猫王様の千年股旅

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猫歴15年~49年

猫歴48年にゃ~

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 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。考え方が古いのは重々承知で言わせてもらうけど、娘には男と結婚して子供を産んでほしい。

 せっかくオニタの結婚が決まったのに、キアラがマティルデと付き合っていると聞いてわしは反対。しかし表立って反対すると嫌われそうなので、今度はキアラ破局計画をお母様方と一緒にゴニョゴニョやってる。

 キアラのことは置いておいて、アリーチェの気持ちが変わらないうちに、急いで結婚式。オニヒメの時は質素な式であったが、今回は派手に。
 サクラは東の国の王子様と結婚したこともあり質素にはできなかったので、東の国でやった派手な結婚式を参考に、国民を巻き込んでやった。

 日数は2日。洋式と和式をして、どちらもパレードは必須事項。ウェディングドレスも文金高島田もアリーチェに着せたら嬉しそうだ。
 いつもは質素な式しかしなかったのに、今回これほど派手にしているのは、アリーチェを逃がさないため。我が猫家の財力を見せびらかして離婚を言い出し難くしたのだ。

 国民はというと、珍しく王家が全員揃って表に出たので大賑わい。出店を出して結婚式を華やかにしてくれた。「どれが王様?」って言ってるヤツも多い……

 こんな結婚式をしたからには、猫家の子供たちもパートナーも興味津々。特に女性陣は、アリーチェの美しい姿を見て「私も早く着たいな~」っと彼氏に甘えていた。
 狙ってやったわけではないのに、こんな効果があるとはわしも棚ボタ。次々と結婚が決まった。ただ、ここまで派手にしなくていいらしい。恥ずかしいもんね。

「私はマティルデさんと、一緒にウェディングドレス着てパレードするんだ~」

 キアラ以外……

「あーしは質素でいいけど、ウェディングケーキに虫を入れるにゃ~」

 ニナは……やめてくれ。それは飲食店の嫌がらせにやることじゃ。

「キアラは、わしたちはまだ許してないと言ってるにゃろ~。せめて10年は付き合わないと許さないにゃ~」
「ええぇぇ~~~」
「ニナは、まずは彼氏に振る舞ってやれにゃ。まだ料理食べさせたことないんにゃろ?」
「そうだったにゃ。今度、連れて来ていいにゃ~?」
「どうぞどうぞにゃ~」

 キアラには厳しい対応で、ニナには甘い対応をするわし。思った通り、ニナは彼氏にフラれました~~~! タガメの姿炒めは難易度高すぎるじゃろうに。プッ……


 そんな感じで猫歴47年は子供の婚活に力を入れていたら、あっという間に年の瀬。年末年始はわしも忙しいので、残りの結婚式は来年以降に決定。新婦もあまりこの時期は乗り気じゃなかったので快く了承してくれた。
 いつもお昼寝ばかりしているわしが忙しかったり、時期が悪いのはどういうことかと言うと……

「うわ~。また派手になりましたね~」
「あそこ、道端で演奏してるニャー!」

 リータとメイバイがウキウキしている通り、東の国で行われている女王誕生祭に家族で遊びに来ているから。つまるところ、さっちゃんの最後の雄姿を拝みに来たのだ。

 ちなみに女王誕生祭は、さっちゃんの代になってから様変わり。昔は剣や魔法、食文化や技術関連が多かったのだが、芸術を主軸にしたお祭りになっている。
 道を歩けば絵描きや彫刻家がアート作品を作り、違う道に入れば音楽家が音色を奏で、広場ではパントマイムやサーカス。至る所に演劇小屋があり、そこで小劇団が演技を披露している。個人撮影の映画もやってるよ。

 城に近い場所では、貴族主体のクラシック音楽やオペラ、貴族がお金を掛けて撮影した映画なんかも上映されているので、目や耳の肥えたお金持ちも大満足。
 このことから、さっちゃんは世界中の人々から「芸術の女王」と呼ばれ持てはやされているけど、これって、第三世界で手に入れた芸術関連をわしが譲ったからではなかろうか……

 もちろんキッズサッカー大会は健在どころか参加国が増えて大盛り上がりなので、そこのVIP席で会ったさっちゃんに文句のひとつでも言ってみた。

「なに~? 別称がうらやましいの~??」
「いや、そんにゃこと言ってないにゃ~」
「シラタマちゃんだって別称あるじゃない」
「にゃ? にゃんて呼ばれてるにゃ?」
「猫よ」
「そのままにゃ~~~」

 別に羨ましくないけど、猫以外がよかったな~。てか、みんなわしの名前、知ってるんじゃろうか?

