【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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十八章 代替わりしても夜遊び

447 叔父さん

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 旅の報告が終わったら、フィリップはもういっかと仮病。根城から一歩も出ない。
 これは仕事をしろと言われないための種蒔き。まだ悪役令嬢との結婚は諦めていないから、フィリップは城から出て行く気はこれっぽっちもないのだ。

 予想通りフレドリクは心配するだけで仕事については何も言って来ないからフィリップはニヤリ。
 カイサとオーセは、「この人、いったいいつになったら仕事をするんだろ?」とは思っているが、ここ最近は諦めモードだ。自分たちも豪華な暮らしできてるから、それでいいみたい。

 この間、護衛騎士はフィリップが抜け出して娼館に行っていると聞いたから警備に力を入れていたが、出掛ける現場を押さえることはできなかった。
 カイサとオーセにも聞いてみたけど、これだけは言えない2人は「寝室からも出て来ない」と嘘をつくものだから、護衛騎士はフィリップのハッタリだったのではないかと考え出した。

 実際には、フィリップは根城を改築する時に、護衛騎士の目が届かないように壁にキャットウォークみたいな物を作っていたから、見付けにくいのだけど……

 フィリップはその話は聞いていたから「こいつら、なんで僕を見張ってんだ?」と首を傾げてる。
 とりあえず約束通り、娼館宛に一筆書いて護衛騎士に渡す時に「ちゃんと仕事しないとボーナスなしだよ?」と釘を刺したらフィリップへの見張りはなくなった。自分たちも何をしてたんだと思ったんだって。

 いちおう護衛騎士には、フィリップお勧め娼婦はどうだったのかと、野郎だけでコソコソ会議。それはもう、今までで一番の娼婦だったと尊敬されていたよ。

「そうか~? オレはもっと若い子がよかったんだけどな~」

 ボエル以外……ボエルも娼館に行ったあとは、感想を言いに遊びに来るようになったらしい。

「そっか。男と女じゃ持ってるモノが違ったね。中がすっごく気持ちいいのにもったいない」
「そ、そんなに違うモノなのか?」
「人によったら全然違うよ。ちなみにボエルは攻めるのと攻められるの、どっちが好きなの?」
「まぁどっちかというと……攻められるほう? 彼女とは攻めに回ることが多いからたまには……って、なに言わせてんだ!」
「いまさら恥ずかしがらないでよ~。今度、女の子の攻めが上手い子探しておいてあげるから」

 ボエルは顔を赤くして、近くでニヤニヤしていた親友を殴ったが、聞いておきたいことがある。

「てか、どこにそんなツテがあるんだ?」

 フィリップのツテなんてアホほどある。娼館の店長に直で話を通し、違う偽名で招待状を持って来るアホがいるからとお金も前払いしてるのだ。

「ヒミツ~。また聞いたら、招待状書かないよ?」
「うっ……それは困る……オレはどうしたらいいんだ~」
「もう心は決まってるクセに~」
「「「「「うんうん」」」」」

 こんな楽しいことはやめられないボエル。娼館に行くために、フィリップの秘密を守り続けるボエルたちであった。


 フィリップがまったく根城から出なくなって2ヶ月。根城の中で働く人はワイワイと楽しくやっていたら、あの情報がついに帝国中を駆け巡った。

「やっぱりルイーゼ様は、別格の人気ね」
「ホントに。町もお祭り騒ぎだったよ」

 ルイーゼの御懐妊だ。少しお腹が出て来たタイミングでフレドリクが発表したのだ。
 今日のフィリップも朝方に寝たので、カイサとオーセには町を見て来てくれと頼んでいたのだ。

「ふ~ん……父上のことはもう忘れた感じ?」
「こんなこと言うと悪いんだけど……そんな感じだったわ」
「気にすることないよ。一年中喪に服してたら疲れるでしょ。父上も孫ができて喜んでるはずだよ」
「そうよね。おめでたい話だもんね。太上皇様も喜んでそう」
「男の子かな~? 女の子かな~? プーくん、叔父さんになっちゃうね~」

 オーセの何気ない一言に、フィリップは黙ったまま窓に近付いて自分の姿を見てみた。

「これが、オジサン……」
「うん……見えないね……」
「うん……親戚のお兄ちゃん?」

 18歳まで残り5ヶ月を切っているというのにフィリップはショタの姿をキープしてるのだから、現実に打ちのめされたっぽい。

「そ、そうだ! 身長! 今度、身長測りに行こうよ。きっと大きくなってるはずよ!! ワタシモ」

 フィリップがあまりにも気落ちしているので、カイサはアイデアを出した。ついでに願望も口に出たけど。

「なんとなくイヤだ……」
「え? 二十歳まで伸びるって言ってたでしょ?」
「プーくん、去年は140センチ超えたって、飛び跳ねて喜んでいたじゃない?」

 でも、何故かフィリップは断固拒否。

「2人も服とかどうよ?」
「服?は~……ピッタリ……」
「嫌な予感しかしないね……」
「年末までは、伸びてると信じた~~~い!!」
「「だね……」」

 そう。フィリップたちは、成長がまったく感じられなかったのだ。だから、いますぐの身体測定はしたくないと、年末まで先送りするフィリップたちであったとさ。
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