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猫歴15年
平行世界30日目その1にゃ~
しおりを挟む平行世界30日目は、朝早くに起床。全員、猫の国の普段着に着替えて朝食を済ませたら、わしはララとジュマルに別れの挨拶をする。
「お金の件は、外務省にも頼んでおくからにゃ。もしも税金とか言われたら、そのお金から差っ引いておいてくれにゃ」
「任せておきなさい。私だって稼いでいるからなんとかするわ」
「にゃはは。それは頼もしいにゃ~。それとジュマル君。いいモノ教えてやるにゃ」
「いいモノ??」
ジュマルには侍講座。ちょっと実演しただけだが、この天才ならいつか使いこなせるだろう。
「すっげ……こんなテクニックがあるんや!?」
「それを使って、スポーツ界を全て制覇してやれにゃ~」
「おう! それをしたら、エリザベスさんをくれるやんな??」
「やるわけないにゃろ!」
まだわしのかわいいエリザベスを狙っていたので、肉球ビンタ。少しの間、眠っていてもらう。
「そんじゃあ、みんにゃの準備も終わったみたいにゃし、これでお別れにゃ」
「ええ。会いに来てくれてありがとう。楽しかったわ。それと、向こうでも面白いこともっとしてね? 最近子育てばっかりで撮れ高悪いわよ」
「わしはお前を楽しませるために生きてるんじゃないにゃ~」
「アハハハハ」
ララとの別れの挨拶を終えると、皆もハグをして別れを惜しみ、ラストは「イエーイ!」と記念撮影。それから、ララたちも一緒に全員でホテルのロビーに向かった。
「あ……ララちゃん。ちょっとお金くれにゃい??」
「まだ支払い終わってなかったの!? まったくあなたは最後まで締まらない猫ね……」
「面目にゃい」
ホテルの支払いをしていないのにララにお金を預けてしまったので、最後は女子高生にお金を支払わせる絵になるのであったとさ。
いちおう外務省の七三メガネにララを紹介して、残りのお金の使い道も一筆書いたら「バイバイにゃ~ん」とララと別れ、大型バスに乗り込む。
そして多くの日本国民に見送られてやって来た場所は、皇居外苑。初日にUFOを着陸させた場所だ。
「にゃんでこんにゃ朝早くから陛下までいるんにゃ……」
「私もUFOを見てみたくなりまして。フフフ」
バスから降りたら、別れの挨拶を済ませた天皇陛下が待ち構えていたので、わしも困ってしまう。
「てか、夜には戻って来ると言ったにゃろ?」
「はい。ですので、もしよろしければ乗せてもらえないかと思いまして……」
「天皇陛下って、そんにゃに図々しい人だったにゃ??」
「フフフフフ」
わしがツッコンでいるのに天皇陛下は笑ってごまかしているので仕方がない。
「後悔してもしらないにゃよ?」
「こんなに素晴らしい乗り物に乗れるのですから、後悔するわけないですよ」
いちおう注意はしたので、テレビ局の者に少し説明してからわしは次元倉庫からUFOを取り出した。
「「「「「うおおぉぉ~~~!!」」」」」
それだけで、辺りからは阿鼻叫喚の叫び声。
「え~。これからこのUFOに乗って、地球を一周しにゃ~す。その証人として、日本国民代表……いや、地球人代表の天皇陛下が共に乗り込んでくれにゃ~す。晩ごはんまでには戻るから、心配せずに待っていてくれにゃ~」
「「「「「ええぇぇ~~~」」」」」
「「「「「おおぉぉ~~~」」」」」
平行世界最終日は、地球一周ツアー。天皇陛下が乗り込むと聞かされて、民衆は様々な声が弾けている。
「ちにゃみにアメリカには深夜の時間帯に着く予定にゃので、UFOを見たい人は頑張って起きていてくれにゃ。では、まずは中国のみにゃさ~ん? 万里の長城でお会いしましょうにゃ~」
それだけ言うと、わしたちはペコリとお辞儀をしてからUFOに乗り込んだ。もちろんUFO初体験の天皇陛下は年のわりにはめちゃくちゃ騒いでいたけど、キャプテンベティにUFOを出発させるのであった。
「着いたわよ!」
「はやっ!?」
「「「「「にゃ~~~……」」」」」
