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一章 魔族の村
6話 留守番の説得 少しR
しおりを挟む「え、ダメだよ……一緒に行く。一人で行かせるのも嫌なのに、こんな格好で行くなんて、無理だよね」
客間に顔だけ突っ込んで行ってきますの報告をすると、カイルが不機嫌顔で近寄ってきて、服をクイクイ引っ張って部屋に引き込んでくる。言い逃げ作戦は遂行させてもらえそうにないな……。そんな程度じゃ脱げないし、大丈夫だからやめい。諦めて客間に入り、しっかりと襖を閉めた。
くっ……こうなると思ったから前日に説得しておきたかったのに……。
朝までぐっすりだったオレのばか……。
これからオレが会う長老会の面々には、人族との戦争経験者も何人かいる。あまり人族を良く思っていないし、特に今日は嫌われ者のオレが喧嘩を売りに行く様なものだ。そこにカイルを連れて行くなんて……。
火に油を注いで更に水までぶっ掛ける様な行為に等しい……。
「ごめん……ちゃんと昨日のうちに話しておくつもりだったのに。今回は完全にオレが悪い。本当にごめん……」
「……僕もわかってるんだよ。昨日ミクロムさん達に色々聞いたから。ちゃんと頭ではわかってる。僕がついて行っても迷惑にしかならないって。でもね……気持ちが許してあげられないんだ。不安なんだよ……。ごめん、少しでいいから抱きしめさせて」
そうか……話しておいてくれたのか。
まさか捨て犬の様に弱ったカイルを見る事になるなんて……。不機嫌になるのは覚悟してたけど、こんなに落ち込むなんて思っていなかった。
着付けが崩れない程度にギュッとカイルを抱きしめる。帯のせいで密着はできないけど、少しは不安を解消してやれるだろうか。
「お前でも不安になる事があるんだな。いつも余裕そうだし、勝手にそんなのとは無縁だと思い込んでた……」
「アーシェがいてくれれば平気だからね」
背中を撫でていると、不意に胸元に違和感を覚えた。
「ん……あの、何やってんの……?あっ、う……」
大きく開いた胸元の服を指で引っ掛けてペロンと下にずらされ、ピンク色のあれが片方見えている。そこを指の腹で円を描く様に触られると、ビクッと身体が反応してしまう。
しおらしく肩に頭をグリグリしてたはずなのに……顔だけしゅんとして、やってる事はまったく可愛げがない。
「送り出す為の充電。なるべく着崩れない様にするから、ここに座って」
ここと指差した先には、さっきから視界の隅に見えていた少し背もたれの倒された高座椅子。今日起きた時はこの部屋で目を覚まして、その時にはなかったはずなのに……。
送り出す為と言われると、断るのも憚られる。怒ってお仕置きーとか言いながらこうなる気はしてたけどさ……落ち込んでもするのかっ。
「さっ……最後まではしないぞっ。今日は……ほんとにダメ……」
「わかってる……今はしないよ」
躊躇っていると、抱き上げられて強制的に着席させられた。膝立ちしたカイルとは丁度同じ目線……いつもはキリッとした目元もどこか弱々しく見える。
ここはオレがしっかりしないと……恥ずかしいとか言ってたら、不安なんて消してやれない。そっとカイルの頬を撫で、オレから唇を重ねると、少し驚いた様子だったけど、すぐに受け入れてくれた。
唇を喰み合う様な戯れたキスから徐々に舌が絡み合った深いものになっていく……。
「ふ……ん。ん……」
カイルから唾液が流し込まれ、違和感なく喉に流れていく。そう言えば体液に魔力が含まれてるんだっけ。前にもされたけど、その時も全く嫌悪感なかったもんな。むしろ心地いいさえある。きっとオレとカイルの魔力は相性がいいんだろう。人族にはないが、魔族では相性が悪いと全く受け付けない事もあるらしい。魔族はほんとつくづく思うけど、魔力に左右される種族だよな。
「あっ、う……」
思いにふけっていると、捲られたままだった胸元をくすぐられ、軽く下半身が疼く。
片方しか見えていなかったのに、今や胸全体が丸見えになっていた。
「もう勃ってる?今は時間もなさそうだし、もう触るね」
固くなり始めたオレを、服の上からさわさわと撫でる。それだけで期待して震える身体になったのは間違いなくコイツのせいだ。恨めしい視線を送ってもまったく気にした様子もなく、下半身を弄る手を止めない。
そう言えば何か忘れてる気がする……何だったっけ。
足を軽く開かされ、スリットから手を差し込み邪魔な布を払い除けたカイルがピタリと動きを止めた。
「こんな所まで……こんなの履く意味ある?」
はっ!そうだ下着っ!ピッタリとした服だから、下着のラインが見えない様にと言われて仕方なく履いたんだ……。着終わってから気付いたけど、上から服を重ねて着てるからそもそも見えないじゃん!
