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第10話 誘因
しおりを挟む―生還
その朝は特に冷え込む。だが、目の前にはもう二人の帰る故郷が見えていた。通常なら徒歩で三カ月はかかると言われる距離をわずか一カ月弱で歩き抜いた狐虎の体力はとっくに限界を超え、僅かに残る気力のみで前進している。
指に力は入らず、ナージャを背負う両腕は布で固定している。足の感覚もかなり前から消えている。恐らくどちらも無事では済まないだろう。だが狐虎はそれよりもナージャの病気を治す事をずっと考えていた。
(結局またポーションは強奪や売りに出されてないかもしれない・・・)
それは、最悪の結末。だが、旧市街地は大きい、もしかするとしっかり探し出せばポーションを譲ってくれる人もいるかもしれない。仮にその際、莫大な金額を要求されても狐虎はそれに応じるつもりでいた。それが無理にならば・・・最悪もう一度黄金の宮殿の方で誰かに頼るしかない。
だが、それは一歩間違えばその場でなぶり殺しにされ無意味に死ぬことを意味している。狐虎は前に街の兵士達にひどく痛めつけられた過去を思い出す。
(クソ・・・俺にもっと力があれば)
他の異世界人のように有効なスキルを持っていれば、ナージャを守れるだけの力があれば・・・何度も何度も考えずにはいられないその願望が狐虎の頭を駆け巡る。
「ココ・・・・」
「うん、もうすぐ着く。着いたらすぐプランタンさんに・・・」
「ココ・・・お願い、着いたらまっすぐ私の家に向ってほしいの」
「えっ?・・・・でも」
「お願い・・・ココ」
ナージャは微かに狐虎の体に力を込める。治療自体は何処でも出来るが、急患となればやはりグラス家に運び込むのが一番だ。だが、ナージャが自分の家に帰りたいと言うならそれに従う他無かった。
「・・・分かった、でもすぐにプランタンさんを呼びに行くから」
「うん・・・ありがと」
そして狐虎達はついに旧市街地へ戻ってきた。時間は昼を越えようとしていた。
「おおおお!!!」
「ああ、ナージャ・・・」
狐虎達を知るものはその生還に様々な反応を示した。無事に帰ってきた事を喜ぶ者、その姿を見て嘆く者、何の反応を示さない者・・・だが今の狐虎にそれを見ている余裕など無く、とにかくまっすぐよろず屋へと足を運ぶ。
そして、よろず屋の前に到着し、その扉を開いた。
「・・・・そ、そんなまさか・・・・」
変わり果てた娘を見たよろず屋の親父は信じられない!とでも言いたげにそう呟き、驚愕した。ぬいぐるみを持った妹も同じく目を大きく見開き、ボロボロに弱りきっている姉の姿を見つめていた。
「親父さん・・・ナージャを連れて帰りました」
「すぐに・・・ベッドに・・・俺はプランタンさんを」
そう言い変え、狐虎もついにその場に崩れ落ちる。
「そ・・・そんな馬鹿な・・・そんな事が・・・・・・」
親父はそれを見ても混乱したまま頭を抱えて動かずにいた。その時、妹が当然家の外へと駆け出す。しばらく狐虎達は冷たい床の放置されるが、ものの数分もしないうちに慌ててプランタン一家がよろず屋に駆け込んできた。妹がグラス家に助けを呼び行ったのだ。
「ココ君!!!!!」
「ココ・・・!」
「ココお兄ちゃん!!!」
その慌ただしさにようやく親父も我に返る。
「いや・・・これは・・・プランタンさん・・・違うんだ」
「は・・・?一体何を言っているのです!!?早くココ君とナージャをベッドに運びましょう!!!」
「は、ああ・・・そうだ、すみません、取り乱してしまって」
そして、狐虎達はようやくベッドに運ばれ温かいベッドの上に眠らされた。だが、その安らかな表情とは裏腹にプランタンやソレルの顔つきは険しくなっていく・・・。
「ココ君の体の損傷がかなり酷い、右指の数本、両足も何本かはもうダメかもしれない・・・」
ココの診察をしているプランタンが黒く壊死した狐虎の指先を見て力なく呟く。