「って、話を逸らすにゃ~」
「あ、バレた」
「たまには技術関連もやってみにゃい?」
「イヤよ。全部猫の国が持って行くんだもの。他国もショボク見えるからって応募してくれなくなったんだからね。つまり、芸術関連ばかりになったのはシラタマちゃんのせいってことよ」
「にゃんで個人のせいにするにゃ~」

 猫の国国民が頑張ったおかげなのに、わしのせいにされては困る。でも、第三世界に行くことができるのはわししかいないから、結局は認めるしかなかった。
 さっちゃんがめっちゃモフッて来るってのも理由のひとつだけど……


 サッカー大会は適当に応援したら、さっちゃんとは解散。あまり行きたくなかったが、夜の舞踏会に出席してさっちゃんと合流した。猫ファミリーは「恥ずかしい」って誰もついて来てくれなかったよ……

「孫とばかり踊ってないで、私とも踊ってくれない?」
「背丈が合わないにゃ~。にゃ?」
「モフモフ~」

 実は、さっちゃんの次女の娘で一番ちっさい子とも踊ってない。モフられてただけ。

「ゴメンね。お婆ちゃんにちょっと貸してくれる?」
「う~ん……あい」
「ありがとう。モフモフ~」
「踊るんじゃなかったにゃ??」

 さっちゃんもわしを抱いたと思ったら、頬ずりしてるので似た者どうし。間違いなく孫娘はさっちゃんの血筋だ。
 ただし、さっちゃんは本当に踊り出したので、恥ずかしい。わしは宙に浮いてるから、さっちゃんがぬいぐるみと踊っているように見られてるんじゃもん。

 しかしこのダンスは昔、さっちゃんに押し寄せるダンスパートナーを断るために使われたことを思い出したので、懐かしい気持ちもある。
 そのことを喋っていたらさっちゃんも懐かしがり、思い出話をしながらダンスを踊り終えたと思ったら、わしはダンスホールの中央に投げ捨てられた。

「にゃにするんにゃ~」
「ゴメンね~。みんなに顔繋ぎしてくれと言われてて……てへ」
「にゃ??」

 周りを見渡すと、各国の要人の群れがジリジリと接近中。ぶっちゃけ、こいつらがずっとわしのことを血走った目で見ていたから、さっちゃんの孫娘を盾に使っていたのだ。

「ハメやがったにゃ!?」
「たまには王様の仕事しなさ~い。オホホホホ~」
「いにゃ~~~ん! ゴロゴロゴロゴロ~」

 こうしてわしは、要人にモフられまくって、新調した燕尾服をビリビリに破られたのであったとさ。


 各国の要人との会談は、女性陣から酷いモフハラされながら聞いていたので頭に入って来ず。後日、手紙を送ってくれと言って逃げ出した。
 おかげさまで、妻たちに怒られましたよ。半裸で帰ったんだもの!

 女王誕生祭の後半は、さっちゃん最後のお祭りということもあり、猫パーティも協力。イサベレVSシリエージョ&キアラの親子対決。わしVS猫パーティヤングチームの対決だ。

 まずは前座でわし登場。ヤングチームを嘲笑あざわらうかのように戦ったので、大爆笑。ぬいぐるみ姿の者が多いから、子供たちにも大ウケだ。
 そんな戦い方をしたせいで、ヤングチームにめっちゃ恨まれました。プレゼントで手を打ってもらいましたよ。

 オオトリはイサベレ。1日限りの伝説卿復活に、会場は大興奮だ。シリエージョとキアラがどう攻撃しようとイサベレは華麗に捌いて勝利を掴んだモノだから、復帰を希望する声が溢れた。
 そのせいでイサベレも2人に恨まれてました。なのでわしがプレゼントすることになりましたよ。

