこうか。ベッドの上ではダーリンって呼んでもらおっかな~?」
「お城で会う時、お掃除団と話す時、ベッドの上で話す時……みっつもあるんじゃ間違えますよ~」
こうしてフィリップたちは、どうでもいいことから話し始め、夜が更けて行くのであった……
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