「ナージャ・・・ああ、神はなんて酷い仕打ちのするの・・・・」
ナージャの方を見ていたソレルも涙を流しながら己でも良く知るその症状に声を震わせていた。
「・・・残念だが、我々の力では・・・・・」
狐虎の容態に関しては辛うじて従来の薬草が効く程度、だがナージャの方は施しようも無く、安らかに眠らせるでしか処方の仕様が無かった。
・・・・・
―その夜
狐虎は久しぶりに夢を見ていた。
それは元の世界に戻り、マタギとして生きている自分だった。木こりの仕事の傍ら、猟友会に所属、要請が来て皆で無線でやり取りしている。なんとも男臭い夢だが、狐虎には何故かそれが心地よく感じた。猟師として対等に扱われている自分、高齢の先輩達、よく躾られた猟犬。けして稼ぎは良く無いだろう。だが、それでも夢の中の自分は今以上に輝いている様に見えた。
「・・・お、お父さん・・・いやっ・・・やめっ」
夢を終わらせたのは隣で寝ているナージャの呻き声だった。狐虎はまた別の夢の続きを見ているのか、とぼんやりしていたが、ナージャの上に跨る黒い影に無我夢中で飛び込み、それと一緒に床に転げ落ちた痛みでようやくそれが夢で無い事に気づく。
「・・・ゴホッ・・・・ゴホゴホッ・・・・」
咽るナージャ、その慌ただしさによろず屋に泊まっていたプランタン達も灯を持って様子を見に来ていた。
「お、親父さん・・・一体何を・・・・・」
朦朧とする意識の中、ナージャの首を絞めようとした犯人の顔を見て狐虎は口が震える。
「ウィードさん・・・これは一体・・・?」
「ち、違う!これは違うんだ・・・私は、私はナージャの具合が気になって・・・それで・・・・」
親父の顔が見る見るうちに青ざめ、焦りによる汗が噴き出している。目も視点が定まらず、なんとかこの場から逃れようと必死に言い訳を考えているようにも見えた。
「・・・いいよ、お父さん・・・」
咳が落ちついたナージャが静かに言う。
「私を売ったんでしょう?」
「「「・・・・・・!!!?」」」
・・・衝撃的な発言だった。全員が信じられないという表情で親父の答えを待つ。
「す、すまない・・・ナージャ・・・だが、仕方、仕方なかったんだぁ」
「なんて事を・・・・」
「突然店の仕入れの値が・・・上っていて・・・払えないなら娘たちを・・・・それで・・・・どちらか選べと言われ・・・」
「それでナージャを・・・どうして・・・・」
狐虎は全身から火が噴くような感覚に、心の底からの怒りが沸き起こる衝動で目の前にいる親父の首に手をかけていた。
「それが・・・娘に対してする事なのか?ナージャがどんな思いでこんな事になったのか・・・アンタには分かっているのか!!」
「いいよ・・・ココ、もうやめて」
「ナージャ!!」
「私が悪いの・・・弱い私が・・・強かったらこんな風にならなかった」
「それは俺もだ!!!俺が強ければナージャをこんな風には・・・」
ナージャは静かに首を振る・・・。
そして少し頬を緩ませながら言った。
「じゃあ、運が悪かったんだよね・・・私は・・・生まれて・・・こなきゃ・・・・」
ナージャは声を詰まらせ、静かに涙を流す。
それを見て狐虎は大声で親父に叫んだ。
「ポーション、あるんだろ?支給されたはずだ」
それに対し親父は必死に首を横に振る。
「ない・・・ポーションはない」
「無い訳ないだろ!!!まさかまた強奪されたのか!?」
「ち、違う・・・本当にないんだ・・・本当だ」
「そんな言い訳が許されると」
「ココ君・・・ポーションは無い・・・残念ながら」
親父を詰め寄る狐虎に対し、プランタンが悔しそうに俯く。
「なんで・・・なんでなんですか?街はこれだけ広いんだ、一本ぐらい絶対残っているはずでしょう?探しもしないで無いなんて・・・」
「本当に無いのよ・・・ココ」
「ソレルさん・・・」
狐虎には二人の言っている事が理解できない。探せば何処かに必ずある、それを信じてここまでやってきたのだ。
