430 / 522
十八章 代替わりしても夜遊び
430 ドッキリ誕生日パーティー
太上皇の病状はフィリップの内緒話のおかげで現状を維持していたら、年末の式典はもう間近。
毎年恒例の身体測定は、140センチの大台に乗ったと飛び跳ねて喜んでいたよ。いつもより伸び幅は1センチ縮んていたけど、誤差と言い聞かせて……
今年のフィリップの誕生日も根城でこじんまりしたパーティーを開いたら、太上皇も参加するから家臣一同ド緊張だ。
その理由は、朝からアガータや護衛と一緒にやって来て、暇だからって最後まで同席するから。フィリップも断れなかったんだって。
もちろん招待状は出しているが、太上皇が出席しているなんて書いてないから、祝いに来た知り合いもド緊張。一番最初にやって来た被害者も口をパクパクしているよ。
「そう緊張するでない。今日は1人の父親として来ているだけだ。フィリップの誕生日に駆け付けてくれて感謝する」
「「は、はっ!」」
「そりゃ緊張するよね~? てか、招待状出したあとに父上が来るって言ったから、罠に嵌めたワケじゃないよ? それだけは信じてね?」
太上皇の言葉では緊張が解けなかったので、フィリップが場を和ませようとしたけど効果ナシ。嘘つきで定評だもん。
「あ、紹介するの忘れてた。こっちの女性はへディーン子爵家のリネーア嬢。あの話のね。んで、男のほうは婚約者の……モブ君……」
「ああ。フレドリクも世話になった荷物持ちのモブ君だな」
「あの……ハネス子爵家が次男、コニーです……」
「ハネス子爵家だったのか……フィリップが名前を思い出さないから、モブ君で定着していた。2人を祝福する。リネーアを守れる良き夫になるのだぞ」
「はっ! 一生守り続けると誓います!!」
フィリップだけじゃなく太上皇にまでモブ君と呼ばれたコニーは申し訳なさそうにしていたが、祝福された時には嬉しそうに応えていた。尊敬する元皇帝の言葉だもん。
このあとは太上皇は話を聞くだけで、フィリップたちが話せるように空気になる。圧があるから隠れ切れてないけど。
「へ~。春にゴールインするんだ~」
「はい。コニーさんも出世しましたので、どちらの親も早く式を挙げろと急かされまして」
「そりゃそうか。皇帝の近衛なら、男爵じゃ足りないもんね。家名はモブ君にするの?」
「「……検討だけはさせていただきます」」
「あっ! いまの違うよ? モブ君のほうの家名って聞いただけなの~」
皇子の案なのだから即反対とは言えない。それを察したフィリップは言い訳を続けるが、「モブ家の当主コニーってウケる」と半笑いしていた。
それからも世間話をしていたら、リネーアがチラチラとフィリップのことを見て来た。なんの合図かというと、制限時間。2人とも忙しいから帰りたいけど、太上皇がいるから言い出せないみたいだ。
「殿下、そろそろ」
「なにが??」
でも、フィリップはまったく気付いてない。カイサが小声で助言しても遠回しでは伝わらなかったので、しっかり思い出させるカイサであった。
「あら? 太上皇陛下も参加なさっていたのですね」
リネーアたちが帰ってからしばらくあとにやって来たのはペトロネラ。太上皇と会う機会が多いので、緊張は一切なく太上皇に挨拶したあとは隣に座った。フィリップは「近くない?」とジト目で見てる。
「もう煩わしい者たちの相手をする必要もないからな。こんなに穏やかな年末は初めてだ。いや、子供の頃以来か」
「まったく羨ましい限りです。私も子供の頃に戻りたいぐらいですわ。子供の頃と言えば、あのこと覚えていますか? お兄様と私を取り合っていたことを」
「そんなことあったか??」
ペトロネラとは思い出話に花を咲かせる太上皇。本日の主役は放置されているが、フィリップは微笑ましく見ている。
ただ、兄弟でペトロネラを取り合っていた話はあまり聞きたくないみたい。ペトロネラがたまに妖しい目配せして来るから、親子で取り合っているように見えるもん。
ペトロネラも忙しい人なので30分ほどで帰って行くと、フィリップたちはのんびり喋り、場繋ぎで護衛騎士に一発芸なんかをさせる。
そうしてお昼が過ぎた頃に、次の被害者が息を切らしてやって来た。
「こ、皇帝陛下……」
「ボエル~。太上皇陛下でしょ。ちゃんと挨拶しよっか?」
「は、はっ!!」
ボエルだ。太上皇を見て固まっていたから、フィリップがアシストしてあげた。
「フレドリクの護衛で忙しいはずなのに駆け付けてくれるとは、すまないな」
「い、いえ! 殿下にはお世話になりましたから!!」
「フッ……フィリップが世話か。かなり振り回されたと聞いているぞ」
「め、滅相も…あります」
「ボエル~。嘘でもないって言ってよ~」
「「「「「アハハハハ」」」」」
太上皇の雰囲気が丸くなっていたからかボエルは失言。そこをフィリップがツッコンだら笑いが起こり、ボエルも緊張が少しは和らいだみたいだ。
しかし、食事は喉が通らないらしいので、フィリップはオーセに包ませてボエルに渡す。お腹ペコペコでは仕事にならないからだ。というより、ガツガツ食べる姿を太上皇に見せたくないってのもあるみたい。
今回のボエルはプレゼントを忘れず用意してくれていたので、フィリップに渡したらさっさと撤退。15分ほどで出て行った。
「剣って……僕が使えないの知ってるクセに……あのクマ女め……」
ボエルのセンスが悪すぎたので、フィリップは不満タラタラであったとさ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…