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四章 宇宙人との戦争
43 カミングアウト
しおりを挟む純菜の部屋で甘い一時を送っていた蒼正だが、帰る時間が近付くに連れて緊張が顔に出ていた。それに気付いていた純菜は緊張を解そうと、いつもよりサービスしたので蒼正もちょっとは普通の顔に戻った。
そこで二人は部屋を出て、リビングで寛いでいる晴美の前で、揃って腰を下ろした。
「もう帰るの? ……って雰囲気じゃ無いわね」
蒼正だけじゃ無く純菜まで真面目な顔をしているので、晴美も茶化す事は出来無い。
「純菜さんとの結婚を許して下さい。お願いします」
そしていきなり結婚の話題が出た物だから、晴美も少し混乱した。
「え、えっと……結婚を前提のお付き合いってこと?」
「いえ。今すぐです」
「ママ。許可をくれるだけでいいから。形だけだから。ね?」
蒼正の話に純菜が乗っかると、晴美はどう言っていいものか悩む。
「今すぐって……どうしてそんなに急ぐの? 大学を出て、就職をしてそれでも付き合っていたら、私は反対しないわよ? その時じゃダメなの??」
「仰る通りですが、僕達には時間が無いんです。いえ、全人類に時間がありません」
「はい? 全人類??」
「私から説明するね。実は今、日本中で起こっている事件は宇宙人が……」
純菜はこれまでの経緯を説明する。純菜と蒼正が再会したのは夢の中。それを遣って退けたのが宇宙人。その宇宙人の影響で人々が怪我をしたり死んだり。もう二週間もすると宇宙人の本体が到着して地球は死の星になってしまうまで……
純菜が真剣な顔で説明しているから晴美も真面目に聞いていたが、いきなり宇宙人と言われても信じられ無いようだ。
「えっと……証拠はあるの?」
晴美の問いは、蒼正が代わる。
「今起こっている事件が証拠と言いたい所ですが、それでも信じられませんよね? ですから、二週間以内にあるNASAからの発表を待ってくれたら、信じて貰えると思います」
「NASA……」
「確か、純菜さんを訪ねて刑事さんが来ましたよね? あの二人が僕達の話を信じてNASAに掛け合ってくれたんです。ただ、アメリカも日本以上にダメージがあるから、政府発表は出来無いみたいなんです」
「はあ……」
まだ話に付いて行けない晴美。なのでまた純菜が説得する。
「ママ……信じられ無い話をしてると私達も分かっているよ。でも、事実なの。だから、形だけでいいから結婚の許可が欲しいの。もしも二週間後に地球が残っていたら、ママの言った通り就職してから結婚の話をするから。ね?」
「お願いします」
純菜が説得して蒼正が頭を下げ続けると、晴美も答えを出す。
「まぁ……そういうことなら……」
それでも晴美は半信半疑。いや、ほとんど信じていない。しかし、二週間後には普通にすると聞いて、それならば若者の遊びに付き合ってもいいかと許可してくれた。
その答えに、純菜と蒼正は満面の笑みで喜んでいるから、娘の幸せそうな顔に少しうるっと来る晴美であった。
「いい人そうな彼氏だったね」
「うん」
蒼正が帰って行くと、晴美は純菜の腰に手を回した。
「そういえばその紙袋って、刑事さんからのお土産って言ってたけど、どうして純菜にお土産なんかくれるの?」
そして蒼正が最後に手渡して行った紙袋を不思議そうに見ている。
「だから、刑事さんがNASAを説得しに行ったって説明したでしょ? 聞いて無かったの?」
「聞いてはいたけど……」
まだ疑っている晴美の目の前で、純菜は紙袋の中身を取り出した。
「帽子とシャツって……しかもデカデカとNASAって書いてる……こんなの女の子に渡すなんて、刑事さんはセンス無いね」
「うん……え? それ、ドルとか書いてるけど、通販とかで売ってるヤツだよね??」
「宇宙人の事は疑ってくれていいけど、ドッキリを仕掛けているとか疑わ無いでくれない?」
NASAグッズを見た晴美だったが、どうしても宇宙人の事は信じられ無いのであった。
それから二日後、今度は純菜が緊張している姿があった。
「いらっしゃい」
「堀口純菜です。これ、つまらない物ですが……今後共、宜しくお願いします」
「そんなに緊張しないで。蒼正~。可愛い子じゃな~い?」
「先に上がらせて」
今日は純菜が蒼正の家に結婚の挨拶に来たからだ。ただし有紀は「このこの~」と肘をコツコツ当てて来るので蒼正が不機嫌になっている。
全員がリビングに集合すると、歓迎会というより有紀の取り調べ。こんなに暗い子の何処が好きなのかとか純菜に聞くので、どんどん蒼正は不機嫌になって行く。
そうして有紀のやり取りをなんとか阻止していた蒼正であったが、トイレに行きたくなったので「変な事聞か無いで」と告げて急ぎ足で向かった。
「純菜ちゃん。有り難うね」
二人切りになった瞬間、有紀から感謝の言葉が来たので純菜は首を傾げた。
「なんの事ですか?」
「あの子、ついこないだまですっごく暗かったの。たぶん純菜ちゃんと出会ってからだと思う。日に日に感情が表に出て、今では良く笑うようになったの。蒼正の笑顔を取り戻してくれて、本当に有り難う」
「い、いえ。逆です。助けられたのは私です。蒼君のお陰で、毎日が楽しくなったんです」
「そうなの? ちょっとだけ何があったか教えて欲しいな~??」
有紀が出会いや純菜の事を詳しく聞こうとしている所に蒼正は慌てて戻って来たけど、彼氏の母親の質問は純菜には断れ無い。
ただし、純菜もイジメ被害者。蒼正に助けられた話を聞いたり純菜も辛いイジメを受けていたと聞いて、有紀は蒼正のイジメを思い出して泣き出してしまうのであった。
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