アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no

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第二章 王都編 友達が出来たにゃ~

038 リーダーは誰にゃ?

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 わしとソフィの浮気事件の後、やっと落ち着いたさっちゃんと昼食をいただく。
 わしはあらかじめ、女王に頼み込んで王宮料理長に、行きと帰りの食事を多めに作ってもらっていた。余ったらわしのおやつにする予定だ。
 その一部を今日の昼食に、次元倉庫から土魔法で作ったテーブルに並べる。

 テーブルの高さはこんなもんかな? 椅子を人数分ちょちょいと作って、テーブルにクロスを敷けば完成じゃ。たしか次元倉庫のこの辺りに今日のお昼が……あったあった。でよっと。う~ん、いい匂いじゃ。
 移動用じゃから、スープとパンしか無いが十分じゃろう。ん? なんだか視線を感じる……敵か!?


 わしは勢いよく振り返る。だが、そこにはさっちゃん達の呆れた顔があっただけであった。

「え~と……シラタマちゃんは何をしているの?」
「テーブルセッティングにゃ。王女様に地べたで食べさせるわけにはいかんにゃ」
「あ、ありがとう」

 納得してない? 何か足りないのかな? あ! 日差しが強いから、パラソルも必要か。これはさっちゃんの席だけでいいじゃろう。え~い! よし。完成。

「さっちゃんの席はここにゃ。さあ、食べるにゃ」
「魔法をあんな事に使っているよ」
「あの料理なんか湯気が出てる」
「あれ、収納魔法よね? どうなってるの?」

 護衛三人も何か納得いかないのか、三人でゴニョゴニョ話し合っている。

「食べないにゃ~?」
「いえ」
「すぐに行きます」
「食べます、食べます」

 皆が席に着くとわしは人型に変身し、誰かに見られてもバレないように、マントを被って席に着く。そして、いつも通り「いただきにゃす」と手を合わせる。すると、皆も真似をする。

「「「「いただきにゃす」」」」

 みんな馬鹿にしておるのか? たしかにわしの発音はそうじゃけど……おっと早く食べないと、またエリザベスに取られてしまう。

「やっぱり温かい」
「どうなっているのかしら?」
「猫ちゃんは、いろんな意味で変ね」
「どこが変にゃ! 異議申し立てるにゃ~」
「その言い方も人間みたいです。変わった片刃の剣を使いますし……」
「シラタマちゃんの生まれは何処なの?」

 何か疑われてる? 元人間のジジイとか言うと一緒にお風呂に入っているし、膝枕もしてもらっているから変態とか言われかねん。ここは無難に答えよう。

「東の山の中にゃ~」

 うん。嘘も言ってない。

「東の山ですか。あそこには伝説の化け物がいると言われていますね」
「そうにゃの?」
「子供でも知ってるよ」
「その化け物ってキョリスの事でしょ?」
「サンドリーヌ様もご存知でしたか」
「古い本にも度々出てくるからね。だいたい人間に、大きな被害を与えているって書いてたよ」
「そのキョリスは、まだ生きてるのかにゃ?」
「百年は誰にも見られていないから、もう死んでしまったかもね」
「強かったら、相手になってもらったのに残念にゃ」
「いくらなんでも、シラタマ様でも勝てませんよ」
「やってみないとわからないにゃ~」
「昔の資料によると、10メートルを超える巨体と角も二本、尾も二本ある化け物ですよ」
「そんなの、我が国の軍隊でも倒せないかも」

 あれ? 見たことあるかも? 尻尾の数は合わないけど……巨大なリス……キョダイリス……キョリス、バンザーイ! なんてね。
 そんな日本語みたいな名前の付け方では無いじゃろう。人違い。いや、リス違いか。

「でも、見てみたいな~。そんなに大きなリス」

 やっぱり、お前かい!

