39 / 63
第一章
39 同じ夢……
しおりを挟む俺は妖狐。
今日はあやかし狩りに参加して、大変な目にあったが、お嬢ちゃんとの絆が出来て、満足している。
お姉さんにお願いしている、ご主人様の探索は、あやかし狩りに参加していた管憑きの者が探してくれる事になり、連絡待ちとのこと。
もう俺にはお嬢ちゃんがいるから、焦る必要は無い。
今の会いたい理由は、ケジメに別れの挨拶をしたいだけだ。
俺が妖狐になった理由は、管憑きの者でもわからないらしい。
そのせいで、研究材料にしたいと言い出した者が居たが、お嬢ちゃんが泣いて止めてくれたから、話は消えた。
だが、管憑きの者達の目が怖い。
お姉さんもおじさんも止めてくれてはいるが、二人の目も怖いので、この先心配だ。
お嬢ちゃんは車に乗り込むなり眠りに就いて心配に思ったが、お姉さん曰く、霊力を使い過ぎて疲れただけだから大丈夫らしい。
家に帰ると、俺はお嬢ちゃんを部屋までおぶり、ベッドで降ろしたが、俺の姿を見た奥さんと旦那さんは、フェレットがキツネになったと驚いていた。
俺も管狐から妖狐になって驚いているのだから、当然の反応だ。
お姉さんとおじさんは、お嬢ちゃんを危険な目に会わせてしまったと、謝罪していたが、奥さん達は、どれだけ危険だったかわかっていないようで、軽く許していた。
俺の姿を見ても驚くだけで、その後は、犬を飼いたかったんだと喜んでいたから、かなり図太い性格をしていると思う。
お姉さん達が帰ると、夕食になり、お嬢ちゃんはうとうとしながら食べていた。
そして、お風呂もうとうとしていたので、今日は奥さんと入った。
何故か俺も誘われて、お嬢ちゃん同様、しっかりと洗われてしまった。
お礼で俺も奥さんを毛皮を使って洗ってあげたら、喜んで感謝された。
お嬢ちゃんはおネムなので、今日は早めの就寝。
お嬢ちゃんと同じベッドに入り、俺も眠りに落ちる。
………
「ヨウコ……ヨウコ~」
「ん……お嬢ちゃん……もう朝か?」
「ううん。目が覚めちゃった」
「そうか」
「だから、お喋りしよう!」
「ああ。何を話す?」
「そうね~……今日、楽しかったね!」
「大変だったけどな。でも、楽しかった」
「大変だったの?」
「お嬢ちゃんは覚えてないのか。お嬢ちゃんがあやかしに取り込まれた時に、俺もお姉さんも、必死にお嬢ちゃんを助けようとしたんだ」
「そうだったんだ……ヨウコ。ありがとう」
「いいんだ。家族のために頑張っただけだ」
「それでもだよ。ありがとう。ぎゅ~」
「俺の方こそ……お嬢ちゃんと出会えなかったら、どうなっていたかわからない。ありがとう」
「えへへ~。そうだ! ヨウコのご主人様って、どんな人だったの?」
「う~ん。明るく優しい人だったな。お嬢ちゃんと少し似ているかもしれない」
「そうなんだ~。仲間はいたの?」
「ああ。俺を含めて九匹の管狐がいた」
「ヨウコは管狐じゃなくて、妖狐だよ!」
「お嬢ちゃん……本当に俺は管狐だったんだ。でも、お嬢ちゃんの力で妖狐になったんだ」
「そうなの??」
「そうなんだ」
「う~ん。ヨウコがそう言うなら信じるよ。でも、お嬢ちゃんってのやめてくれない? 名前で呼んで」
「……ひより。これでいいのか?」
「うん! あ! またレベルアップだ~」
「本当だ。光っている」
「このままなら、明日には尻尾増えてるかな~?」
「どうだろうな。でも、お嬢ちゃんが言うなら、俺はなんにでもなれる気がするよ」
「絶対なれるよ! 楽しみだな~」
「ああ。俺も楽しみだ」
「それでね~……」
この後、お嬢ちゃんは俺をモフモフしながら、眠りに落ちた。
俺も疲れていたのか、お嬢ちゃんの温かい霊気が気持ち良いのか、すぐに眠りに就く。
同じ夢を見ながら……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
56
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる