アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第十九章 冒険編其の一 北極圏探検にゃ~

530 各国対抗サッカー大会決勝にゃ~

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 女王誕生祭、最終日……

 サッカーグラウンドでさっちゃんと喧嘩していたら、子供達に止められて、わしとさっちゃんは各々のベンチに引っ張られて連れて行かれた。
 子供達はわし達の喧嘩を見て不安な顔をしていたので、わしは発破を掛ける為に大声を出す。

「いいにゃ? 東の国にゃんて蹴散らしてやれにゃ! 今回も大差で破って、さっちゃんを泣かせるんにゃ~~~!!」
「「「「「……はい」」」」」

 わしが敵対心を剥き出しに発破を掛けるが、子供達の返事は小さい。

「それとにゃ! わしは……」

 そうしてわしの考えを述べたら、子供達は先程までの心配そうな顔から戦士の顔に変わった。

「さあ、楽しいサッカーの時間にゃ~。行って来いにゃ~!」
「「「「「はい!!」」」」」

 こうしてわしに鼓舞された猫チームの子供は、やる気に満ちあふれて、監督の元へ走って行くのであった。


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 シラタマが子供に発破を掛けていた同時刻……

 サンドリーヌも東の国の子供の前で、発破を掛けていた。

「いい? あんな猫の作ったチームなんか、吹き飛ばしてしまえ! 昨年の悔しさは覚えているでしょ? 今度はうちが大差で勝って泣かしてやるのよ!!」
「「「「「……はい」」」」」

 サンドリーヌもシラタマと同じく敵対心を剥き出しに発破を掛けるが、子供達の声は小さかった。

「それとね! 私は……」

 そうしてサンドリーヌが考えている事を述べたら、こちらの子供達も先程までの心配そうな顔から戦士の顔に変わった。

「さあ、楽しいサッカーの時間よ。行って来なさい!」
「「「「「はい!!」」」」」

 サンドリーヌに鼓舞された東チームの子供も、やる気に満ち溢れて、監督の元へ走って行くのであった。


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 両チームの子供達が監督から指示を受けている中、両国の代表の挨拶があるらしいので、わしとさっちゃんは審判に連れられてピッチ中央に向かう。
 その間も、わしとさっちゃんはガミガミ言い争い、ピッチ中央に立つと音声拡張魔道具を持って喧嘩する。

『やっとこの時が来たわ。うちのチームに負かされて、泣いて帰ればいいわ!』
『泣くのはそっちにゃ。わしのチームより強いチームはないからにゃ!』
『うちより強いチームはありませ~ん』
『うちに去年負けたんだから、うちが強いに決まってにゃすぅ~』

 程度の低い口喧嘩が続くと、審判から恐る恐る開始の合図をしてくれと言われたので、わしとさっちゃんは声を合わせる。

『『これより、各国対抗サッカー大会決勝にゃ~! みにゃさん、刮目して試合を見るにゃ~~~!!』』

 わしとさっちゃんが睨み合う中、数秒の静寂の後、観客から大歓声があがる。だが、わし達は声がぴったり合った事を嫌い、音声拡張魔道具を芝に投げ付けて、各々の観覧場所に戻るのであった。


「もう~。また喧嘩して~」
「こんなに喧嘩ばっかりしてたら、子供達がかわいそうニャー」

 わしが猫の国観覧席に戻ると、リータとメイバに頬を引っ張られてしまった。

「だってにゃ~。さっちゃんがにゃ~」
「いつもはシラタマさんから謝っているじゃないですか? それで丸く収まるんですから、謝ったらいいじゃない」
「そうニャー。王女様も女王様に怒られてかわいそうニャー」

 メイバイに言われて東の国王族の座る席を見ると、さっちゃんは女王にグチグチ言われているようだ。しかし、子供達がピッチに現れて配置に就くと、説教から解放されていた。
 わしはというと、グチグチ言われて頬を引っ張られていたが、ホイッスルと同時に解放された。


 東チームからボールを蹴り、攻めては守り、守っては攻める。
 猫チームも同じく、守っては攻め、攻めては守る。


 両チームは一進一退の試合を繰り広げ、10分が過ぎた頃に、猫チームにファールがあった。
 東チームはペナルティーエリア近くからリスタート。キャプテンが蹴ったボールは弧を描き、キーパーの手をすり抜けてゴールに突き刺さったのであった。

「わ! いま、ボールが曲がりましたよ!」
「すっごいニャー!」
「にゃっきしょ~!!」

 リータとメイバイは、わしほど猫チームを応援していないので、東チームの華麗なプレーを褒め称える。わしは悔しさをあらわにし、立ち上がって大声で応援する。
 その甲斐あってというわけでもなく、東チームが喜んでいる隙をついて、猫チームは速いパスワークでペナルティーエリアに入ってから、サクッとシュートを決めた。

「いまのも速かったですね~」
「ワンタッチばかりだったニャー」
「よっにゃ~~~!」

 これで振り出し。わしは派手に手を振り上げ、さっちゃんも派手に悔しがっているようだ。
 そのまま同点でハーフタイムになり、後半に入ってすぐに、猫チームが点を決め、東チームがすかさず返す。
 そこからは、どちらもゴールを狙うが守備に阻まれ、キーパーに阻まれ、点が動かなくなってしまった。

 観客は点が動く度に歓声や落胆の声が聞こえていたが、シュートが決まらなくなったら、落胆の声しか聞こえなくなって来た。
 しかし、猫の国組は大声で応援。おしかっただとか、勝てるだとか、ポジティブな言葉を掛ける。それに負けじと東の国組もポジティブな応援をし、スタジアムはどちらのチームへの「頑張れ」の一言で塗り潰された。


