49 / 150
二章 逃亡生活
049 エルフの趣味
鉱山の村に着いた2人であったが、エルフとドワーフの言葉が似てるとシモンが言ったがために、プックは怒り心頭。殴ったあとは口も聞いてくれなくなった。
その2人が向かっている場所は、牧場。案内係のエルフ女性に連れて来てもらって馬を預ける。
「ちなみに売るとなったら、どれぐらいで買い取ってくれるんだ?」
「いまなら高く買いますで。肉が不足してますからな」
「え? 食うの??」
「あーしのプリンちゃんは売らん! 顔、覚えてるからな!?」
「うん。すぐ必要になるから、俺も売る気はないからな? そんなに怒るな。な?」
ちょっとした市場調査をしたら、食用に転売されそうになったのでプックはまた激怒。シモンも引いていることにも気付いてないので、宥めるのは大変そうだ。
ひとまず手持ちのアメちゃんと散弾を渡してプックの機嫌を取ったら、案内係に泊まれる場所に連れて行ってもらう。
「あ、そうだ。ごはんって食べれるところあるのか? 酒場でも構わないんだが」
「今日は歓迎の食事を用意しております。かなり質素で申し訳ありまへんが……お酒もありますよ。もちろん御代はいりまへん」
「ちゃんとお金払うぞ?」
「お金の代わりにお話を聞かせてほしいんどす。五層がどんな所か、おふたりはどんな関係なのかとかね」
「俺たちの関係って……どう見える?」
「従者と雇い主? お兄さん、よう怒られててますからな」
「ブッ! 正解やで~。アハハハ」
プックの機嫌、復活。シモン的にはスポンサーをやっているから逆と言いたかったが、プックの機嫌が直ったみたいだから否定はしない。
そうしてテントを張れる所に連れて行ってもらったら、エルフが手伝ってくれるからやることがない。1人用のテントのことを根掘り葉掘り聞かれていたけど、プックが「従者はスケベ」とか噓ついていたからシモンもイライラして来た。
寝床も準備できたら、次はお風呂。温泉に連れて来てもらった。
本当はゆっくり入りたいシモンとプックであったが、エルフに囲まれて質問責めになったのでまったくゆっくりできない。逆に疲れて出て来た。
最後のおもてなしは、歓迎の宴。ここもシモンたちは広場の一番いい席に座らされたので、居心地が悪そうだ。
「なあなあ?」
「ん?」
エルフおじいちゃんが乾杯の挨拶をしていたら、プックはシモンの肩をつついた。
「質素どころじゃありまへん?」
「うん……肉がないな……やっぱりエルフって、草食だったんだ」
「いや、草食やったらプリンちゃんを食おうとせんやろ。エルフっぽく見栄張ってるんちゃうか?」
「ああ~。ドワーフが大酒飲みみたいな?」
「それは事実や。ドワーフ、ウソツカナイ」
「噓つけ。よく噓つくだろ」
食事はパンと野菜オンリー。このことから種族の話になっていたが、ドワーフが嘘つきというよりはプックが嘘つきだ。本人はてへぺろしてるから、これは怒るようなことではないみたいだ。
「んじゃ、食事のお礼に……なんの話がいいかな? 俺が昔所属していた蒼き群雄ってパーティのほうが、大冒険したから面白いと思う。それでいいか?」
食事があまりにも質素すぎたので、シモンはさっさと食べて報酬を支払う。その話は蒼き群雄が苦労しながら着実に階層を渡って行く話だったから、エルフたちはハラハラドキドキしながら、時には涙を流して聞いていたのであった……
「ホンマ、シモンはんは蒼き群雄の話になると、饒舌に語るな~」
テントに戻ったら、プックがニヤニヤしながらシモンを見てる。
「まぁ……2年間、思い出を噛み締めてたし……」
「重い。重すぎるわ……」
ちょっとからかってやろうと思っただけなのに、シモンは元カノを引き摺りまくっているような返しをしたからプックもそれ以上はやめた。
「それより、3日ほどここで休んでから違う場所に行こうと思うけど、それでいいか?」
「せやな。ベッドもないんじゃ長居はできへんな。そもそもエルフがウザイ」
「ドワーフだから?」
「数が多すぎてゆっくりできへんと言ってるんや。てか、どうしても仲違いさせたいみたいやな?」
「そんな言い方するからだろ~」
確かにプックの口が悪いからそう聞こえても仕方がないが、プックには伝わってないな。
「んで、金を渡すから、プックはできるだけ武器の材料を買うってのはどうだ? どこか落ち着ける場所に移動してから作業するんだ」
「うん。それでええで。でも、プーシー6号はまだお預けか~」
「4号と5号を作り直すとか言ってなかった?」
プックは新しい銃から作りたいみたい。シモンには「ちゃんとやる」とか言っていたけど、プックは守る気がないから、テントに引っ込んで図面を見ながら酒を飲むのであった。
翌朝、寝過ぎたとプックがテントを開けたら、シモンがエルフお姉さんに囲まれてチヤホヤされていた。
「人の男に何しとんや?」
「あらあら~。やっぱりそうどすか~」
「この人、ずっと否定するから、からかっておっただけやから心配せんといてな~」
「「「「「ほな、仲ような~」」」」」
プックが一言掛けたら、エルフお姉さんは蜘蛛の子を散らすように。するとシモンは、ゲッソリした顔になってた。
「お前な~。嘘でもそんなこと言うなよ~」
「ええやん。囲まれて困ってたんやろ?」
「困ってた理由はそれじゃないんだよ! 一晩で噂が尾ヒレ付きまくって、俺は人族の王子様、プックはドワーフのお姫様で駆け落ちして来たことになってたんだよ!!」
「なんでそないなことになってるんや!?」
エルフ、噂話大好き。正確に言うと、疎開してやることないから、噂を面白おかしく変換して楽しんでいるのだ。
「あの人たち、絶対に広めるぞ? この村全土に……それを俺は止めてたんだよ」
「あ……噂好きのおばちゃんやったんか……」
プックの嘘のせいで、噂はもっと面白おかしく広がるのであったとさ。
あなたにおすすめの小説
ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった
ma-no
エッセイ・ノンフィクション
この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。
まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。
お腹ぽっこり大賞……もとい!
「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。
是非ともあなたの一票を、お願い致します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~
ma-no
キャラ文芸
某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。
日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。
どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!?
注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。
❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓
よろしければ一票を入れてください!
よろしくお願いします。
お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……
ma-no
キャラ文芸
お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……
このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。
この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。
☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
1日おきに1話更新中です。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』