「確かにポーションは支給されたよ、つい三日前の事だ」
「じゃあ!!!」
プランタンは力なく首を横に振る。
「伯爵様が・・・その全てを没収してしまったんだ・・・」
狐虎はそれを聞いて頭が真っ白になる。
(・・・・なんだよそれは)
「一体何故そんな事をしたのかは分からない、だが、兵士達が一斉に支給された後に毒物が入っている危険性があるからと・・・」
「な、なんだよ・・・なんで毒なんか」
狐虎は傷だらけの足の激痛などお構いなしにその場から立ち上がった。
「ココ君!!!」
「俺、今から黄金の宮殿に行きますよ、そこにあるんでしょ・・・ポーションは・・・!!」
「やめてココ!!!今度こそ本当に殺されちゃうわ!!!」
「殺されるから諦めろって言うんですか?」
「ココ・・・・」
「ポーションがあればナージャは助かる!!そうですよねプランタンさん!!!」
「ああ・・・助かる」
「じゃあなんとかして」
「もういいよ・・・ココ」
ナージャは静かに窓の外の月を見ていた。それは窓を覆い尽くす程の巨大な月、だが何故かそこに照らされるナージャの顔は・・・朧気で今にも消え去りそうにも見える。
「いいわけ・・・ないだろう・・・・」
朧げに見えたのは自分の顔が涙でぐちゃぐちゃになっていたからだった。
「頼むから!!!頼むからポーションをくれよ!!!!」
「ポーションを!!!頼むからさぁ!!!!」
狐虎の悲痛な叫びにも似た訴えに、誰もが返す言葉も無く佇んでいる。
「ココ」
ナージャがゆっくりと狐虎の名前を呼ぶ。
狐虎は静かにナージャの傍に寄り添う。
「お願いがあるの、これ・・・貰ってくれる?」
それはナージャの首にかけられた淡い翡翠のペンダントだった。
「これは、君の大事なものじゃないか」
「だからこそだよ・・・私の魔力が込められた・・・ココに貰ってほしいの」
思わず「嫌だ!!!」と叫びたかった。
これでもう最後みたいな言い方などしないで欲しかった。
だが、ナージャは自分でそのペンダントを外し、狐虎の首にゆっくりと付けた。
「あとね、明日まで横で私の手・・・握ってくれる?」
「・・・・ああ、ずっと握っている」
「・・・よかった」
ナージャはそれを聞いて安心したのか、ゆっくりと目を閉じ、静かに寝息を立てた。狐虎はただ黙ってナージャを見つめている。赤く腫らした目の涙を拭い、明日、すぐにでもポーションを探しに行くと決意していた。
だが、圧し掛かってくる疲労の波は狐虎の意識を完全に遮断させていく・・・。
そして長い夜が明け、美しい朝日が窓辺に差し込んだ時。ナージャ・ウィードは安らかに天に旅立った。
享年17
痛ましくも細く白いその手は冷たくなりながらもしっかりと狐虎の手を繋いでいたと言う・・・・。
その時、狐虎に中に襲ったのは完全なる『無』であった。
そして、ナージャから授かった翡翠のペンダントはそれを象徴するような灰色へと変化していた・・・・。
―完全回復薬
ナージャが空へと旅立ってから数日後、黄金の宮殿周辺は重々しい空気に見舞われる。旧市街を含めた広大な敷地が延べ数千からなる謎の軍団により包囲されたのである。だがしかし、それは敵軍では無く、同国シルファルファ王国の国旗が掲げられており、それを指揮するはかの国の筆頭貴族であるアルバート・フォン・ターゲス公爵の第一公子であるアステラ・フォン・ターゲス卿その人であった。公が起こしたアステラ騎士団は通称『ポーション騎士団』とも呼ばれており、貴重なポーションを支給する傍らで、それを強奪する不届き者や、闇売人などを取り締まる治安維持も兼ねていた。
「わざわざこんな大事にする程の事だったのかな?」
アステラ公子、旧名金子菊人。その容姿は海のように美しき青き髪に輝くマリンブルーの瞳を持つ美少年である。そんな気弱なアステラは白馬の馬上から不安げに側近であるルーミア副騎士団長に耳打ちする。
