【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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十九章 おめでたい話があっても夜遊び

463 失敗だらけ

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 カイの襲撃(やり方は悪いが訓練のお誘い)から、フィリップの根城では超防御態勢。
 いつもなら朝には部屋の配置を変えて人が中に入れるようにしていたけど、いつカイが襲撃して来てもいいように昼までは動かさない。

 庭には盾を持たせた護衛騎士が3人。屋上に2人を配置。庭の1人がカイ役をやって、2人が石を投げまくる。
 フィリップはバルコニーからそれを見て、各種指示と叱責。けっこう楽しくやってます。

 オーセとカイサはというと、根城から出るには馬小屋からだし、馬車も出してもらえず中庭を突っ切らないと行けないから「面倒くさいな~」とか愚痴ってる。
 帰りも同じ道順だから「まだやってるよ」と、ちょっと冷めた目で見てるな。

 これは、フィリップが、運動したくないってだけの悪足掻きなのだから……

 それから3日ほど訓練を見ていたフィリップだが、ドアの修理は終わったので「あとは自分たちでやって」と司令官は卒業。飽きたみたい。微熱を出して仮病だ。
 夜の街に繰り出し、キャロリーナとマッサージしたり娼館で何人も買っていたけど、そろそろアレから1週間。昼型に戻して、カイの襲撃に備えるのであった。


「敵襲! 敵襲~~~!!」

 その日がやって来たら、屋根に配置された護衛騎士が警笛を鳴らす。もうカイのことを敵と言っちゃってるよ。

「クッソ~。なんで来てんだよ。昨日も熱出して寝込んでるって言ったよね?」
「「はあ……」」

 フィリップも起きて愚痴っているけど、オーセとカイサは微妙な顔。仮病なのだから、「自分から進んで訓練しろよ」と思ってるからだ。

「さあ、訓練の成果だ……ブッ殺せ!」
「「殺しちゃダメじゃないですかね~?」」

 フィリップもバルコニーの柵に隠れて覗けば、護衛騎士には聞こえないけど気合い注入。オーセたちもついて来て、覗き穴から戦闘を見守る。

「フッ……素手じゃさすがに盾は崩せないか。そこだ! ……ヒット~!!」

 カイは護衛騎士の持つ盾を上から殴る蹴るとしていたが、屋上から飛んで来た石のボールは注意もしていなかったので、見事に頭に直撃。それと同時にフィリップはピョンッとジャンプして喜んだ。

「カイ様、血が出てるよ?」
「大丈夫かな?」
「いいのいいの。頭には筋肉しか入ってないから、死にはしないよ」
「ちょっとは心配しなさいよ」
「プーくんを守る騎士様でもあるんだよ?」
「いいのいいの……あ、ヤバイかも??」
「「うわっ……」」

 カイの出血を喜んだり心配したりとぺちゃくちゃ喋っていたら、3人は会話が止まった。血を拭ったカイが、嬉しそうに笑ったからだ。

「そ、総員! 投げまくれ! 前衛がやられるぞ~~~!!」
「「「うわああぁぁ~~~!!」」」

 笑うカイのパンチ一発で盾役が数メートル吹き飛ばされたのだから、フィリップも黙ってられず。屋上から援護射撃して、下の盾役を必死に守る護衛騎士たちであった。


「ふう~。いい運動になった」
「どこから登って来てんだよ」

 下にいた護衛騎士、カイにボコボコにされてあえなく撃沈。さらにカイは遠距離攻撃をかわし、ジャンプと腕力でバルコニーに現れたので、フィリップもツッコミ。
 暗殺者を完全撃退したセキュリティーが無意味だもん。オーセとカイサはめっちゃ驚いてます。

「さ、今日から体力作りをするぞ」
「僕、熱があるんだけど~?」
「動いてたら治るって。行くぞ」
「だから飛び下りるな~~~!!」
「「いってらっしゃ~い」」

 フィリップもあえなく拉致。オーセとカイサは「こりゃ無理だ」と、フィリップの出勤を見送るのであったとさ。


 カイに拉致られたフィリップは、訓練場の端で筋トレ。護衛騎士を労ってからやって来たオーセたちは、もうすでに足がワナワナしてるフィリップを見て笑ってる。いい気味らしい。

「前よりちょっと体力ついたな」
「いや、全然だよ?」
「よしっ! 次はランニングだ!!」
「見て? ひざ、笑ってるよ??」

 フィリップがいくら言おうと、カイの耳に入らない。走る素振りも見せなかったら、背中を押して来る始末。
 なのでフィリップは走り出したけど、その走り方は気持ち悪いらしく、オーセたちは大笑いだ。

「そこ! 何がおかしいの! ゼーゼー」
「「殿下~。頑張って~。アハハハ」」
「ゼーゼー。笑ってる~~~!!」

 フィリップの走り方は、運動神経がない人の見よう見マネ。いちおう怒っては見せているが、本当はしてやったりだ。

「なあ?」

 フィリップがダラダラ走っていたら、カイが大股で歩きながら横に来た。これもオーセたちは面白いらしい。歩幅が全然違うもん。

「なんだよ。ちゃんと走ってるだろ」
「いや、昔、俺たちのことまいたよな? なに手加減してんだ?」

 フィリップは「馬鹿のクセに覚えてやがる!?」って顔をしたあと、適当な言い訳だ。

「アレは火事場の馬鹿力だよ」
「なるほど……追い込めばいいのか……」

 でも、その適当さがあだに。

「何その顔? 僕、簡単に死ぬよ? 息吹き掛けられただけで、飛んでくよ??」

 カイは本当にやろうとしてるんだもの。

「よし! 戦闘形式でやってやる!!」
「ぎゃああぁぁ~~~! お兄様、たっけて~~~!!」
「逃げるな! ……おお? やればできるじゃないか」
「ついて来んなよ!!」

 というワケで、フィリップはギャーギャー言いながら逃げ惑うのであった……

「普通に走れるんだ……」
「けっこう速いね……」
「そういえば廊下を走る時、普通だったね……」
「また騙された!?」

 それを見たオーセたちは、「さっきまでの走り方はなんだったんだ」と怒りが湧いて来るのであったとさ。
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