ゆるふわコハルと不憫なマコト

白縁あかね

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本編

4話 まさかの共通点 side前半佐伯、後半彩芽

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「ぶぇっくし!うぇー……さむっ」


「ちょっと伸ちゃん、布団持ってかないでよ。僕も寒いじゃん」


 ふー。かわいい恋人がムクれて今日もかわいい。また勃ちそー。いや、がまんするってば。
 勃つと言えばアイツ、放って来たけど大丈夫だったかな。ま、湖遙くん悪いやつじゃなさそうだったし、大丈夫だろ。後で生きてるかだけ聞いてみるか。
 しかしあんな面倒くさい真をよく相手できるよな。ナンパから逃げる為に使ったのかと思ったけど、ちゃんと話聞いてやってたもんなぁ。ああ見えて大物だったのやもしれん。


「ごめんごめん。でもそろそろ起きろよ、朝飯作ってやるから」


「わーい!お腹すいたー。ねぇ、甘いのにしてよ、伸ちゃん」


 ガバッと起き上がった恋人は、期待の眼差しで俺を見てくる。
 おーおー、ぷりちーぷりちー。目玉焼きでも焼くかと思ったけど、フレンチトーストにしてやろう。そんなに期待されちゃあやるしかやるめぇよ。


「わかったわかった。とにかく先に服着ようぜ。さっぶいさっぶい」


 ベッドから降りて衣類を纏う。かーっ、親父が腹巻きしてる理由がわかる年になってきたぜ……。


「何だか伸ちゃんおじさんみたい」


「もうおじさんよぉ。四捨五入したら三十路だからね?」


「何言ってんの、まだ二十五でしょ。僕とだって五つしか変わんないのに」


「彩芽くんや?学生と社会人では体力的にも越えられない壁に隔たれたくらいの差がある訳だよ。毎日毎日デスクワークしかしていない社会人我々と、パリピと化して遊び倒せる学生君達と同じにしてはいけないのじゃ」


 寝起きでちょいと伸びた顎ひげを触りながら、箪笥から取り出した新しい服を恋人に投げる。ここは俺の家だが、当然の様に彩芽の服やら歯ブラシやら一通り何でもある。二年も付き合ってりゃまぁこうなるわな。


「偏見ー。別に学生僕らだってそんな暇人じゃ……ない、し。そう言うわりに夜激しいくせにっ」


「そりゃ、お前がかわいいのが悪い」


 身に覚えでもあるのか、言葉の歯切れが悪い。どうせいつもの親友とやらの事でも思い出しているに違いない。
 愚痴は言うけど全然どんな奴なのか教えてくれないんだよなぁ。かわいいから伸ちゃんが惚れたら大変!とか言って写真すら見せてもらえない。やっぱおじさんの恋人なんて紹介したくないのかなー?と、ちょいと寂しく思ったりしている。言わないけどね。


 豪速で枕が顔面に飛んでくる。自分で振ったのに酷い。でもそこがまたかわいいんだな。


「ぐえー。退治された悪者は退散しますよぉ。お前もとっとと着替えて来いよ」


 ポイっと枕を投げ返して、朝食を作るべくキッチンへ向かった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





side彩芽



 月曜日の朝、大学への通学路は結構な人で賑わっている。最近めっきり寒くなったからか、みんな長袖だ。
 ポツポツと前を歩く人の中に、ぴょんとアホ毛を立たせた親友を発見して後ろから飛びついた。


「おっはよー湖遙ぅ。週末はごめんね?誕生日だったのに……今日バイト終わったらお家行くから埋め合わせさせて?」


「おふっ……あよぉ。朝から元気だねぇ。今日はもしかしたら予定が入るかもしれないから無理かなぁ」


 親友の予定と言う言葉にぴくっと反応してしまう。


「何それ、どう言う事!?あんたまた知らない奴に誘われたの!?」


 この親友は俗に言うビッチとまでは言わないが、誘われると断れない節がある。高校の時からの付き合いだが、僕が守って蹴散らしてきた男は数知れない。
 初めて会った時は空き教室で先輩達に輪姦されていた。慌てて先輩達は追い出したが、本人は気にした様子もなく「男の人の性欲なんてこんなものでしょ?」と言うだけだった。
 何でかわかんないけど守ってあげないといけない気がしたんだよ。ほっとけないでしょ、こんな危ないやつ……。
 そんな僕の気も知らないで、親友は相変わらずわけのわからない事を宣う。


「知らない奴……ではない、と思う?テッテレーって、ゆーしゃコハルはすごいちんちんを手に入れたのだ。弱点がちんちんしかなくてすっごいの。何か責任取りたいんだって。ちゃんと彩芽の言う通り、初めて会う人には連絡先教えなかったんだよ?だからバイト先と働いてる時間教えたの。来てくれるかもしれないから、今日は駄目ー」


 いや、知らんがな。何よ、すごいちんちんって。エクスカリバーみたいに言うなよ。どんな頭してたらこんなに人に理解させない説明ができるのか。
 ってか、連絡先教えなくてもバイト先と時間教えたらそれはそれでダメだから!しかもやっぱり知り合ったばっかりの奴かよ!もっとダメじゃ!


「意味わかんない。わかんな過ぎて逆にすごい。ちんちん見たって事はヤったの?そんで、そいつとまた会う気なの?ばかなの?」


「もうっ。ちんちんなんてそんな大きな声で言ったら恥ずかしいんだよ?別に会う約束をした訳じゃないし、来るかもなぁってくらいだもん」


 お前が言い出したんじゃこの節操なし!どこで顔赤らめてんだよっ。ほんっとコイツ……。


「僕にも会わせて。見極めてあげるから、僕がダメだって言ったらもう会っちゃダメだからね」


「別にいいけど……俺のちんちんだよ?」


 ほっぺをぷくっと膨らませ、口の前で指をバッテンにする。首をコテンと軽く傾げる姿は世の男共を惑わせて憚らない事だろう。だがそれは僕には効かん!
 色々積もってブチンと堪忍袋の緒が切れた。


「いらんわ!僕には既に素敵なちんちんが居るんだからな!」


 叫んだ瞬間後悔しても後の祭り。こんな恥ずかしい僕と親友だなんて、ザマーみやがれ……。絶対親友やめてやらないからな。




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