「プルト卿がなぜこのような暴挙に及んだかのは知りませんが、最近では聖教国が裏で小細工をしているとの噂もあります故、油断は禁物かと」
ルーミア・フォン・ランティス。彼女も格式高い侯爵家の出でありながら幼きアステラ公子の教育指南役、そして現在ではアステラ騎士団の副団長としてその地位を揺るぎないものにしている実力派である。年齢は40とも言われ初老ではあるが、幾年経っても歳を取らない事でも有名である。漆黒の髪に漆黒の瞳を宿す美しき容姿は、誰が見ても20の後半ぐらいにしか見えなかった。
「聖教国・・・プロトリス聖教国か」
「坊ちゃまにとっては、宿敵となる相手ですね」
「その坊ちゃまって・・・まだ11歳だけどさ」
「坊ちゃまが転生者であろうがなかろうが坊ちゃまは坊ちゃまです。ですが、その坊ちゃまによってどれ程の多くの民が救われたのかはいざ知らず・・・ですが、全ての者がその功績をよく思う訳ではございません」
「それは分かっている・・・だけどやっぱり出来るなら争い事は避けたいなとは思っているよ」
「・・・世の中が坊ちゃまのような人ばかりになれば、争いなど無縁の世の中になりましょう」
「ハハハ・・・それは少し言いすぎ・・・かな?」
弱腰の指揮官とは逆にポーション騎士団の士気は高揚としていた。元を辿れば、この騎士団はたった一つのポーションから始まったとされている。その効力が一体どれほどの人間を救ったかは計り知れない。そして、その活動を守るべく結成されたのがこのポーション騎士団であり、その剣となる者、即ちルーミア・フォン・ランティスを筆頭に、ポーションで世界を救わんとするアステラ公子のカリスマ性の元、今や飛ぶ鳥を落とす勢いでその勢力を拡大しつつあるとされている。
そんな騎士団に包囲された黄金の宮殿の取った行動は、あっけないまでの無血開城であった。元々クリストフ・プルト伯爵の悪評はアステラの耳にも聞き及んでいたが、まさか無血で城を明け渡すまでとは思わず、争いも辞さない覚悟で進軍してきた騎士団は拍子抜けした形となった。
「坊ちゃま、プルト卿は早々に財産を固めて逃亡したようです」
「ハッ!絵にかいたような立派なご貴族様でなすった」
「チャベス!口の利き方に気を付けよ!!」
「はっ、これはルーミア卿、失礼御座いました」
「いや、この隊の軍門に下る者に上下は無い、そう決めたのは僕だ」
「で、ですが・・・」
「まぁ、俺はアステラの旦那だけはまともな貴族だと信じているぜ?」
チャベス・コールマン。見た目は無骨の傭兵そのものと言った風貌であり、騎士に似つかわしくない。平民の出でありながら騎士団に所属出来たのにはそれなりの腕があっての事である。元々アステラのポーションで瀕死の重傷から救われた経緯もあり、彼には敬意を払っているがその他は認めていない。
「アステラ様、ルーミア様!立った今倉庫より先日支給されたばかりのポーションが保管されておりました、報告にあった毒物ですが、今の所検出されておりません!!!」
「そうですか、ご苦労ですリュナー」
「はっ!!!」
「・・・一体貧困街からポーションを取り上げて、プルト卿は何がしたかったんだろうか?」
「それもプルト卿さえ押さえる事が出来れば嫌でも口を割らせて見せましょう」
「こ、怖いなルーミア・・・」
「大方、聖教国から忠言でもされたんだろうよ、『このままではお前の地位も危うい』なんて、な」
「聖教国には異世界人も居ると言うし・・・あまり同郷とは戦いたくないな」
「そりゃ無理ってもんだぜ旦那。聖教国が許せねぇのは旦那ってよりそのポーションの存在だ。あいつ等は何千年も神の奇跡などぬかして大勢の民草を騙していたんだ。今さらそれがひっくり返るような真似は許されねぇって事だろう?」
「口は悪いですが確かにチャベスの言う通りです。坊ちゃんがポーションを作り続ける以上避けては通れない敵でしょう」
「うん・・・僕はただ世界中の人々を幸せにしたいだけなんだけどな」
