【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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十章 物語が終わっても夜遊び

235 メイド会議

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 何かを閃いたフィリップは、この日はメイド長にお願いをしたら、メイド服のデザイン案をまとめて就寝。ボエルは珍しく女を使ってフィリップのやろうとしていることを聞き出そうとしていたけど、超絶技巧のマッサージでノックダウンだ。
 翌日のおやつの時間過ぎ、会議室に城で働くメイドが集められた。このメイドは急ぎの仕事がない者。急遽集められたので、全員は無理なのは誰もが承知の上だ。

 ただ、本当に急だったので、メイドたちは一様に困惑している。なんだったら、ルイーゼの件でも急遽招集を掛けられたから「誰かやらかした?」と思っているメイドが大多数だ。
 なんだか責任の押し付け合いや罵詈雑言が会議室に響いているが、前のドアが開くと同時にピタリと音は無くなった。

「どうもどうも。僕だよ~?」
「「「「「はぁ~~~……」」」」」
「え? 何その反応??」

 そこにフィリップがスキップで登場すると、メイドたちは安堵のため息。フレドリクに怒られると思っていたら馬鹿皇子が馬鹿面下げて現れたから、ホッとしたみたいだ。
 フィリップとしては「キャーキャー」出迎えられると思っていたのかな? もしくは怖がられていると思っていたのだろうけど、ここ最近の噂のせいで「切り捨て御免」は忘れられているな。

「ん、んん! ちゅうも~く」

 気を取り直してフィリップは声を出すと、メイドたちは気怠けだるそうにフィリップを見た。

「みんなを集めたのはね~。父上から新しいメイド服を作れと言われたからなんだよね~。ボエル、貼り出して」
「はあ……」

 新しいメイド服と聞いて、メイドたちは興味津々。ボエルが壁に貼る紙を凝視している。ただし、ボエルは「こんなの絶対怒るぞ?」とか思いながら貼っている。

「これで決定ね。って、見えないよね? もっと前で見て。あ、一列に並ぼっか? ボエル、あとは任せた」
「はあ……」

 メイドが一列に並んだら、紙が貼っている場所を通り過ぎさせる。すると、1人目から悲鳴が上がった。
 しかし、まだまだ見えない人がいるので、ボエルは前に進むように促したけど、悲鳴や嫌悪感たっぷりの声が会議室内に響き渡るのであった……


「んじゃ、全員見たね? 反対意見もないみたいだし、これでけって~い! パチパチパチパチ~」
「「「「「ふざけないでください!」」」」」

 誰の顔を見ても不満な顔をしているのに、フィリップが決定を告げると不満は爆発した。

「ふざけてないよ~。誰も反対しなかったじゃない? 反対しないってことは賛成ってことでしょ??」

 フィリップが問うと、ヴィンクヴィスト侯爵家のアルフヒルドを含めた、立場が上であろう3人のメイドが前に出て来た。

「それは皇族に対して失礼に値しますから、口にできなかっただけです。ですよね?」
「ええ。先に忌憚きたんのない意見を聞くことや、異を唱えてもいいと仰ってくれませんと、私共に発言権はありません。ですよね?」
「はい。そもそも、先にデザイン変更の知らせを出すべきかと存じます。それを抜き打ちにするのは如何いかがなモノかと。ですよね?」
「その『ですよね?』って、責任の押し付け合いやめてくれない? 怒らないから。ね?」

 アルフヒルドたちは、自分だけではないと責任を分散して喋るから聞き辛いので、まずはそこから止めたフィリップ。

「てことは、みんな反対ってこと?」
「「「はい!!」」」
「どこが悪かったのかな~??」
「「「あた……デザインです!!」」」

 この言い間違いは完全に「頭」で揃っていたから、ボエルは会議室から出て行った。笑い声は聞こえてるけど……

「デザインか~……わかった。直してほしいとこ言って」
「では、私から……この一番目の服は、そもそも服なのですか? あと、ウサギの耳は頭に必要なのですか??」
「必要必要。夏服だから、布面積を最小にしてみたの。涼しそうでしょ~?」
「アホ……却下です!!」
「ええぇぇ~……」

 そりゃ、バニーガールの制服は却下に決まってる。フィリップに酷いサプライズをされたアルフヒルドもアホって言っちゃったよ。

「この二番目の服は、スカートの丈が短すぎます。というか、中身が出てますよ?」
「あぁ~。それは春秋兼用ね。または、現行の制服を走りやすく改造してみたんだよね~」
「アホ……却下です!!」
「ええぇぇ~……」

 そりゃミニスカートどころか中身が見えていたら、2番手のメイドにもアホって言われるよ。

「この三番目の服は、私たちが着るのですか? この無骨なフォルムはどう見ても男物ですよね?」
「それは冬用ね。足が隠せるからあったかいよ?」
「女性用じゃないと言ってるのです! アホか!!」
「せめて却下するまで言ってくれない? 聞き流せなくなるから。ね?」
「あっ!? 却下です!!」

 作業着も不人気。3番手のメイドには完全にアホと言われたけど、フィリップは「セーフ」とかやっていたからおとがめなしだ。

 散々な苦情は最後の服にまで言及。

「四番目は一番マシですけど……ズボンは変ですね」
「そうですけど、あったら助かる場面もあるかも……」
「冬なんかはたまに男性がうらやましく思いますものね」
「そう言われますと……」

 最後は普通のメイド服にスカートとズボンを交換できる仕様。3人は貶すよりも意見を言い合っている。

「ま、なんにしても……」
「「「このデザインはありえませんわ」」」

 結局のところ、ダサイから最後もナシ。声を合わせて却下されるのであった。


「もう! そんなに言うなら自分たちで考えたらいいじゃん!!」

 全ての案を却下されたフィリップはプンプンだ。

「え……いいのですか?」
「そのかわり、メイドは全員参加。5人までのチームはオッケー。期限は十日後。デザイン画は名前を伏せて批評して、一番得票数が多い人の服が本採用ね。デザインは四番目のヤツを縛りにしようか。あとは~……審査員はメイド長と皇室のデザイナーも入れるから。これが嫌なら、僕の案が採用ってことで……」
「「「やらせていただきます!!」」」

 フィリップの案より嫌な物はない。3人は考えるまでもなく返事し、その後ろにいるメイドたちは力強く頷く。

 くして、メイド服コンペが始まるのであった……
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