野良の管狐は幼女に妖狐の夢を見させられる

ma-no

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第一章

06 管狐、命令される

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 俺は管狐。
 お嬢ちゃんの家で厄介になると決めてから数日が経った。
 まだご主人様は迎えに来ない。
 少し寂しいが、今はお嬢ちゃんが一緒に居るので、気が紛れている。

「ねえねえ?」

 少しねえねえと、うるさいがな……

「ねえねえ?」

 いや、かなり……

「いつになったら、尻尾が増えるの?」

 またこれだ……増える訳がない。
 俺は管狐だ。

「どうしたら、増えるんだろうね~?」

 俺が知る訳がない。
 聞く相手を間違えているぞ。


「ひより~? また一人でお話しているの?」

 奥さんが来たな。
 これで無駄な追求と、無駄なモフモフから逃れられる。

「一人じゃないよ~。ヨウコと一緒だよ」

 奥さんには見えないから、そう言っても通じないぞ?
 いや、今は早く逃げなければ……

「あ!」

 逃げ遅れてしまった。
 お嬢ちゃん。尻尾は掴まないでくれないか?

「そこにいるの?」
「うん! 最近、大きくなって来たんだよ」
「そうなんだ……」

 お! ついに注意するか?

「ちゃんと育てられてエライわね~」
「うん!」

 見えてないのに、褒めるのか……この家族は大丈夫か?
 旦那さんも、お嬢ちゃんの見えないおままごとに付き合っているし、少し心配になるな。
 お嬢ちゃん。そろそろ尻尾を離してくれないか?
 頭が下を向いているから、くらくらする。

「あ……ゴメンね~」

 うん。許すから、頬ずりするのもやめて?
 これは通じないのか。

「そうそう。明日から新学期が始まるけど、準備は出来た?」
「う、うん。だ、大丈夫だよ~」

 ダメだな。
 まったく準備していないのは、俺は知っている。
 そもそも一人になると、常に俺に質問をするか、撫でているかだからな。

「そうよね。ひよりは良い子だもんね~」
「う、うん……」
「でも、もしも間に合わないようだったら、言うのよ? ママも手伝うからね」
「う、うん……」
「それじゃあ、ママは夕飯作るから、出来たら呼びに来るわね」

 奥さんにもバレているみたいだ。
 でも、叱ったりしないのだな。
 ご主人様の父上と母上は、いつも怒鳴っていたんだが……
 年齢が違うからか?

「ヨウコ~? どうしよ~~~!!」

 俺に聞かれても……
 準備をしたらいいのでは?

「今からじゃ、間に合わないよ~」

 たぶん余裕で間に合うはずだ。
 いざとなったら、優しい奥さんもいるから大丈夫だ。

「前もママに手伝ってもらったから、もうママに手伝ってもらうわけには……」

 いや。まだ子供なんだからいいのでは?

「ヨウコが手伝ってくれたらな~」

 ご主人様のゴチャゴチャなツケマなんかを片付けていたから、得意なんだがな。
 だが、俺がそんな事が出来るとわかれば、お嬢ちゃんがどういう反応をするかわからない。
 そもそも手伝うには、ご主人様の命令と、その時に分けて貰う霊気が必要だから出来ない。

「う~ん。ヨウコは妖狐なんだから、出来るんじゃない?」

 ご主人様の命令がないと出来ないぞ?

「じゃあ、このノートを、あっちのランドセルに入れて」

 出来ないって言って……あれ?
 体が勝手に……
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