カイルが凝視しているのは、布面積が前と後ろにそれぞれ手のひら以下の黒い紐パン……。
「いや、わかってるよ?十五年ぶりに帰ってきて、いきなりこんなの誰かに見せる為に履いた訳じゃない事くらい……。でも何で履いちゃったかな?」
「いや……だって……。うぅ、ごめんて……自分でも恥ずかしいってわかってるから、あんまり言わないで……」
紐を解けない程度にピンピンと引っ張られながらの尋問とか……地獄か。太ももに頬擦りしてるし……そんな近くで見る必要あるか?
恥ずかしくて両手で顔を隠した。
いつまでも見られるくらいならいっその事……。
「カイル……早く脱がせて」
コロンと背もたれに倒れてパカっと足を開くと、カイルが困った様なニヤケ顔でんぐっと唸る。
「これがワザとじゃないなんてねー……無自覚の暴力。時間ないのに拷問に近いよね。はぁ、また今度絶対履いてね」
腰の辺りに顔を埋めて、片方は手で、もう片方を口で紐を解いていく。ハラリとパンツが落とされて、指の間から見えたオレは恥ずかしさで少し縮んでいた。
どうせ無理矢理履かせるだろ、そんな念を押して言わなくても……。
小さいオレのはカイルの口の中にすっぽりと収まって、吸われたり舌を動かされるだけでゾクゾクしてしまう。
「う……ふ、ぁ」
この光景……よく指の間から見るよな。カイルが恥ずかしい事したり言ったりするからだ……。今日のはオレも悪いけど……。あーもー……すぐにまた固くなるの恥ずかしいってば。
大きくなってきたソコを、顔を動かして全体を扱いたり、時々口から離して裏側を舐め上げられると気持ち良くて勝手に声が漏れていく。気付いたら高座椅子の肘置きを握っていて、指で邪魔していたはずの視界が晴れてバッチリとカイルと目が合った。
「かわいい……服は絶対に汚さないから、安心して出して良いよ」
情けない顔になっている自覚がある。こんなのをかわいいと思うなんてカイルだけだと言いたい。こいつの恥とかわいいの基準は世の中の常識から逸脱している。
そして今の状況に安心できる要素は一つもない……。
カイルに触られるとすぐに何も考えられなくなってしまう。特に舐められると一気に頭がフワフワする……。初めこそ否定したくて気持ちもぐちゃぐちゃになってたけど、好きだと認めてしまうとそれは心地いいまであって……。何だろうこれ……すごい安心する。もしかして魔力って肌に触れるだけでも影響あるのかな……。
成長しきったオレのは、流石のカイルでも全部咥える事ができないらしく、根本の部分は指で作った輪っかで、口の動きに合わせて刺激してくる。カイルの唾液とオレの先走りが卑猥な水音をたてて耳からも早くイけと催促してくるみたいだ。
足に力が入って、膝も足の指もぎゅっと折り曲げてしまう
「うっ、あぁ……カイル、カイル……。も、イきそ……」
オレの言葉を合図に口と手の動きがますます激しくなる。汚さないって……もしかしてこのまま口に出せって事……?ヤなのに……もう我慢できない……。
「いあ……イくっ、う……んんっ、あっあっ!うぅんんっ!」
ビクビクと痙攣しながらカイルの口内へ熱を放つ。搾り取られる様に竿を指で扱かれ、先は舌で尿道を掘りながらちゅーっと吸われてなかなかイくのを止められない……。
「もっ……離して……あぅっ」
曲げていた足で、伸ばすついでにカイルの腹を押すと、素直に離れていったが、最後に先っぽをペロリと舐められてしまった。ぐぅ……タダでは転ばない感じが如何にもコイツっぽいな。
「ん……ごちそうさま。これで僕の中にもアーシェの魔力がいるって事だよね。うん、これなら数時間くらいだったら大人しく待ってるよ」
満足気に唇を舐める姿はとても扇状的で、カイルに慣らされた身体は次の行為を期待してムズムズと疼いて仕方ない。これ以上はいけないと頭を振って雑念を追い払った。
どこからか出した柔らかい布で、ふにゃんと小さくなったアレの辺りを優しく拭いてくれる。達したばかりで敏感な身体がピクンと反応してしまうが、今は見逃してくれる様だ。魔法でも使ったのか、軽くお湯で湿っていて温かくてホッとする。
しかし数時間とかケチか。離れる度にこんな事されたらたまらんのだが。
元々変とは思ってたけど、こんなに余裕のないやつだったか……?
「ねぇ、ついでだし履き替えとこうか。はい、いつもの。足通して」
一瞬暗い顔をしていた気がするが、オレの見間違いか……。ニッコニコで両手の人差し指と親指でパンツの足を入れる所に刺して広げ、八の字にびよんと伸ばしている。
……なぜお前がオレの愛用パンツを持っとるんじゃ。新品とか、オレの荷物まで取りに行ったならまだしも、なぜすぐに出てくる。
深く考えてはいけない。心を無にして広げている輪っかに足を通した。
「服も着替えればいいのに。大体露出しすぎなんだけど。外は寒いのに、これでどこを守れるの?」
オレもそう思う。こんな格好で外に出るなんて頭おかしいなって。でも、ご丁寧に魔法がかかっているらしく、全く寒くないし、冒険者の装備と言っても遜色ない程の防御力もありそうなんだ。絶対に着て来いと言う強い怨ね……いや、意志を感じる。
「まぁ……でもこう見えてこれ、カッチカチの防具だから。防寒もかかってて寒くもないし。見た目は……アレかもしれないけど、心配はいらないぞ。マクロムが着せてくれたんだし、魔族としてはおかしい格好じゃない……はずだからっ」
防寒機能のせいで捲られていた事を忘れていた胸元の着衣を正して立ち上がる。
いくらヨナが用意して断れない物でも、流石におかしかったらマクロムなら一言オレに言ってくれるはずだ。
カイルも立ち上がって、改めてオレの服装をじろじろと見極めている。
「ふーん……。何だかあんまり僕は好きになれない服かな。今度は僕が選んだ服を着て欲しいなぁ」
「はぁ……わかったわかった。大人しくこの家で待っててくれたら着てやる。じゃ、服整えて行ってくるから。……カイル」
「ん?……っ!?」
少しムクれた顔で尖っていた口に不意打ちのキスお見舞いしてやった。
ははっ、びっくりしてる。ざまーみろ。
ポカンと口を開けたままのカイルの胸を軽く押して背中を向けた。
「離れたくないのがお前だけだと思うなよ」
襖を開けて、カイルの返事を聞く事なく廊下に出てすぐに閉め、マクロムの待つ部屋へ向かう。
前世の記憶は殆どなくなった。たまに前世と似た景色や物を見るとその光景を思い出したり、使っていた言葉がでる。日常ではその程度。
でも、たまに夢見が悪くて夜中にハッと目が覚める。見る夢は決まって病室……。廻瑠を見た最後の光景。心臓がバクバクと脈打って、口からはハッハッと細かく息が出ていく。
そんな時に横を見ると、いつもカイルがいてくれた。オレを抱きしめてスヤスヤと安らかにたてる寝息は、荒れていた呼吸と心拍を落ち着かせてくれる。
カイルが息をしている。それが今のオレにとっても無くてはならないものだ。
立場上、半年離れるのは仕方ないなんて言ってたけど、本当は不安でたまらなかった。
言った手前、一緒に来てくれて嬉しいだなんて、本人には言えないけれど……オレも一緒に居たいと思ってるくらいはわかっていてもらわないと困る。
今更自分のとった行動が恥ずかしくなって顔に熱が集中してきた。
あーもーっ!顔を冷ますために手でパタパタと扇ぐ。
あ……そう言えば紐パン……。
カイルがオレのパンツを持っていた理由がわかった気がして、後で回収せねばと心に決めた。
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