それが簡単で無い事はアステラ自身も分かっているつもりである。しかし、彼に与えれられたユニークスキル『神薬生成』を土産として授かった者として、その使命を果たさずにはいられなかった。
そして、ポーション騎士団が黄金の宮殿を解放、事実上の支配下に置いて数日後。旧市街地の方へ没収されたポーションが再び支給される。
「しっかし、酷い有様だな。まるでスラムじゃないか」
「うん、しっかり区画整備をして、ここの人達にもしっかりと市民権を与えないと・・・」
アステラ公は黄金の宮殿はおろか旧市街地の人間からも大歓迎された。
「おお、貴方があの・・・感謝しておりますアステラ様」
道行く人々の多くが彼を祝福する中、アステラの目にまるで浮浪者のようにピクリとも動かず俯いている青年を発見する。髪は顔が完全に隠れる程に伸びきっており、その左手は負傷したのか義手のような物が施されていた。手足も所々大きく負傷しており、今にも治療が必要に見えたからだ。
「あの・・・すみません」
「・・・・・・・・・」
アステラが声をかけても彼は無反応だった。
「おい!卑しき身分のくせに失礼だぞ!この方を何方と・・・」
「リュナー!そう言うのは良いから」
「はっ!!!」
「あの、これ完全回復薬です。今まで何度か強奪なんかあったみたいだけど、これからは僕たちがこの街を守りますから、どうぞこれでお体を全快させてください」
アステラは徐に青年の前にポーションを置いた。
その時、青年が目を大きく見開き、置かれたポーションを見ている事に気づく。だが、その目に込められた思いまで察し図る事は出来ず、笑顔で返事を待った。
「う・・・うぅぅぅぅ・・・・・・・・」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
それは突然の嗚咽だった。
青年は地獄の底から湧き出るような声で嗚咽を漏らしたのだ。
「あ、あの・・・・」
「なんだこいつは、そんなにポーションが欲しかったのか?全くそれなら最初から愛想よくすればいいものを・・・・」
リュナーは見下すように青年に悪態を付く。だが、アステラは彼の異常をきたす行動に理解が及ばず、だが、それはけして感謝を乞うているものでは無い事だけは理解していた。
(一体この青年に何が・・・・)
だが、当人に聞く状況でも無いのでとりあえずその場は後にする。後々察して見れば、おそらくそのポーションが跡の祭りだったのかもしれないと気づく。そして、それは的を得ていた事がプランタンという男性の助言で分かった。
「・・・そうですか、そんな事が・・・・」
アステラは助けられた命を救えなかった事に心を痛める。
「坊ちゃん、今はまだ肩を落とす時ではありませんよ」
「そうだぜ、旦那。旦那はもっと大勢の人を救う、そうだろ?」
「うん・・・」
(そうだ、こんな所で落ち込んでいる場合じゃないんだ!)
アステラは自分の頬を両手で叩き、そして真っすぐ貧困街を見渡した。
「僕はポーションで必ずこの世界を平和にしてみせる」
こうして、アステラ公の支配下に置かれた黄金の宮殿、及び旧市街地は統合され、その名も『南の都』と改められた。治安も著しく向上し、かつて民を甚振って止まない軍から民を守る軍として人々から頼りにされ、街は徐々に平和になりつつあろうとしていた・・・。
だが、そんな街並みを見下ろす場所、狐虎とナージャが最後にたどり着いた崖の上に、手作りで作ったであろう、小さな墓が立てられていた。
ナージャ・ウィード
―勇敢なる美しき魔法使い、ここに眠る―
狐虎は右手に完全回復薬《フル・ポーション》を持ち、そして、それを静かに墓にかけていく。最早その顔に表情は無い。だが、その目に溢れる悔しさは静かに一つ一つ、染みるように墓へと落ちていった。
それは、狐虎の中で誘因する一つの切欠となる・・・・。
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