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4話

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「よし、これで全員だな。」

ほかのやつが消えたあと、ライヤのとこには俺合わせ5人が集合していた。

「まず、お前たちにはこのルームキーを渡しておく。これからは各々の班のメンツで活動するからな。あと、部屋になにか服やらなにやらが必要になったら、お前たちが胸に着けているバッジ、それを押してみろ。」

 そして、バッジを押してみると、目の前に自分の名前と写真。その他情報が諸々書いてあり、その横にショッピング、呼び出し、メールなどといったよくわからん文字が書いてあった。

「そこにあるショッピング。それを押し、自分の買いたいものの情報を入力すれば購入できる。それも即日配達だからすぐに届くぞ。」

 すると、周りのやつからうぉー!だのきゃー!やったー!だの聞こえるが何に対して喜んでいるのかわからない俺なのであった。

「あと、明日からの生活なんだが、寮の隣の校舎。そこで毎回授業は行い、実技はここなどを利用してやる。そこら辺は理解しておけ。あと、あしたから教室には8時半までには入っておけ。まぁ説明に関してはそんなもんかな。質問はないか?」

 すると、ふと気になったことがあった俺は手を上げる。

「おぉ、ハジメか。どうした?」

「えっと、このメールってやつと呼び出しってやつはなんですか?何ができるんですか?」

 すると、周りからクスクスやらマジかよだのバカにするような声が聞こえるがサラーっとスルーする。

「お前まじか。念の為に説明すると、呼び出しってのは離れてる人を呼び出して会話することだ。まぁいわゆる離れてるやつとの会話とでも覚えとけ。あとメールは、離れてるやつと文章でやり取りができるものだ。まぁ使い所は結構あるから覚えておくといい。」

「あっ、はい。わかりました。」

 どんなからくりかまで知りたかったが時間が押している。仕方ない。

「んじゃ、ほかにしつもんがないようだしこれでかいさんにする。あと、班のメンバーとはしっかり交流を深めておくように。それは徹底しろ。」

 その後、各々が各部屋へと引き返していく。俺も行くか…。

 そして、俺達の部屋。301号室に入室する。

「おぉ、遅かったな。ハジメよ。」

「ん。待ってた。」

 中に入ると、内装は東洋の家のようなシックな作りになっていて、キッチンなど生活必需品はそろっているようにみえた。

「遅いっすよー!なにやってんすか!」

 すると、後ろから早速お菓子をくわえた黒髪の短髪イケメンが声をかけてきた。

「ん、あぁ。すまん。てか何お前菓子食ってんだ?」

「ちょ、内緒でお願いっすよー。食ってるのバレたくないんすよ。理解お願いっす。」

 コソコソと後ろから話しかけてくる。まぁ許してやるか。

 「…てか、俺にもひとつくれよ。仲間だろ?」

「そっすねー。俺らやっと巡り会えた運命の相手っすもんねぇー。」

「やめろなんだその気持ち悪い言葉は。てか男に言うセリフじゃねぇだろそれ」

「まぁまぁ、とりあえずこれでも食うっすよ。」

 キッチンの裏に引っ張りだされた俺は、じゃがっとと書かれた黄色い物体を口の中に入れられた。

「じゃがっとっすよー。それも期間限定のバターチキンカレー味!大好きなんすよーこれー。」

 うん、確かにめっちゃうまいな。程よい辛さとそれを包み込むバターの匂いが…うん。すばらしい

  そして、2人でにへへとお菓子を食ってたら首根っこを掴まれた。そして、恐る恐る上をむくと…

「ちょっと!なにやってんの!あんた達!盗み食いなんかして!」

 そこには、白髪ロングのいかにも口うるさそうな美人が立っていた。

「げっ、バレたっす…。」

 カイがしゅんとなる。そんなに項垂れるようなことか?

 その後、俺たちふたりは自己紹介の間お菓子禁止令を出されたのであった。

「えー、てなわけでこれから自己紹介の方をしていきたいと思う。私の名前はクレア。シズクと一緒に旅をしていた者だ。主な心力の属性は炎だ。よろしく頼む。」

 そして、ちゃぶ台を囲み自己紹介が始まる。まて、心力の属性なんか知らねぇんだが…

「ん、私の名前はシズク。クレアと一緒に旅してた。主な心力は水。てなわけでよろしく。」

「えーっと、俺の名前はカイっす。中学まで野球やってたっす。語尾のすはくせなんでそこら辺把握よろしくっす。んで主な心力は雷っす。これから仲良くしてくれっす。」

 「え、私?私はユキナ。今までは普通の学生だったわ。強いて言ったら頭と運動は学年でも上の方だったくらいかしら。心力は氷よ。シズクさんの水とは似てるけど全然違う原理だからどっちも真似できないわ。てなわけでよろしくね。」

 そして俺ともう1人の茶髪ショートのやつの自己紹介以外が終わったわけなんだが…

「…おーい、なんで寝てんだー?起きろーお前の番だぞー?」

「ひ、ひゃい!」

 うん声でわかるこいつ小動物系ってやつだ。どっかの誰かが言ってたやつだ。間違いない。

「え、えっと。わたしの名前はサヤ…です。よ、よろしくです。心力は光…です。治癒が得意です。よろしくです。こ、こんな感じでいいですかね?」

「はいっす。ありがとうっす。」

 そんなこんなで俺以外の自己紹介が終わったわけなんだが…しゃあないやるか。

「あー、俺の名前はハジメ。なんか気付いたらここにいて入学させられた。そしてここにいるお前たちが使える心力ってやつは使えない。というか使ったことがない。だがその代わりにこの飛影と華月を使っている。では、これからよろしく頼む。」

「え、待って待って?あなた今心力使ってないって言った?」

「それ、俺も気になるっす。」

 …いや心力ってなんだよほんと。

「そもそも心力の存在をついさっき知ったばっかりなんだ。」

「ほへー。不思議なこともあるもんっすねぇー。」

「…でも、身体強化もしないであのスピードでしょ?しかもなんか手抜いてるように見えたし…」

 まぁ居合だしな。しかも刀抜いただけだし。

「いや、どんくらいの力なのか試そうとしたらズバって…」

「ふーん、まぁいいや。てか、時間…」

 みんなで時計に目を移すと、時計の針は既に夜の12時を示していた。

「えっ、やべぇっすよ。初日から遅刻とかありえないっすよ!?」

「ん、初日から怒られる。」

 そしてなんだかんだてんやわんやで準備を終えた俺たちは布団に倒れ込むように寝たのであった。
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