【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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六章 夜遊び少なめ

134 ○○○事件

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 帝都学院にフィリップが通い始めて1週間……

「なんで疲れた顔してんだ?」

 フィリップは自室のベッドでグデ~ンとなっているところをボエルに見られた。

「べっつに~」

 フィリップは強がっているが、実はけっこう疲れている。理由はルイーゼがしょっちゅう目の前に現れるからだ。
 フレドリクたちと一緒に来てくれれば目立つから逃げやすいのだが、単独行動の時もあるのでフィリップは気付くのに遅れることもしばしば。

 その場合は、天井に張り付いたりカーテンの裏に隠れたり、掃除用具入れに隠れたりゴミ箱の中に隠れたりするのが手一杯。しかし、ルイーゼは百発百中でフィリップを見付けるので、目に見えない本気の逃走をしなくていけない。
 ただでさえフィリップは目立つし、周りの目も気にしないといけないから、この毎日のかくれんぼはフィリップも精神的に疲れて来たのだ。

「いっそのこと、もう……」
「ん? なんか言ったか??」
「いや、なんでもない。それよりボエルは最近余裕そうだね。体力ついたの?」
「そ、それは……」
「諦めたんだね……」

 フィリップの逃亡は、ボエルも毎日走り回って捜していたので、夕方にはヘトヘトでソファーに倒れ込んでいた。しかしフィリップは必ずチャイムが鳴る前後には教室に戻って来るし、ごはんの時間は守るから追うことをやめたらしい。

「病弱って聞いてたのに、そんなに動いて大丈夫なのか?」
「いまのところはね。熱が出だしたら長引くから覚えておいて」
「それだと楽ができるんだけどな~」
「寒い時は、いつもメイドに裸で抱き締めてもらっていたから頼むね~」
「うっ……楽じゃないかも……」

 ボエルが嘘を信じているので、フィリップは真顔で皆まで言わないのであった。ニヤニヤしたらバレ兼ねないから……


 翌日からも、ルイーゼが短い休憩時間まで普通にやって来てクラスメートと揉めているので、フィリップも辟易へきえき。今日は「お昼まで姿を隠す」と書いたメモ用紙をボエルのポケットに入れたら、授業をサボって外をブラブラ歩いていた。

「確かこっちのほうに……あったあった。おお~。なかなかおどろおどろしい外観だな~……なんで解体しないんだろ?」

 フィリップがやって来た場所は、帝都学院の旧館。元々は立派な石造りの建物だったが無数にヒビが入り、枯れたツタが巻き付いているので雰囲気抜群の建物だ。

「旧館を使うイベントは、兄貴たちが4年生だったからそれ以降は出て来ない。ここなら聖女ちゃんも来ないっしょ~」

 ここは乙女ゲームのイベントで使われる場所。幽霊が出ると噂があり、ルイーゼが意中のキャラに連れられて、一緒に肝試しをして吊り橋効果を狙うのだ。
 ちなみに幽霊は本当に出る。ただ、幽霊の正体は悲運の死を遂げた平民の女子生徒だったのでルイーゼは感情移入していたけど、聖魔法で成仏させるので、フィリップは「倒すんか~い」とツッコンだらしい。

 そんないわく付き物件なのに、フィリップはウキウキして楽しそうに探索。でも、「ギシッ」って鳴ったらビビってた。

「ここココ~。もう何も出ないのかな?」

 フィリップが若干ビビリながらやって来た場所は、3階にある女子トイレ。ここに幽霊が出たのでイロイロ見ていたが、まったく反応がないので隣の男子トイレに移動した。さすがに女子トイレは居心地が悪かったみたいだ。
 とりあえずここも調べたら個室に入り、スライムクッションを便器のフタに乗せてそこに座った。

「う~ん……なんでか居心地がいい……あ、元の世界のトイレぐらいの広さだからか? お城とか無駄に広いもんな~。トイレ飯とかしたことないんだからね!」

 フィリップがなんで言い訳をしているかわからないけど、居心地がいいみたいなので皆まで聞かない。そのままウトウトしてしまうフィリップであった……


 時間が過ぎ、フィリップがお昼まで寝ていたら、何か物音がしてようやく起床。フィリップは「寝過ぎたかも?」と懐中時計を取り出したところで声が聞こえたので、ビビってお手玉してた。幽霊が出たのかと思ったらしい。

「フレドリク殿下にはご立派な婚約者がいるのを知っていて、どうしてそんなことできるの?」
「フレドリク殿下に色仕掛けするのはやめてくれない? 悲しむ人がいるのわからないの??」
「私はそんなこと……」

 話の内容的にルイーゼがイジメられているけど、フィリップは「なんで!?」って驚いていてそれどころではない。それに助けてしまうと逆ハーレムルートに入ってしまう可能性があるから動けない。
 しかし、ルイーゼのキャラ設定は、おっちょこちょい。さらにフィリップを見付ける特殊能力も持っているから、こけた拍子に個室のドアをブチ破って抱きつき兼ねない。

「「こうなったら……」」
「や、やめて……」

 そんなことを考えていたらルイーゼは危機一髪。2人の女子生徒にルイーゼは乱暴……

「第二皇子がウンコしてるんですけど~~~!!」
「「「……へ??」」」

 されない。フィリップが皇族にあるまじき変なことを大声で言うモノだから、敵味方関係なく固まった。

「怒るよ!? 声で誰かわかってるからね! ウンコ投げられたくなかったら、さっさと出て行け~~~!!」
「「「ははは、は~い!!」」」

 そこを怒鳴り散らすと、3人は混乱しながら慌てて男子トイレから出て行くのであった。
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