心霊探偵(仮)

めめ

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事件と出会い

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あおー!」


「おいきょう、でかい声で人の名前を呼ぶなよ…」

「ごめんごめん、それより見た?3年連続同じクラスだって!」


俺は七瀬 青ななせ あお今日から高校3年生。
こいつは3年目も同じクラスになった葉山 京はやま きょう、こいつはいつも騒がしいなぁ

俺は夜行性だから朝は嫌い、眠い。


京「青早く教室行くよ、いつもギリギリじゃんか」


青「おー、学校久しぶりで眠い…」

昨日はいつも以上にし…し…寝れんかったー


心の中で文句を言いながら京と2人で教室へ向かう。
時間がギリギリなため廊下に人はいない


京「…青昨日寝れなかったの?」

青「えっ、なんで?」

京「いや、目の下に隈あるよ?」

青「まじー?いや確かに寝れんかった」


京は唯一俺がことを知っている


京「大丈夫?わざわざ来なくてもよかったのにー」


こいつ俺をめっちゃ頼ってくるわりに甘い時はマジで甘い


京が俺の心配したり独り言いっている間に教室に着いた。
クラス替えっていってもあまり人は変わってない気がするな


京「ねぇねぇ青、学校終わったら本屋行かん?新刊多分出てるんだよね」

青「いいよ、帰り道だし俺も本みたいから」

学校終わりの予定を決めると京はニッコニコで前を向いて先生の話を聞き直した




~放課後~

京「青ー!帰るぞー!行くぞー!」

青「おー」



俺と京は学校を出て本屋まで歩く
本屋までの道には公園がたくさんある。


京「青見てあそこ、ゾウの滑り台の下」

青「え?」


京が言ったゾウの滑り台の下には確かにがいた

青「本当だ、女の子がいるな。行ってみるか」


俺は京にそう伝え女の子の方へ足を向けた
すると京が不思議そうな顔をして俺を呼び止めた


京「…待って?女の子?青には女の子に見えてるの?」

青「……は?…京、お前にはあの子、何に見えてるんだ?」

京「いや、何に見えてるも何も俺には女の子じゃなくてに見えてるよ」


俺と京、見えてるものが違うということは俺が見ているものは幽霊。京が見ているものが本物。


京「……」

青「……」

見えているものが違うと分かると俺も京も無言になる。どうしたらいいかわからないから。
京が見ている男の子も俺が見ている女の子も顔を隠している。
もしかしたら何かあって泣いているのかもしれない。
それを放っておくことはできないだろう。

青「…近寄ってみよう」

京「青!?何言ってるんだよ、ダメに決まってるだろ!?」

青「でもお前に見えている男の子は泣いてるかもしれないんだろ?お前はそれを放っておけるのか?」

京はまるで心が読まれたかのように体を揺らした

そして俺たちはどちらかわからないその子供に近づいた。



青「……ねぇ、君、大丈夫?」

京「ど、どこか痛い?迷子?」



『…………』


は無言のまま顔を上げた
そして迷うことなく俺の顔を見上げて…

『いたいの、たすけてくれる?』


多分この女の子の幽霊はまだ生きている人間の男の子に取り憑いている。
そのおかげでこの声は京にも聞こえたはずだ。

ただ、女の子の声と男の子の声、2つが混ざったような声で気分が悪くなりそうだ

青「…痛いって、転んだの?」

ビビって声も出せない京の代わりに俺が質問した。

『あのね、わたしころされそうになったの。』


京「…え?だ、だって君、もう…」

青「…!京!」

京「えっ…!?」

青「それ以上は…言わない方がいいかも…」


 「おー、よくわかってんねぇ」

 「見えてても空気読めないで言う人がほとんどだけどな」


俺と京が話していると後ろの方から声が聞こえた。
知らない人だ


青「あの、誰ですか?」


 「ええ?俺たちは…」


『そいつらよ!!!』


急な大声にみんなびっくりしている


『お兄ちゃん!そいつらがわたしをころそうとしたの!!たすけて!おねがい!』


青「……」


 「お前、見えてるなら分かるだろう。俺たちが何をしようとしてるか。」


青「……はい。」


 「じゃあ邪魔になるからさっさとどっかに行ってくれ。ガキがいると仕事ができない」


そういう系の仕事の人だろう。あまり見ない

まあでも邪魔になるのは本当にそうだろうから公園から出ようと京を連れて歩き始める



『……たすけてくれないの?…なんで、なんで…なんでたすけてくれないの!!!!!!!!』


女の子の叫びに振り向くと女の子が俺の方に突っ込んできた


京「青!危ない!!」


急すぎることで動くこともできない俺を京でもない誰かが引っ張って女の子から遠ざけてくれた。


引っ張る力が強すぎて俺は顔面から転んだ。
地面に擦って顔が痛い。
でも助かった。


 「…おい、手こずってんのか?」


俺を助けたのは金髪の180センチはありそうな大きな男だった。


 「違うよ氷室ひむろさん!この人たちが邪魔でまだ始められてないだけだよ!」


俺を助けたのは氷室という名の男らしい。


氷室「てかこれガキにガキ憑いてんだろ。めんどくせぇ。」


男はそういうと手にお札を持ち女の子(男の子)の頭を叩いた。

『ぎゃあぁああぁああぁぁっ…』


頭を叩かれると男の子と女の子が別々になって男の子がその場に倒れた。


氷室「大和やまと晴翔はるとどっちかガキ離れたとこに連れていけ、あまりは俺のとこ来い」


この人が一番偉い人なのだろうか。さっきまで文句言っていた人たちがテキパキと動き出す。


『…な…んで…なんでころすの…わたしなにもわるいことしてないじゃん!!!わたしだってここにかえってきたくなかったの!が…がかってに…』


こいつらには小さい頃から色々いたずらされたけど、この子は本当に何もしてなさそうに見える。
この子をここにつれてきたって…誰だろう。


氷室「おい、お前。」



誰か呼ばれてるぞ。
ってあれ?俺の方見てる…?


