15 / 63
第一章
15 管狐 服を見る
しおりを挟む俺は管狐。
お嬢ちゃんは今日からゴールデンウィークと言う連休に入るらしい。
その連休の初日、外に連れ出されている。
ご主人様が迎えに来るはずだから、家に居たいのだが、お嬢ちゃんが連れ出すから、仕方なくついて来ている。
どうやら、少し遠くのアウトレットモールで服を買うらしい。
「ヨウコ~。似合ってる?」
俺は管狐。
服の良し悪しなんてわからない。
「もう! ちゃんと見てよね~」
命令されたから、ちゃんと見ている。
だが、俺は管狐。
聞く相手を間違っている。
奥さんに聞いてくれ。
「これもダメか~。次の服に着替えるから待っててね」
命令だから、もちろん待つ。
でも、着替える前に、奥さんの意見を聞こうか?
「あ! ママ、パパ。この服どう? 似合ってる?」
間に合ってよかった。
これで良し悪しがわかるだろう。
「うん! すっごくかわいいわよ~」
「ひよりは何を着ても似合うな~」
「本当!? 次の服も着てみるね~」
どうやら似合っているみたいだ。
なるほど。
次からは、この服を基準にすれば、俺にも答えられるかもしれない。
「うんしょ。ヨウコ。どう? かわいい?」
さっきの質問と違う……
いや、奥さんはさっきの服をかわいいと言っていた。
ならば、基準と照らし合わせると、さっきの動きやすそうな服装と大きく違う。
フリフリがいっぱい付いて、動き難そうだ。
ここから導き出された答えは、かわいくないだ。
手をクロスして、ばってんだ。
「なんでそんなこと言うの!」
え……基準と違うから……
「ひより。どうしたの? あら? それも似合っていて、かわいいわね」
「ひよりは何を着てもかわいいな~」
な……さっきと全然違う服だぞ?
「でしょ~? なのにヨウコがかわいくないって言うんだよ~」
「ヨウコちゃんは、女心がわからないのね」
女心?
当然だ。
わかる訳がない。
俺は雄の管狐だからな。
「うちのひよりが、かわいくないだと……どこに居る! 姿を現せ!! 油揚げにして食ってやる!!!」
おお……旦那さんが怒っている姿を初めて見た。
しかも、怒り具合が尋常じゃない。
管狐の俺に触れる事は出来ないと思うが、お嬢ちゃんが触れられるのだから、万が一がある。
何が悪かったかわからないが、誠意を持って謝罪しなくては。
「ヨウコを食べちゃダメー!」
「そうよ。ヨウコちゃんは悪気があって言ったんじゃないよね?」
うんうん。
うなずいてみたけど、奥さんは違う所を見ているな。
「ママ。ヨウコ、うなずいてるよ」
「やっぱりね。服のセンスが無いだけよ」
当然だ。
俺は管狐だからな。
聞く方が悪い。
「それにパパ。狐は油揚げにして食べるんじゃなくて、油揚げを食べるのよ」
俺は管狐。
お嬢ちゃんの霊気が主食だ。
ご主人様の元でも、人間の食べ物なんて食べた事がない。
「油揚げだけじゃかわいそうだから、明日のお弁当は、いなり寿司を作ろうかな」
いや、食べれないから!
「やった~!」
お嬢ちゃんも止めてくれ!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。
Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。
白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる