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本編
8話 初耳ですけど side湖遙
しおりを挟む今年もこの季節がやってきましたー。寒いと人肌恋しくなっちゃうよねぇ。わかるわかる。俺も真さんにぎゅってされるの大好きだもの。ぽわーって暖かくて気持ちぃんだよねぇ。
でも、せっかくの金曜日なのに、その大好きを断らないといけないなんて悲しくなっちゃう。
毎年クリスマスイヴは菖ちゃんとの約束があるから……仕方ないよね。
「湖遙!」
待ち合わせのホテルに着くと、いつもの様に菖ちゃんが両手を広げて出迎えてくれる。
迷わず菖ちゃんに飛びつき、温もりを摂取してやるのだ。
ふぬー……やっぱり何か違ぁう……。菖ちゃんもいいにおいだけど、真さんならもっとホッとするのに。
「どうした?いつもより熱烈じゃないか」
「そう?でも真さんの方がポカポカなんだよぉ」
「まこ……?相変わらず意味がわからなくてかわいいな。そんなお前にはこれをあげよう。じゃあ早速だけどお願いできるか?」
「はぁい」
差し出された手からコロンと飴を受け取った。やったぁ、後で食べよ。
慣れた菖ちゃんは彩芽の様に俺の発言に深入りしない。何事も深く気にしないと言う所は俺とそっくりだと思う。
よぉし、今年も頑張るぞ。今日は眠れないからねー。
「湖遙くん!!」
菖ちゃんと手を繋いでホテルに入ろうとした所で肩に強い衝撃を受け、クルッと後ろに振り向かされる。
そこには俺が求めていた温もりが、いつもと全く違う様子で立っていた。
「はぇ……?真さん?どうし……」
「何でこんな所にいる……」
それはこっちの台詞。ここ、ホテルなんだけど……ラブの付く。誰と来たの?
真さん……?顔がすごく怖い。
「ちょっ、あんた……」
「あなたには聞いていない。黙ってろ」
菖ちゃんが声をかけてくれたけど、すぐに遮られてしまう。きゅわ……たまに出るワイルド真さんだぁ……。胸の辺りがきゅっとする。
真さんも誰かとこんな所に来るんだ……俺以外とも……。いぁ、そりゃ来るよね。今日もやる気だったのに断っちゃったもんね。あんなに絶倫さんなんだもの……当然か。
今度は胸の辺りがズキっと痛む。……どうして?
「湖遙くん、何で黙ってるの?あー……いいや。見ればわかるし聞きたくない。行こう、こんな所にいつまでもいたくないしね」
ズキズキとキュッキュッがごちゃごちゃになって混乱しているうちに、真さんに引き寄せられる。あぁ……これ欲しかった。
俺の意思に関係なく導かれるままに歩かされる。
「待て!お前、何してるんだ!?」
「一緒にうちに帰るだけですよ。ね?湖遙」
ひきゃっ!?こここっ、こはるを呼び捨てっ!?初めて呼ばれちゃった……。帰るぅ!ついて行くしかないからっ、こんなかっこいいのぉ……!嬉しさで身体が打ち震える。
「……しょ、ちゃん。ごめんね、ちょっと行ってきます。またね……」
「またなんてありませんから。それじゃ、失礼します」
最後までかっこいい真さんに連れられてタクシーに乗り込む。あれ……?一緒に来た人はいいの?
聞きたかったけど、何だか真さんの顔が怖くて聞けなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うっ、ぐすっ……も、やだぁ……真さん、何でこんな事……」
俺、気持ちいのは好きだけど、恥ずかしいのすごくヤダ……。意地悪な真さんかっこいいけど怖い……。もしかして怒ってるの?何で?俺、何かした?
「何で?本当にわからないの?湖遙は僕のでしょ?浮気しちゃダメだよ」
散々泣かされた後、身に覚えのない罪状が告げられる。……浮気?何それ。
「俺達……セフレでしょ……?浮気って何の事?」
真さんはこの世の終わりの様な顔で固まってしまった。
大丈夫……?心配になってほっぺを撫でた。
「セフ……レ?湖遙くん……ずっとそんな関係だと思ってたの?僕達、付き合ってるんじゃなかったのか……?」
え……付き、合う?誰と誰が?付き合うってあれでしょ?お互い好き好きになった状態の事。でもさ……
「真さん、俺に好きだって言った事ないよね?」
途端に真さんの顔がみるみる青くなっていく。こりゃあいかんぞぉ。顔を両手でもみもみして、何とか血行を促進させようと試みる。
頑張れ真さんの顔筋ーっ!ちゃんと動いて血流を促すのだ!
中に入りっぱなしだった真さんがしおしおと縮み、ズルズルと抜けていく感覚につい力が入って、その拍子にスポンと抜けてしまった。
あぁー……ソッチの血行も悪くなったかぁ。
ソコももみもみしてあげようか?
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