 大盛り上がりのバトルイベントが終われば、フィナーレ。壮大な音楽に乗せて光魔法で夜空にわしの顔を描く猫花火だ。最後はさっちゃんと共に特等席からわしも見ていた。

「ウサギにゃ……」
「あ、シラタマちゃん知らなかったの? ここ最近は、魔法部隊も芸術を取り入れてあんなふざけた顔は少なくなってるのよ」
「ふざけた顔ってどういうことにゃ~」
「なに~? もっとシラタマちゃんの顔を描けってこと~? 仕方ないわね~」
「いえ、これでよろしゅうございますにゃ~」

 さっちゃんの言い方にムカついただけで、猫花火卒業は嬉しい! わしの悲願が叶ったので、万々歳だ。この日わしは、さっちゃんに芸術関連を譲ったことを、心からグッジョブと自画自賛したのであった。

 妻たちからは、めちゃくちゃ苦情が入ったらしいので、こちらにもプレゼントを送りましたよ。


 さっちゃんの最後の雄姿は大盛り上がりで閉幕して日々がすぎると、今度は戴冠式。わしもまた、ペトロニーヌの時と同じく英雄卿として参加させられているので居心地が悪い。
 東の国の貴族が「なんで?」ってずっと見て来るんじゃもん。自分からカメラマンすると言ってしまったよ。

 そのせいでさっちゃんが入場して来たら、わしの顔を見てすぐに顔をそむけた。アレは吹き出したな……
 そこからは、さっちゃんは厳しい顔で式典をこなしている。アレは笑うのを我慢してる顔だな……

 なんとかさっちゃんは笑うことなく乗り切り、娘のアンジェリーヌが王冠を受け取って貴族だらけの絶対に笑ってはいけない戴冠式は無事終了したけど、わしは騎士に囲まれて拘束。
 夜に行われる貴族だらけのパーティー会場に放り込まれて、さっちゃんに怒られている。

「なんでカメラマンしてるのよ! 笑っちゃうところだったでしょ!!」
「だってにゃ。わし、関係ないのに最前列のド真ん中に立たされたんにゃよ? にゃにかしてないと居たたまれないにゃ~」
「関係ないことは……あるわね……なんで私、シラタマちゃんをそこに置いたの??」
「知らないにゃ~~~」

 さっちゃん、痛恨のミス。あの頃はビデオカメラを扱える者が猫ファミリーぐらいしかいなかったから、ペトロニーヌがわしをこき使っていただけ。
 それを参考に立ち順を決めたので、わしをあんな場違いな場所に配置しちゃったらしい。

「あ~。もう~……最後の最後に失敗しちゃった~」
「ま、そのおかげで特等席で見させてもらえたから、わしはラッキーにゃ。長い間、ご苦労様だったにゃ」
「もおう~。急に真面目な話しないでよ~。泣いちゃうでしょ~」
「にゃはは。まだまだ失敗は付け足されそうだにゃ~。にゃはははは」

 新女王を祝うパーティーは、まだ始まったばかり。今までの苦労を思い出して泣きそうになったさっちゃんは、わしをモフって涙を我慢するのであった……


 それから1ヶ月、キャットタワーの王族居住区では……

「にゃあにゃあ? さっちゃん??」
「ん~??」

 さっちゃんが居間でゴロゴロしてる。

「普通、女王が退位したら、各国に外遊しに行くんじゃなかったにゃ?」

 それも退位してすぐ、夫と一緒にやって来てだ。

「あぁ~……休みの日に、たまにシラタマちゃんに連れて行ってもらったから、行く必要ないみたいな?」
「ひょっとしてにゃけど、ずっと居座るつもりじゃにゃいでしょうか??」
「あぁ~……護衛もエリザベスとルシウス以外帰しちゃったし、それもアリかもね。モフモフ天国ぅぅ~~~」

 女王を引退したさっちゃんは引きこもりに。我が猫家のモフモフ組を毎日モフモフして、幸せな余生を送るのであった……

「ここに骨を埋めるにゃ~~~!!」

 このままでは死ぬまで引きこもりそうなので、娘にチクリに行ったわしであったとさ。
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