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漆 開戦
40 開戦の巻き
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韓国軍の大艦隊を見た半荘は、ジヨンの手を引いて基地に走る。
そうして地下に作られたシェルターにジヨンが入ると、扉に手を掛けて閉めようとする。
「待って!」
扉を閉めようとした半荘に、ジヨンは制止を求める。
「どうした?」
「これで最後になるかもしれないから、別れの挨拶をしておくわ」
不穏な事を口にするジヨンに、半荘はおちゃらけて見せる。
「最後? 誰に言ってるんだ? 俺は忍チューバー服部半荘だ。ニンニン」
「ぷっ……」
今まで緊張した顔だった半荘がおちゃらけたので、ジヨンは小さく吹き出し、笑顔になった。
「ふふふ。そうだったわね。でも、ファンがあなたの動画を待っているんだから、死なないでね。あ、韓国人の私が応援するのは違うか」
「またそんな事を言う……俺とジヨンの関係は、忍チューバーとファンだろ? 国なんて関係ない。これが終わったら、一番にジヨンに動画を見せてやるからな」
「うん……楽しみに待ってるわ」
話を終えた半荘は、ゆっくりとシェルターの扉を閉める。
ジヨンは扉が閉まる最後まで笑顔でいたが、閉まった瞬間、心配した顔に変わったが、半荘は知る由もなかった。
階段を上った半荘は鏡の前に立ち、額当てをズレ落ちないようにしっかり結ぶ。
そして各種装備を整えると基地を出て、港へと向かう。
その道中、大艦隊から一隻の大きな高速船が先行して進んでいるのが見えたので、半荘は港に急ぐ。
半荘が港に立ち、高速船の行方を見ていると後方に控えた大艦隊は、竹島から1キロほど離れた場所で停止した。
半荘は何が起こっているかわかっていないが、冷静に腕を組んだまま動かない。
そうして数十分後、一隻の高速船は港に到着するのであった。
港に着いた高速船からタラップが伸び、一人の軍人が降りて来ると、半荘はタラップの前まで歩み寄る。
「あなたが、忍チューバーこと服部半荘様でありますか?」
第一声は、軍人。
それも、畏まった日本語で話し掛けて来た。
「ああ。そうだ。服部半荘、ここにあり! ニンニン」
軍人がいきなり攻撃して来なかった態度を見て、半荘は自己紹介する。
「私はイ・デフンであります! この度、服部様を、日本に送り届ける任を受けました!」
「日本に送り届ける?」
「はっ! 門大統領は、この度の事態を重く受け止め、服部様をテロリスト認定から外し、国賓待遇として丁重に扱うように申しております」
「ふ~ん……」
急に手の平を返した韓国軍に、半荘は悩んでしまう。
デフンは嘘を言っているように見えないが、二度も殺そうとして来た相手に、本当に心を許していいのか……
悩んでいた半荘は、まずは探りを入れる事に決めた。
「そんな事を言って、船の上で暗殺なんてされたら嫌なんだけど」
「有り得ません!」
「船に乗って、大海原で沈没も洒落にならないな」
「有り得ません!」
「てか、その有り得ない事をしたのは、韓国だからな?」
「その件は、こちらも領土を取り戻すための、必死の抵抗だったとご理解いただきたく存じます」
「領土ね~……」
半荘からしたら、その言葉が信用から離れる言葉であった。
「まぁ出て行くのはかまわないぞ」
「ありがとうございます!」
「その代わり、日本の船にしか乗りたくないから、船を呼んでくれる?」
「日本の船をですか……それでは、日本の船を独島に接岸させる事になりますから、できません!」
「じゃあ、交渉決裂だな」
半荘の言葉に、デフンは敬語こそ変わらないが、声色が変わってしまう。
「乗らないと、あなたは死ぬ事となりますよ?」
「交渉が決裂したら、すぐに脅しか……。だから、そんな船に乗りたくないんだよ。せめて謝罪のひとつぐらいできないの?」
「死にたいようですね……」
「死にたくないからの交渉だろ? ちょっとは人の事を考えてくれよ」
「わかりまし……」
「待った!!」
開戦を匂わせたデフンを突然止めた半荘は、そのまま言葉を続ける。
「韓国人の女性が竹島に残っているんだ。ドンパチする前に、船に乗せてくれよ」
「人質の女性を返すのですか……」
「人質じゃない。不運なファンだ」
「……少しお待ちください」
デフンは無線を口に近付け、韓国語で何処かに指示を仰ぐと、何度も確認してから半荘に話し掛ける。
「乗せれません……」
「お前のところの国民だぞ? 戦争の前に、自国民を保護するのが先だろ?」
「……上の指示です」
「ああ。言葉はわからなかったけど、お前は反対みたいだったな。でも、これでジヨンが死んだら、お前のせいだからな! いや、お前も! お前も! お前達がジヨンを見殺しにするんだ!!」
半荘はデフンに怒声を浴びせると、高速船の上に並ぶ韓国兵を指差しながら、喚き散らした。
「国家のため、最小限の被害です……」
デフンは悔しそうに呟くと、右手を上げる。
「ああ、そう!」
デフンが右手を上げた途端、半荘は諸手突きで突き飛ばした。