 その声の中、子供達は一心不乱にボールを追うが、同点のまま後半を終え、延長戦も得点の無いままPK戦に突入した。

「ああ! 惜しい!!」
「ニャ! いまのは危なかったニャー!!」

 PK戦も一進一退。入ったり外れたりを繰り返すと、リータとメイバイは、完全に猫チームの応援をしているようだ。
 そうして五人目を越え、九人目で、ようやく長い戦いに決着がついた。

「「「「「わああああ!!」」」」」

 観客の破裂したような大歓声が聞こえると、わしはドサッと腰を落とす。

「負けちゃいましたね……グスッ」
「うぅぅ……よく頑張ったニャー!」

 勝敗は、東チームの勝利。リータとメイバイは猫チームが負けても、素晴らしい試合に感動して目に涙を浮かべている。

「どっちもよくやった、にゃ~~~~」

 当然、わしは号泣だ。子供がこんなに頑張ったのだ。泣かない理由が見付からない。玉藻と家康ですら、自国の事ではないのに目に涙を浮かべて拍手を送っているのだから、致し方ないのだ。
 ただ、わしが口走った言葉を聞いたリータとメイバイは、不思議に思っているみたいだ。

「どっちも? シラタマさんは、猫チームを応援してたんじゃないのですか?」
「王女様と喧嘩してたのに、どういう事ニャー?」
「にゃ~~~」

 その質問には、わしは泣き続けているので答える事が出来ない。そうして落ち着いた頃に、表彰式と主催者挨拶が始まるとアナウンスが聞こえて来て、わしも呼ばれたのでトコトコと向かう。


『皆さん……たくさんの御応援、有り難う御座いました。皆さんの応援で選手は勇気付けられ、これほど素晴らしい試合が出来たのだと思います。本当に有り難う御座いました』

 ピッチ中央で、さっちゃんの主催者挨拶が行われる中、わしは係の者の説明を受けるのだが、無視してさっちゃんの前まで走って行った。

『シラタマちゃん……』
『さっちゃん……』

 わしがさっちゃんに近付くと、いままで和やかだった雰囲気が変わり、客席からガヤガヤと心配そうな、喧嘩をあおっているような声が聞こえる。
 その声を聞きながら、わし達はダッシュ。

『『にゃ~~~』』

 からの、抱き締め合っての号泣。

『よく、こんにゃに強いチームを作ったにゃ~、グスッ』
『グスッ……まさか猫チームに勝てると思ってなかったよ~』
『さっちゃんの頑張りに、子供達が応えてくれたんだにゃ』
『ううん。あの子達が頑張っただけ。グスッ』
『グスッ……そうだにゃ。みんにゃ頑張ってくれたにゃ』
『うん。両チーム……いえ。出場してくれたみんなが居たから、こんなに素晴らしい大会になったの』
『本当だにゃ。みんにゃに感謝だにゃ~』

 大泣きしたあとは、グスグス言いながらわし達は称え合う。その声は音声拡張魔道具に乗ってスタジアム内に届けられ、観客達から二人の仲直りを祝して温かい拍手が送られている。

 何故、あんなにいがみ合っていたわし達が、こんなにあっさり仲直りしているかと言うと、子供達の頑張りだ。

 ……と、言いたいところだが、プロレスをしていただけだ。

 サッカーだけでも盛り上がるだろうが、多少のストーリーがあったほうがより盛り上がるとわしがボソッと言ったら、さっちゃんがノリノリになってしまった。
 なので、昨年の因縁に加え、わし達の不仲説を流したのだ。実際に会うたびに喧嘩し、服部に頼んでみたら、さすがは日ノ本一の忍者。見事に噂を広めてくれた。

 ただし、子供達に悪い影響が出るとマズイので、開始の前に全て説明し、わし達の事は気にせず試合を楽しんでくれと言っておいたから、元気に試合に挑んだのだ。

 このプロレスには、わしとさっちゃんはもうひとつの効果を期待している。
 どんなにいがみ合っていても、試合が終わればノーサイド。わし達は本当に子供達の試合で泣いていたので、皆も本当に仲直りしたと思っている。
 これで、次回からどんな結果になろうとも、相手をけなしたりしないで、お互いを称えあってくれるだろう。


 抱き合って涙する、わしとさっちゃんのように……


 長く抱き合っていたが係の者が近付いて来ると、さっちゃんは我に返って表彰式に移る。優勝した東チームにはわしからトロフィーとメダルを渡し、準優勝の猫チームにはさっちゃんからトロフィーとメダルが渡される。
 その時、どちらもよくやったと褒め称えていたので、わしとさっちゃんにも温かい拍手が送られていた。
 ちなみにトロフィーの形は猫又ではなく、普通のトロフィーだったからホッとしたけど、メダルは何故かわしがボールを蹴るデザインだったので、首に掛ける時に落としかけた。

 三位までトロフィーとメダルを贈ると、またさっちゃんの挨拶で締め。

『皆さん! 頑張った子供達に、もう一度温かい拍手を!!』

 さっちゃんがあおりまくると、サッカースタジアムは大きな拍手の渦に包まれる。

『では、第一回各国対抗サッカー大会、終了にゃ~~~!!』
「「「「「にゃ~~~!!」」」」」

 こうしてサッカー大会は、観客の興奮冷めやらぬ「にゃ~にゃ~」叫ぶ声と共に、幕を下ろすのであっ……

 猫の国ならわかるんじゃけど、なんでここに居る全員「にゃ~にゃ~」言うのかね~?

 たったひとり、わしだけテンションがダダ下がりして、幕を下ろしたのであったとさ。
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