「シラタマちゃん……なにか知ってるの? ねえねえ、教えて~」

 さっちゃんに心を読まれた。念話持ちか!? こうなったらさっちゃんはしつこいからな~……あ、そこは……ゴロゴロ……仕方ない……ゴロゴロ。

「会ったこと……あるにゃ」
「え~~~!」
「あの伝説のキョリスに……」
「どんなだった~?」
「どんなと言われても……デカかったにゃ。あと、尻尾は三本あったにゃ」
「さらに強くなっているのに、よく生きて戻れましたね」
「運がよかったにゃ。娘を助けてなかったら死んでたにゃ」
「娘がいるの?」
「2メートルはあったにゃ」
「お母さんはいた?」
「いたにゃ。キョリスと同じくらい大きくて、尻尾が四本あったにゃ」
「四本……そんな化け物まで……」
「すご~い! 他に面白い事ない?」
「う~ん。お腹の上で寝ると気持ちいいとかかにゃ?」
「え~~~! 乗ったの? 寝たの??」
「猫ちゃんは怖くないの?」
「伝説のキョリスの上で寝た……」
「シラタマ様とキョリスの関係は、なんなのですか?」
「師匠? 練習相手? 家族ぐるみの付き合い? そんな感じにゃ」
「私も会いたい! 連れて行って!!」
「それはやめた方がいいにゃ」
「どうして~~~?」
「さっちゃんじゃ、触られただけで死ぬにゃ」
「え……」
「キョリスは手加減が下手だから、わしも何度も死にかけたにゃ」
「じゃあ娘は?」
「わし以外が近付いたら死ぬにゃ。もし連れ帰ろうものなら、王国は滅亡にゃ」

 わしの発言を聞いた護衛の三人は、慌ててさっちゃんを止める。

「サンドリーヌ様。会うのはやめた方がよろしいかと」
「私もそう思います」
「伝説が生きていたと知れただけでも十分じゃありませんか」
「うぅぅ。じゃあ、今度会ったら会いたいと伝えておいて! これは王女命令よ!」
「友達に命令するのかにゃ?」
「シラタマちゃんのイジワル~」

 こればっかりは難しいな。まぁ今度会いに行った時に、名前があったと土産話はするし、その時にでも少し話をしてみるか。興味があるなら乗ってくるじゃろう。


 わしは食事が終わると食器は水魔法で洗い、吸収魔法でわしの魔力で作った水を吸収してから次元倉庫に仕舞う。テーブルや椅子も、また必要になるかもしれないから仕舞っておく。また呆れた顔をされたが、気のせいのはずだ。
 また浮気だと言われないように、ローザの事件で手に入れた剣で、コソコソと皆に見られないようにネコハウスを作ったが、ルシウスに取られた。
 揺れが気になると泣き付かれて、仕方なく、仕方なく譲る事となった。エリザベスの支配下にあったんじゃ。これぐらい、泣く泣く譲ってやる。

 ルシウスにネコハウスを譲って、新しいネコハウスを作ろうとしたところで休憩終了のお知らせが入り、しょんぼりしながら御者台に登る。運転手はソフィと交代でドロテになった。ソフィが悲しそうな顔をしていたが、何故じゃろう?
 仕方なく、仕方なくじゃ。わしはしてもらいたい訳じゃないけど、ドロテに膝枕を頼もうとしたら、アイノがしてくれると言うので喜んで……いや、渋々膝を借りる事となった。

 借りたはいいが、アイノの大きなお胸がわしにのしかかり、少し重い。それに撫でかたが雑。文句を言ったら挟まれた。どこにとは言わない。そんなやり取りをしなが馬車は進み、夕方前に、また奴らが現れた。

「ドロテ、今度は盗賊が十人だけど、この国は税が高かったりするのかにゃ?」
「いえ。そんなに酷い税率ではないです。昨年の不作の影響が出ているのかもしれません」
「不作で税金の収益が下がったら、税率を上げる馬鹿な領主がいるもんね」

 ふ~ん。そんなものなのか。ここでは国が、国庫から出すなり他国に頼るなりせんのかのう。女王ならそれぐらいの政策しそうなんじゃが……買い被り過ぎか。

「シラタマ様、敵ですか?」
「ん? ソフィ。また盗賊が十人来たにゃ」
「十人ですか。シラタマ様ばかり働かせる訳にはいきませんので、今度は私達で対応しましょう。ドロテ行きましょう」
「え、あ、はい!」
「アイノは後方支援をお願いします」
「は~い」
「出来るだけ生け捕りにするにゃ~」