その瞬間、高速船に乗る韓国兵から無数の弾丸が放たれ、半荘は蜂の巣となるのであった。
そうして地下に作られたシェルターにジヨンが入ると、扉に手を掛けて閉めようとする。
「待って!」
扉を閉めようとした半荘に、ジヨンは制止を求める。
「どうした?」
「これで最後になるかもしれないから、別れの挨拶をしておくわ」
不穏な事を口にするジヨンに、半荘はおちゃらけて見せる。
「最後? 誰に言ってるんだ? 俺は忍チューバー服部半荘だ。ニンニン」
「ぷっ……」
今まで緊張した顔だった半荘がおちゃらけたので、ジヨンは小さく吹き出し、笑顔になった。
「ふふふ。そうだったわね。でも、ファンがあなたの動画を待っているんだから、死なないでね。あ、韓国人の私が応援するのは違うか」
「またそんな事を言う……俺とジヨンの関係は、忍チューバーとファンだろ? 国なんて関係ない。これが終わったら、一番にジヨンに動画を見せてやるからな」
「うん……楽しみに待ってるわ」
話を終えた半荘は、ゆっくりとシェルターの扉を閉める。
ジヨンは扉が閉まる最後まで笑顔でいたが、閉まった瞬間、心配した顔に変わったが、半荘は知る由もなかった。
階段を上った半荘は鏡の前に立ち、額当てをズレ落ちないようにしっかり結ぶ。
そして各種装備を整えると基地を出て、港へと向かう。
その道中、大艦隊から一隻の大きな高速船が先行して進んでいるのが見えたので、半荘は港に急ぐ。
半荘が港に立ち、高速船の行方を見ていると後方に控えた大艦隊は、竹島から1キロほど離れた場所で停止した。
半荘は何が起こっているかわかっていないが、冷静に腕を組んだまま動かない。
そうして数十分後、一隻の高速船は港に到着するのであった。
港に着いた高速船からタラップが伸び、一人の軍人が降りて来ると、半荘はタラップの前まで歩み寄る。
「あなたが、忍チューバーこと服部半荘様でありますか?」
第一声は、軍人。
それも、畏まった日本語で話し掛けて来た。
「ああ。そうだ。服部半荘、ここにあり! ニンニン」
軍人がいきなり攻撃して来なかった態度を見て、半荘は自己紹介する。
「私はイ・デフンであります! この度、服部様を、日本に送り届ける任を受けました!」
「日本に送り届ける?」
「はっ! 門大統領は、この度の事態を重く受け止め、服部様をテロリスト認定から外し、国賓待遇として丁重に扱うように申しております」
「ふ~ん……」
急に手の平を返した韓国軍に、半荘は悩んでしまう。
デフンは嘘を言っているように見えないが、二度も殺そうとして来た相手に、本当に心を許していいのか……
悩んでいた半荘は、まずは探りを入れる事に決めた。
「そんな事を言って、船の上で暗殺なんてされたら嫌なんだけど」
「有り得ません!」
「船に乗って、大海原で沈没も洒落にならないな」
「有り得ません!」
「てか、その有り得ない事をしたのは、韓国だからな?」
「その件は、こちらも領土を取り戻すための、必死の抵抗だったとご理解いただきたく存じます」
「領土ね~……」
半荘からしたら、その言葉が信用から離れる言葉であった。
「まぁ出て行くのはかまわないぞ」
「ありがとうございます!」
「その代わり、日本の船にしか乗りたくないから、船を呼んでくれる?」
「日本の船をですか……それでは、日本の船を独島に接岸させる事になりますから、できません!」
「じゃあ、交渉決裂だな」
半荘の言葉に、デフンは敬語こそ変わらないが、声色が変わってしまう。
「乗らないと、あなたは死ぬ事となりますよ?」
「交渉が決裂したら、すぐに脅しか……。だから、そんな船に乗りたくないんだよ。せめて謝罪のひとつぐらいできないの?」
「死にたいようですね……」
「死にたくないからの交渉だろ? ちょっとは人の事を考えてくれよ」
「わかりまし……」
「待った!!」
開戦を匂わせたデフンを突然止めた半荘は、そのまま言葉を続ける。
「韓国人の女性が竹島に残っているんだ。ドンパチする前に、船に乗せてくれよ」
「人質の女性を返すのですか……」
「人質じゃない。不運なファンだ」
「……少しお待ちください」
デフンは無線を口に近付け、韓国語で何処かに指示を仰ぐと、何度も確認してから半荘に話し掛ける。
「乗せれません……」
「お前のところの国民だぞ? 戦争の前に、自国民を保護するのが先だろ?」
「……上の指示です」
「ああ。言葉はわからなかったけど、お前は反対みたいだったな。でも、これでジヨンが死んだら、お前のせいだからな! いや、お前も! お前も! お前達がジヨンを見殺しにするんだ!!」
半荘はデフンに怒声を浴びせると、高速船の上に並ぶ韓国兵を指差しながら、喚き散らした。
「国家のため、最小限の被害です……」
デフンは悔しそうに呟くと、右手を上げる。
「ああ、そう!」
デフンが右手を上げた途端、半荘は諸手突きで突き飛ばした。
その瞬間、高速船に乗る韓国兵から無数の弾丸が放たれ、半荘は蜂の巣となるのであった。
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