【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
429 / 522
十八章 代替わりしても夜遊び

429 季節感

しおりを挟む

 アレンジ氷魔法で雪を見せたフィリップは、太上皇が満足いくまで続けていたら寒くなって来たからここまで。そこで聞きたいことがあったので聞いてみる。

「母上って、ひょっとして僕と同じ髪質だったの?」
「ああ。子供の頃の妃にそっくりだ。その髪が好きだったのに、大人になる頃には真っ直ぐになったから残念だったのだ。まぁ真っ直ぐも綺麗だったがな」
「そういうことか~」

 太上皇がフィリップの頭を撫で回す理由、ついに明かされる。かといって、死ぬ間際の人にもうやめろと言えないフィリップであった。


「他にも隠していることがあるだろ?」

 母親がストレートになったのだからフィリップもチリチリパーマはストレートになりそうだと思って髪の毛を摘まんで引っ張っていたら、太上皇が決め付けて質問した。
 フィリップはこの質問は来そうだと思っていたから、まったく表情の変化はない。

「他と言われてもね~……」
「父からの最後の頼みだ。隠さず聞かせてくれないか? 必ず墓に持って行く」
「う~ん……」

 フィリップは悩みながらゆっくりと近くの椅子に座った。

「ダメなのか?」
「いや……多すぎて、自分でも何を隠してるかわかんなくなって。たはは」
「一から喋れ。楽しく聞かせてもらおう」
「楽しく聞けるかも微妙……怒ることしかやってないよ?」
「怒らないと約束する」
「絶対にだよ~? 怒ったらもう喋らないからね~」

 こうして確認を取ってから、フィリップは秘密を暴露するのであった……

「8歳から城を抜け出して娼館に行ってただと……」
「怒った??」
「頭が痛いんだ……」

 7歳のダンジョン通いはなんとか耐えたが、8歳の娼館通いを知ると頭を押さえ、続きを聞くのが怖くなる太上皇であったとさ。


 フィリップの隠し事は膨大過ぎて、とても1日では終わらない。なんなら1ヶ月も過ぎたけど、まだカールスタード王国の話だ。

「面白そうだからって、クーデターを仕切っていただと……」
「頭痛そうだね……休憩入れる?」

 だって、信じられないような話ばっかりなんだもの。

「しかし女王と恋仲だったとはな。そのとき言ってくれていたら、結婚を許したのに……」
「帝国の皇子が王配なら、再侵略の足掛かりになるもんね~」
「そこまでは言っておらん。まぁ大陸制覇が楽にはなっただろうな」

 カールスタード王国ではダンジョン制覇していたから太上皇も楽しく聞いていたが、神話に出て来るファフニールと戦って倒したと言ったらまた頭を押さえていた。もう何がなんだかわからないらしい。
 その過程でフィリップのレベルは99になっていたことは、納得がいったような顔をしていた。

「なるほどな……」
「あら? これはすぐ信じるんだ」
「戴冠式の最後に、フィリップが支えてくれただろ? あの時、俺がこけると思った時には支えられていたから、不思議に感じていたのだ」
「さっすが父上~。普通、あんなに早く動かれたら気付くのも難しいよ」

 フィリップの強さの話題をしたあとの話は、2週間ほど掛けて太上皇の感想があり、やっとこさ帝都学院の話が始まったがため息連発だ。

「はぁ~……あのアードルフ侯爵一家はフィリップに殺されていたのか……」
「今度こそ怒った?」
「いや、罪を考えたら死は免れられなかっただろう。ただ、優しいフィリップにしては珍しいと思っただけだ」
「それは皇族の裁き方があんまり好きじゃないだけ。関係ない人は死んでほしくないの」

 さすがに怒られると思った話でも太上皇は耐えたので、フレドリクのダンジョン制覇したあとにフィリップもダンジョン制覇したと言ったら撫でられた。
 もうカールスタード学院のダンジョンでレベルの話は終わっていたから大丈夫らしい。というか、フレドリクたちの頑張りを隠れて見ているだけってので、呆れてたけどね。

「世界最高の暗殺者まで……」
「スカウトしたのに自殺されたから、すっごい死体の処理に困ったよ」
「ということは、そういうことか?」
「うん。あの伯爵の名前は忘れたけど、100人斬りしたのは僕……怒らないでね?」
「はぁ~~~……」

 太上皇、もう怒る気力はナシ。呆れてため息しか出なくなってる。続きを聞いても空返事が多くなって来た。お腹いっぱいで胸焼けしてるんだね。

「あのレンネンカンプ侯爵までフィリップが……」
「そいつは一番の悪者だから許して。たぶん、一族で何人もの皇子を殺してるよ。てか、侯爵って、悪いヤツばっかだね」
「地位が高いから、勘違いする者は多いが……たまに貴族が変死しているのはフィリップか?」
「たぶん……あ、殺したのに言ってない侯爵いたね。いま思い出した」
「せめて忘れてやるな」

 あとは卒業後の話だからほとんど太上皇も知っている話。なので一から戻って、フィリップの話し忘れがないかと質問しながら、意外と楽しく聞く太上皇であった。


 それからも週に2日か3日、自分の秘密を語っていたフィリップであったが、ふと気付いたフリをする。

「あら? もう冬だ」
「冬? そういえば、最近めっきり寒くなっていたな。フィリップの話が面白すぎて、季節すら忘れるとは驚きだ」
「フフフ。忘れてるのそれだけかな~?」
「それだけ…ではない。余命か?」
「せいか~い。アハハハハ」

 そう。フィリップが秘密を語っていたのは、太上皇の命を延ばすため。そのために季節や日付の話題は避けていたのだ。

「やっぱり父上は強いね」
「どうだろうな。薬屋が間違っていたのではないか?」
「たぶんそれはないよ。この1年は笑うことが多かったから、そのせいかもね。笑う人ほど健康なんだって」
「そんなこともあるのだな。寿命まで延ばしてくれるとは」
「ね? 病は気から。気力でいくらでも長生きできるんだよ。また来年も、馬鹿話しようよ」
「ああ……」

 今年の頭には半年後に死ぬと言われていたのだ。今ごろ思い出した太上皇は、笑顔でフィリップの頭を撫でるのであった。

「それはそうと、年末の式典、仮病は許さんぞ?」
「へ? 僕、その話したっけ?」
「熱を自由に操れると言ったではないか」
「しまった!? ……今年は大目に見ていただけないでしょうか??」
「フレドリクが皇帝になって初の式典だ。俺の代わりに目に焼き付けてくれ」
「ええ~……」

 フィリップも式典のことは忘れていたけど、去年は休めなかったから今年こそは休みたいので超嫌そうだ。

「俺も最後の仕事をする。フィリップも仕事をしろ」
「うぅ~。わかったよ~」

 結局は押し切られて、フィリップの式典参加は逃れられない決定事項となるのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...