32 / 63
第一章
32 あやかし狩り 其の一
しおりを挟む
俺は管狐。
今日はお隣のお姉さんに連れられ、遠くの山に来ている。
お姉さんのお父さんの車で二時間かけてやって来た。
お姉さんのお父さんは、名のある霊能者らしく、以前からお嬢ちゃんからあふれ出る霊気が気になっていたらしい。
そのせいか、お嬢ちゃんがあやかし狩りをしたいと言うと、見学だけじゃなく、狩り体験をさせてくれるらしい。
よけいな事を……
おかげで移動する車の中では、お嬢ちゃんは張り切って、俺を指示する練習をしていた。
………
「人がいっぱいいるけど、ここが狩りする所なの?」
「そうよ」
「ゴミがいっぱ~い」
「ここには霊気が出てくる吹き出し口があってね、人間が不法投棄したゴミが九十九神に変わってしまうの」
「つくもがみ? 神様なの?」
「ううん。分類で神って言っているけど、悪さをするあやかしなの。弱いんだけど、放っておくと力を付けて、もっとひどい悪さをするあやかしになるから、早めに退治しないといけないの」
「ふ~ん」
「それじゃあ、私達は組分けをして来るね」
「うん!」
たしかにここは、霊気の匂いが強いな。
それにゴミの臭いも……
大きい物で、テレビや冷蔵庫。
小さい物は雑多に捨てられているから、どれだけの種類があるかわからないな。
「ヨウコ~。汚いね~」
そうだな。
「木がかわいそう。なんでこんな所に捨てるんだろうね」
俺は管狐。
そんな事を聞かれても、わからない。
「どこにあやかしがいるんだろう? かわいいあやかしゲット出来るかな?」
ゲット??
捕まえるために来たのか?
ここに集まった多くの人は、あやかしを退治するために来たのだろ?
「ヨウコもお友達が出来て、うれしいよね~」
いや。嬉しくないから!
「あ、ひょっとしてかわいいあやかしが家に来たら、わたしが取られると思ってる? ヨウコは甘えただもんね~」
俺が甘えた事があったか?
ないはずだ。
「よく寝る時に、すりすりして来るよね~」
違う!
お嬢ちゃんが、すりすりして来るんだ。
俺は苦しくて、抜け出そうとしているだけだ。
「ひよりちゃん。お待たせ」
お姉さん達が戻って来たな。
しかし、お姉さんのお父さんの体は、縦にも横にもデカイ。
お嬢ちゃんぐらいなら、片手で持てそうだ。
「お姉さん。どうだった~?」
「ひよりちゃんは、私たち親子と組む事になったわ。まぁ無理はせず、私たちに任せて」
「う~ん……わたしも頑張りたい!」
「がははは。嬢ちゃんは元気だな。よし。おじさんが退治の手本を見せてやるから、その後、やろうな!」
「うん!」
「お父さん。無理させないでよね~」
「わかってる。それにそこまで危険な事は起きないさ。それと管狐。嬢ちゃんも戦うんだから、お前も頑張れよ!」
いや、俺は見学でいいのだが……
俺は管狐。
戦いなんて無縁なあやかしだ。
「ヨウコ。頑張ろうね~」
だから、強制参加させないでくれ!
今日はお隣のお姉さんに連れられ、遠くの山に来ている。
お姉さんのお父さんの車で二時間かけてやって来た。
お姉さんのお父さんは、名のある霊能者らしく、以前からお嬢ちゃんからあふれ出る霊気が気になっていたらしい。
そのせいか、お嬢ちゃんがあやかし狩りをしたいと言うと、見学だけじゃなく、狩り体験をさせてくれるらしい。
よけいな事を……
おかげで移動する車の中では、お嬢ちゃんは張り切って、俺を指示する練習をしていた。
………
「人がいっぱいいるけど、ここが狩りする所なの?」
「そうよ」
「ゴミがいっぱ~い」
「ここには霊気が出てくる吹き出し口があってね、人間が不法投棄したゴミが九十九神に変わってしまうの」
「つくもがみ? 神様なの?」
「ううん。分類で神って言っているけど、悪さをするあやかしなの。弱いんだけど、放っておくと力を付けて、もっとひどい悪さをするあやかしになるから、早めに退治しないといけないの」
「ふ~ん」
「それじゃあ、私達は組分けをして来るね」
「うん!」
たしかにここは、霊気の匂いが強いな。
それにゴミの臭いも……
大きい物で、テレビや冷蔵庫。
小さい物は雑多に捨てられているから、どれだけの種類があるかわからないな。
「ヨウコ~。汚いね~」
そうだな。
「木がかわいそう。なんでこんな所に捨てるんだろうね」
俺は管狐。
そんな事を聞かれても、わからない。
「どこにあやかしがいるんだろう? かわいいあやかしゲット出来るかな?」
ゲット??
捕まえるために来たのか?
ここに集まった多くの人は、あやかしを退治するために来たのだろ?
「ヨウコもお友達が出来て、うれしいよね~」
いや。嬉しくないから!
「あ、ひょっとしてかわいいあやかしが家に来たら、わたしが取られると思ってる? ヨウコは甘えただもんね~」
俺が甘えた事があったか?
ないはずだ。
「よく寝る時に、すりすりして来るよね~」
違う!
お嬢ちゃんが、すりすりして来るんだ。
俺は苦しくて、抜け出そうとしているだけだ。
「ひよりちゃん。お待たせ」
お姉さん達が戻って来たな。
しかし、お姉さんのお父さんの体は、縦にも横にもデカイ。
お嬢ちゃんぐらいなら、片手で持てそうだ。
「お姉さん。どうだった~?」
「ひよりちゃんは、私たち親子と組む事になったわ。まぁ無理はせず、私たちに任せて」
「う~ん……わたしも頑張りたい!」
「がははは。嬢ちゃんは元気だな。よし。おじさんが退治の手本を見せてやるから、その後、やろうな!」
「うん!」
「お父さん。無理させないでよね~」
「わかってる。それにそこまで危険な事は起きないさ。それと管狐。嬢ちゃんも戦うんだから、お前も頑張れよ!」
いや、俺は見学でいいのだが……
俺は管狐。
戦いなんて無縁なあやかしだ。
「ヨウコ。頑張ろうね~」
だから、強制参加させないでくれ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
56
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる