【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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十七章 大事件が起きても夜遊び

417 商業組合

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 神殿の闇を聞いたフィリップはすでにお腹いっぱい。フレドリクも怒っていたが、管轄外だからどうするか悩み中らしい。

「えっと……つまり、記録は何も残っていないってこと?」

 とりあえず死痛しつう病の話に戻すフィリップ。

「うむ。天の罰を治したくてお布施をした者も、裏金で処理されていたから、名前すら残っていないそうだ。これでは補償もしてやれん」
「うっわ~……それはかわいそうだね」
「ああ。ルイーゼも泣いていたから、なんとかしてやりたいんだが……いまはモンスが善良な神官を集めているから、内部告発待ちだ」
「ふ、ふ~ん……」

 急にルイーゼの名前が出て来たから、フィリップはいまにも席を立ちたい。面倒事になりそうなんだもん。

「まぁなんにしても、僕の仕事じゃないね。父上の様子を見て来るよ~」

 なので、皇帝を使っての逃走だ。しかし、フレドリクはまだ話すことがあるから待ったが掛かった。

「そういうワケでフィリップ……他の薬屋からも死痛病患者の記録を集めて来てくれないか?」
「えぇ~。僕が~? そんなツテないよ~」
「ツテなら必要ない。明日、街の有力者と、その者が懇意にしている薬屋が揃って会議をすることになっているからな。フィリップはそこに来た薬屋と話をするだけだ」
「えぇ~。そんなに集まるなら、誰かやってくれる人いるでしょ~」
「ヨーセフを派遣するが、父上の容体を知る人間は少ないほうがいい。それにフィリップのほうが、このことに関しては詳しいだろ? 父上のために、頑張ろうな?」
「えぇ~~~」

 フィリップがどんなに嫌がっても、フレドリクは皇帝を使って優しく説得。フィリップも皇帝を出されると弱いので、嫌々仕事を引き受けるのであった。

「皇太子殿下に怒られたの?」
「なんで怒られたと決め付けるの?」
「「だって……ねえ??」」

 執務室から出て来たフィリップはトボトボ歩いて皇帝の私室に向かっているから、勘違いするカイサとオーセであった。

「陛下にも怒られたの?」
「だからなんで怒られたと決め付けるんだよ~」
「「だって……頭、グチャグチャだもん」」

 私室から出て来たフィリップはフラフラだったから、またまた勘違いするカイサとオーセであったとさ。


 それから根城に帰ったフィリップは、家臣を集めて「明日、仕事をする」と予定を告げたら、全員絶句。フィリップの口から「仕事」って言葉が出たんだもん。
 なのでフィリップは「夏にも仕事してたでしょ~!」と怒っていた。皆は謝罪していたけど、「眠りに行っていたクセに」と心の中では謝っていなかった、

 翌日のフィリップたちは、いつもの平民服だったので「やはり遊びに行くだけでは?」と、まだ仕事に行くとは信じられない。
 しかし馬車が西門に近付くと、5台の馬車とそれを護衛する騎馬が多く揃っていたので、「嘘じゃなかったんだ……」と心の中で謝っていた。一部は、「まだ決定じゃない」と思っているけど。

 そうしてフィリップの乗った馬車が一番前の馬車と並ぶと、ここでフィリップも馬車から降りて、一緒に行くことになっているヨーセフに近付いた。

「おはよ~。てか、僕たち遅刻した?」
「おはようございます。我々は人数が多いので早めに来ていただけですので、遅刻ではありませんよ。遅刻せずに来るとは、やればできるではないですか」
「えっと……褒めるなら褒めるだけにしてくれない?」

 ヨーセフに嫌味を言われたフィリップは不機嫌に。その顔にヨーセフは気付いているけど、フィリップの服装にもダメ出しだ。

「その服はどうしたのですか? 皇子なのですから、身分に合った服を着るべきかと存じます」
「また嫌味~?」
「いえ、常識の話をしています」
「この服は、僕の護衛を少なくするために着てるだけ。それに皇子がいたら、話し合いもやりにくいでしょ? 僕なりの配慮だよ」

 さすがにフィリップもムッとして返すと、ヨーセフは初めて感心した顔になった。

「そんなお考えがあったとは、申し訳ありませんでした」
「もういいよ。あとでカツラも被るからね。お忍びの時は、名前はライアンでやってるから、みんなにも周知させておいて」
「はっ!」

 ヨーセフが周りに言い聞かせたら、準備完了。ヨーセフ一団は、平民街に向けて出発するのであった。


 フィリップを乗せた馬車は、第二皇子だから一団の真ん中辺り。外観は他の馬車とお金の掛かり具合は同じくらいだから、第二皇子が乗っているとは誰も思わないだろう。
 その一団は、平民街にしては大きな建物の前に着いたら停止。次々と馬車から人が降り、フィリップは最後に呼ばれた。

「ここってなんの建物?」
「商業組合よ」
「なんで知らないのよ」
「皇子だもん」
「「そんなものなのかな~?」」

 フィリップが普通に知らなかったので質問したら、カイサとオーセのほうが詳しい。なので説明を聞きながら、フィリップはヨーセフたちの後に続く。
 そうしてヨーセフ筆頭に文官組が通された大部屋に入ると、お金持ちそうな人やそうじゃなさそうな人が談笑していたけどピタリと止まり、一斉にひざまずいた。

「なんでみんな跪いてるの?」
「貴族様が来たからよ」
「なんでわからないのよ」
「皇子だもん」
「「だったらわかれよ」」

 今回も知らないのはフィリップだけ。これが平民の貴族に対しての対応だ。フィリップは帝国ナンバース3だから、貴族からも同じことをされてるはずだと、カイサとオーセは辛辣しんらつにツッコムのであったとさ。
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