極超音速で飛ぶUFOのおかげで、物の数分で目下には万里の長城が現れたから、天皇陛下は普通のツッコミ。皆はヘビのようにうねる長い壁に感嘆の声を出している。
どこか着陸できそうな場所を探してみたけど面倒なので、2班に分かれての観光だ。
ベティかノルンのどちらかが残っていれば、UFOから出した光に乗って外に出れるのだから、1班が5分ほど万里の長城を歩いたらチェンジ。
わしは震える天皇陛下の手を引いて、万里の長城を歩く。
「そんにゃに怖いにゃ? そこまで高くないにゃろ?」
「怖いというか、私は不法入国をしているので……どうしてくれるのですか!?」
「あ~……だから後悔するって言ったにゃろ??」
「いまの間はなんだ! 後悔するってのはこれとは違うだろう!!」
「怒らないでくれにゃ~」
天皇陛下、ついに厳かな態度が崩れて、わしの襟首を掴んで揺すりまくる。その現場はカメラマンのメイバイに撮られ、リアルタイムで動画サイトに上がっているので、バズるだはずだ。
とりあえずわしたちも5分の滞在時間が終わったら、UFOから光が降り注ぐ。近くにいた人がUFOに乗ろうと飛び込んだみたいだけど、登録している者しか乗れないのにご苦労なこって。
UFOに乗ったら、ブツブツ言ってる天皇陛下の相手は玉藻に丸投げ。わしはさっちゃんたちと、元の世界にある崩壊した万里の長城の話で盛り上がる。
「着いたんだよ~」
そんなことしていたら、すぐに目的地の上空に着いたとノルンが教えてくれたので、皆で真下の景色を見ながら話し合う。
「残るのは、天皇陛下、子供たち、さっちゃんとエミリにゃ。ベティとノルンちゃんはどっちが行くにゃ?」
「あたしに決まってるでしょ!」
「ベティだにゃ。ノルンちゃんは防御を頼んだからにゃ」
「任せるんだよ~」
「んで、イサベレはどうするにゃ?」
「王女様たちのことは、エリザベスとルシウスに任せることになった」
「じゃ、制圧したら、インタビューよろしくにゃ~」
「「「「「にゃっ!」」」」」
わしたちの方針が決まり、武器や防具のフル装備も終わったが、天皇陛下は何も聞かされていないのでわしの尻尾を掴んだ。
「制圧って……ここはどこで何をするつもりなんですか!?」
「新疆ウイグル自治区で独立運動にゃ~」
「なっ……」
「そんじゃあノルンちゃん、迷彩解除にゃ~」
「あいあいにゃ~だよ~!」
迷彩解除の1分後、UFOを見た民衆が騒がしくなった頃に光が放たれて、その場所にはわしたちの出現。だいたいの人が歓迎ムードだが、降りた場所が悪いので、警察や軍隊らしき人は臨戦体勢だ。
何故かというと、ここはウイグル人の職業訓練センターだから。なのに、これほど物々しい雰囲気になっているということは、見られたくない物があるのだろう。ていうか、人権侵害している収容所と自分たちで言っているようなものだ。
そこでわしは、音声拡張魔道具の音量を最大に上げ、翻訳機を通して声を出す。
『え~。我が輩は猫であるにゃ。名前はシラタマにゃ。ここ、新疆ウイグル自治区は本日を持って猫の国となりましたにゃ。つきましては、漢民族のみにゃさんは即刻立ち退いてくれにゃ~』
唖然呆然。インターネットの中でも誰も反応しない事態。その中をわしは翻訳機を通して英語で語り続ける。
『まずは、人権侵害の象徴であるこの施設を更地に変えるにゃ。死にたくなかったら、いますぐ出るんにゃよ~? では、破壊を開始しにゃ~す!』
わしがトコトコと歩き出したら、さすがに軍人も動き出して銃を向けたが、上からの返事待ちなのか発砲はされない。
その中を収容施設の玄関まで近付いたら、入口を固める軍人たち。わしはそこを直角に曲がって、壁になってる場所をちょっと触ってからネコパンチ。一発で大穴を開けてやった。
『ほらほら~? 逃げなくていいにゃ~? これぐらい、ここに揃うみんにゃ余裕でやってのけるんにゃよ~? ……もういいにゃ。リータ、メイバイ。威嚇にゃ~』
「「はいにゃ~。キシャーーー!!」」
リータとメイバイが殺気を放っただけで、周囲500メートル辺りまでにいる人間は全員へたり込んだ。でも、そこは「うお~!」とかでよくない?
