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第二章

49 あやかし退治 其の二

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 俺は妖狐。
 現在、俺達は蜘蛛の大群に取り囲まれて、怖い思いをしている。

 おじさんは飛び掛かる蜘蛛を、霊気をまとった拳で殴り飛ばし、お姉さんは退魔の木刀で瞬く間に斬り刻んでいる。
 ひよりも謎呪文「なんまんだぶつ」で、蜘蛛を近付けさせない。
 俺はひよりの息継ぎのタイミングで、向かって来た蜘蛛を、尻尾で薙ぎ払っている。
 俺達は順調に数を減らし、前進している。

 ただし、お姉さんとおじさんが、怪しい笑顔でずっと戦っているので、俺はその姿におびえている。

「俺は21匹だ」
「負けた~。17匹~」
「がははは。まだまだ娘には負けないさ!」
「私には勝てたけど、ひよりちゃんには負けてるじゃない?」
「あ、あれは別格だ!」

 たしかにひよりが一番退治している。
 ひよりの「なんまんだぶつ」は範囲攻撃だからな。
 ひよりの周りに来た蜘蛛は、一網打尽で消されてしまった。
 そのせいで、100匹以上いた蜘蛛も、あっと言う間に居なくなってしまった。

「ヨウコちゃんは何匹?」
「7匹だ」
「ヨウコが最下位だね」

 うん。そうだ。
 俺がこの中で最弱なんだから、当然の結果だ。

「もっと頑張らないと、尻尾増えないよ~?」

 これでも頑張っているんだ。
 ひよりの側にいるから、俺の出番が少ないだけだ。
 いや。結果オーライ!
 この調子でいけば、俺の安全が補償される!!

「ああ。頑張るよ」
「次は私と組む~?」

 お、お姉さんと!?
 絶対、蜘蛛の大群の中に投げ込まれる。
 ひより。助けてくれ!!

「あ、わたしの後ろに隠れた。今日は甘えたね~」

 当然だ。
 お姉さんと組むのだけは、絶対イヤだ。

「鳥居が見えて来た。次はボス戦だろうから、組分けは今のままで行くぞ」
「そうね」

 ホッ。
 おじさんに助けられたな。
 やはり見た目通り頼りになる人だ。

 しかし、かなりの数の蜘蛛がいるみたいだ。
 ガサガサとうるさい。
 それに神社の社より大きなあやかしもいる。
 この人数で大丈夫なのか?

「おおう。デカイな。10メートル以上ありそうな蜘蛛だ」
「土蜘蛛って、あんなに大きいのね。腕がなるわ~」

 うん。二人とも、余裕そうだな。
 怪しい笑みを浮かべている。
 ひよりは……

「怪獣だ~! でも、かわいくないから、アレもいらな~い」

 せめて気持ち悪がろうか?
 俺はあの大きさを見るだけで、寒気がするぞ?

「それじゃあ、嬢ちゃん達は前に出ないで、遠くから減らしてくれ」
「う~ん……面白い方法あるよ~」
「面白い?」
「わたしとヨウコが合体してね~、走り回りながら倒して行くの~」

 合体とはなんだ?
 嫌な予感しかしないんだが……

「なるほど……ヨウコちゃんに乗って、ひよりちゃんが攻撃していくのね」
「たしかに面白い戦い方だな。キツネが走り回れば、注意も引けるし、さっきより早く子蜘蛛を消せるな」

 はあ!?
 俺にあそこに飛び込めと言うのか……
 イヤだ。
 ひより……助けて……

「ヨウコ。合体~~~!」

 ノリノリで乗らないでくれ!!
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