 う~ん。三対十か。ソフィの実力は知っておるが、女の子に戦わせるのは心配じゃのう。

「また戦い? 私達も行こっかな~」
「エリザベス、急になんじゃ?」
「久し振りに暴れたい」
「おれも……」

 ルシウスまでもか……これで五対十。ソフィ達も楽になるから許可したいが、兄弟達が無茶しそうで怖いな。特にエリザベス。昔、狼達の返り血を浴びて笑っておったし……

「殺さないで無力化できるか?」
「人間を殺すと城で暮らせなくなるんでしょ? 何度も聞いたからわかっているわよ」
「おれもわかってる」

 別に盗賊は殺してもいいんじゃが、勘違いしているならラッキーじゃ。これなら問題無いじゃろう。

「ソフィ。兄弟達も参加すらから宜しくにゃ」
「エリザベス様とルシウス様もですか?」
「盗賊ぐらい大丈夫にゃ」
「シラタマ様が言うなら……みんな、行くぞ!」
「「はい!」」
「「にゃ~!」」


 ソフィを先頭に皆で歩いて盗賊に近付き、戦闘が始まる。するとさっちゃんが馬車から顔を出す。

「あれ~? エリザベスとルシウスがどこ行ったか知らない?」
「盗賊をこらしめに行ったにゃ」
「え! 危なくないの?」
「兄弟達なら強いから大丈夫にゃ。人が死ぬかもしれないから、さっちゃんは見ない方がいいにゃ」
「これぐらい大丈夫よ」
「犯罪者でも、元はこの国の民にゃ」
「シラタマちゃんは変な心配をするのね。わかっているわ。それを踏まえて、私は見ないといけない」

 意外じゃな。さっちゃんは女王の失政を認めるのか? 強い子じゃ。まぁ犯罪者には変わらないからわしに同情は無い。
 それに動物を何百匹と殺しておる。いまさら人間だけ特別扱いはしない。

「わ~。みんな強いね。もう終わっちゃいそう」
「そうだにゃ。人と猫の連合なのに、バランスよく戦っているにゃ」
「ルシウス速い! エリザベスもあんな魔法使えたのね」
「昔は家族で戦っていたにゃ。狼の大群と戦っても勝ったにゃ」
「アハハハ。それはちょっとシュールね」

 さっちゃん。わしもその時、同じ事を思ったぞ。

「あ、もう終わっちゃった」
「ちょっと見て来るにゃ。さっちゃんは誰か戻るまでここにいるにゃ」
「わかったわ」


 わしは走り、盗賊の倒れている場所に向かう。

 気絶しているだけかな? みんな上手く手加減したみたいじゃ。これなら回復魔法は必要ないな。とりあえず、兄弟達にはさっちゃんの元に戻ってもらおう。

「エリザベス、ルシウス、満足したか?」
「弱過ぎてつまんな~い」
「暴れたりね~」

 ご不満ですか……でも戦闘と聞いてから、ルシウスは昔の性格がちょっと戻った? 城で暮らすなら危ないけど、森で暮らすなら……しめしめじゃな。

「まぁそう言わず、さっちゃんの所に戻ってくれ」
「わかったわ」
「うん」

 やけに素直じゃな。何か企んでおるのか?

 エリザベス達が走り去ると、アイノ達が質問してくる。

「猫ちゃん。この後始末どうする?」
「なんでわしに聞くにゃ?」
「え? そうね。変よね。さっきの指示が的確だったからつい……」
「はぁ~。ここだと、王都とベネエラはどっちが近いにゃ?」
「ややベネエラですが、ベネエラですと、兵の数がいささか心配かと」
「う~ん。それじゃあこいつらを埋めるから、アイノは王都に追加の兵を送ってもらうにゃ。先行している兵に、ここにも十人いる事と追加を送ってもらう手筈を伝えてもらえるかにゃ? あとはあっちで判断してもらうにゃ」
「「「お~~~」」」
「感心してないで動くにゃ。ソフィとドロテは埋めた奴から尋問にゃ!」
「「「はい!」」」


 ……このチームのリーダーって、わし(猫又)なの?
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