青「……えっ?俺?」


名前呼ばれてないから俺じゃないと思っちゃった。


氷室「…お前しかいないだろ。…まあいい、これからこいつを祓う。巻き込まれたくなけりゃその友達を連れて今すぐこの公園から出ることだな。」


青「祓う…?……あの、その子の話は聞いてあげないんですか?」


ってのも気になるし、連れてこられたってのも気になる。この子は悪くないような気がするんだけど。



あれ。なんだろう。
女の子の幽霊も女の子の幽霊の前に立っている2人も男の子を離れた場所に連れて行った人もみんな驚いた顔で俺の方を見ている。



大和「…氷室さん。こいつ…」

離れた場所にいた男が走って氷室という男のところへ言って話していた。


氷室「…おいガキ、お前…」


『ねぇ!!』


びっくりした女の子が一瞬で俺の前まで移動していた。
気づかなかった。


『わたしのこえ、きこえるの?』

青「…う、うん。聞こえるけど…」



『ほんと…ほんとに?ならわたしがわるいことしてないってわかるよね!』


青「ん…んー、悪いことしてないかは分からないけど君がここに来たくて来たわけじゃないってのは分かったよ。」


晴翔「ガキ、それはどういうことだ?」



あ、これ信じてもらえてないやつかな。
見える人がみんな聞こえてる訳じゃないんだ…


青「…いや、なんでもないです。」


氷室「お前、名前は」



だからお前じゃ分からんて視線だけで俺って理解すんの難しいわ


青「七瀬青です。」


氷室「そうか。じゃあ青、そいつはなんて言っていた?」


青「…っえ?えっと、ここに帰ってきたくなかったって。に連れてこられたって言ってました。」



これ言って信じてくれるのかな。

ただ、そんな心配はいらなかった。
俺が女の子の言ったことを伝えると3人は顔を見合わせて少し黙った。



晴翔「お前…青って言ったか?」

青「はい…そうですけど。」


晴翔「青、そいつが言ってたは誰なのか聞け」

青「わ…わかりました。」


俺は命令された通り女の子にとは誰か聞くために女の子の方を向き直す。


青「ねぇ、君をここに連れてきたって誰?」


『わからない。なまえも。かおも、こえも。いきてるいるかもしんでいるかも。なにもわからないの。』


青「…なにも、わからないの?」


『……おぼえてるのは……あ、おみみにがいこつがいっぱいついてた。』


耳に骸骨…?ピアスのことかな。


青「…あの、耳に骸骨がいっぱいついてたのしか覚えていないらしいです。それ以外は何も…」


氷室「いや十分だ。」

男たちはすべてわかったようにため息をついたりしゃがみ込んだりしていた


『ね、ねぇ、わたしずっとここにいなきゃいけないの…?』


青「あ、あの、この子がずっとここにいなきゃいけないのか聞いてます。」


ボソッと後ろから聞こえた女の子の声を伝えた


氷室「おいガキよく聞け」

急な大きい声に女の子はビクッと反応して顔を上げた


氷室「お祓いをしてお前を元の場所に返すこともできる。だが、お祓いが終わるまで…いや、元の場所に帰るまで、お前の体に負担がかかる。その負担に耐えられなきゃお前はここにいることも元の場所に帰ることもできなくなる。まあ簡単に言えば消滅するってことだ。」


消滅したくないならここに残る。
元の場所に帰るけど消滅する可能性がある。
難しい2択だな。


『………かえる…しょうめつ…はいやだけど、でもかえりたい。がまんする。がんばる。』


女の子の気持ちを伝えようと喋ろうとするが男は分かっていたかのように俺をじっと見ていた。
俺は喋らずに頷く。

氷室「お前ら準備しろ」


俺が頷くと3人は準備を始めた。
この女の子の幽霊は今まで会ったどの幽霊よりもいい子な気がする。
この人たちも俺が聞こえることを信じてくれた

俺がそんなことを思っているとお祓いの準備が整っていて女の子の頭にお札を当て、目を瞑った。
数十秒経つと女の子の体が徐々に光の粒になり空へと上がって行った。


青「きれー。」


女の子がつぶになって空に上がるのを見て俺からその言葉だけ出てきた。



光の粒が完全に空に上がりなくなると男たちは片付けをし始める。
片付けっていってもお札片付けるくらい。

短い片付けが終わると男たちは俺の方に向かって歩いてくる。


大和「悪かったなー巻き込んで」

晴翔「一応助かった」

1人は巻き込んだことに謝り、1人は助かったと言っている。もう1人は…考え込んでいる…?


氷室「お前…七瀬青」

青「はい?」


氷室「俺らのとこで働け。」


大和・晴翔「「氷室さん!?」」


スカウトされた俺の一番大嫌いなやつと多く関わる仕事に


青「あー…俺まだ高校生なので、すみません」


氷室「いや別に正社員とかじゃなくてもいいバイトとして入れ。バイト代は出す」


青「いや、あの俺は…」

氷室「お祓いは、」


俺の言葉にかぶさるように言ってきた


青「え?」


氷室「きれいだったろ?」



俺は頷いてしまった。


氷室「俺は氷室 洸ひむろ こう

大和「俺は柊 大和ひいらぎ やまと、よろしくー!」

晴翔「一条 晴翔いちじょう はると


青「…七瀬青…です。よろしくお願いします…」


氷室「おー、よろしくな青」




この事件からいつも以上に幽霊と関わることが増えていく。
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