『ウイグル人のみにゃさんは、我が民にゃから安心してくれにゃ~。漢民族のみにゃさんには容赦しにゃいので、さっさと立ち去れにゃ~~~!!』
「「「「「うわああぁぁ~~~!!」」」」」
女性2人の殺気だけで、軍人は逃げ惑う。
「んじゃ、あとは玉藻に任せるにゃ。誰も殺すにゃよ~?」
「わかっておる。そちこそ、ちゃんと籠絡するのじゃぞ」
「任せろにゃ~」
玉藻たちは施設内に侵入するところを見送ったら、わしは本気のダッシュ。およそ3分後には北京上空に到着。衛星回線のスマホで動画配信もスタート。
『ごろにゃ~~~ん!! にゃ~はっはっはっ』
からの、隠蔽魔法を解いての高笑いしてやった。それだけで、百キロ以上も先の民衆まで謎の恐怖と震えに襲われた。
『我が輩は猫であるにゃ。名前はシラタマにゃ。空から舞い下りる悪魔じゃないにゃ。でも、いますぐ国家主席に会えないのにゃら、悪魔にも魔王にも変わってやるにゃ。出て来ないにゃら、数分後には中国全土を更地に変えてやるにゃ~。にゃ~はっはっはっ』
もう一度高笑いしたら、【朱雀】の召喚。四体の火の鳥が熱気と恐怖を振り撒く。そのせいで、中国全土がテンヤワンヤ。
ここ北京にある天安門広場では、立派な建物から焦って飛び出る偉そうな人がいたので、隠蔽魔法を掛け直してから地上に下り立った。
「あにゃたが国家主席かにゃ?」
「騙されたなこの猫! 撃て! 撃て撃て撃て~~~!!」
偉そうな人に念話と英語で声を掛けてみたら、周りからマシンガン掃射。蜂の巣状態だ。
「王様に発砲するってことは、交渉決裂ってことでいいんだにゃ?」
「はい??」
マシンガンの弾が何10発と体や顔に当たるなか、わしが動画配信中のスマホに銃弾が当たらないようにしながら質問したら、偉そうな男はとぼけた声を出した。
「とりあえずお前には、死ぬ間際まで拷問して治し、死ぬ間際まで拷問して治しと続けてみよっかにゃ~?」
「化け物……」
「ずっとそう言ってるにゃろ~? にゃ~はっはっはっ」
こいつらでは交渉にもならなさそうなので、隠蔽魔法をちょっと解いて掛け直す。それだけで、ここにいる全ての人間はバッタバッタと倒れて静かになった。
『最後通告にゃ。中国を更地にされたくにゃかったら、国家主席を出せにゃ。地下にいても助かる見込みはないからにゃ。いまにゃら、国家主席1人の命で、中国国民の全ての人が助かるにゃ~。お得ですにゃ~。にゃ~はっはっはっ』
わしが大音量で笑っているとどこかから爆発音や発砲音が聞こえて来た。その後、さっきの男より明らかに偉そうな恰幅のいい男が連行されて、わしの前に跪かされるのであった。
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