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姫路と東坂

姫路(ひめじ) 若菜(わかな) 身長171cm B77 W54 H83 Bカップ 後編

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 流れた動画案の定、伊織が男に犯される動画でした。
 催眠にかかっているため、涙を流すことすらできない私は黙ってそれを見続けます。
 やがて、終わりのテロップが流れ始めました。

「……これで終わりですね」

 心が痛い。これは私の選んだ道です。
 ですが、覚悟していたとはいえ精神的に来るものがあります。
 それも、今ので終わりと考えると少し楽になります。
 これから先、二度と伊織と会うことはないでしょう。
 道をたがえてしまったら二度と会えない。普通はそうです。

「若菜……それが答えね?」
「伊織……どうして」

 性教育教室のドアが音を立てて開きました。
 そこには、制服姿の伊織がいます。
 こっちに歩いてきます……

「こないで!!」
「……」
「どうせ見てたんでしょう? 私はあなたを見捨てようとして……見捨てたんです! 自分の夢のために……」
「若菜」
「だから、だから!!」
「うるさいよ。私だって手段は択ばないって決めたんだから」

 伊織はそういって、強引に私の唇を奪いました。
 いつもサキュバス様に捧げるものとは違い、ひどく甘美な味がします。
 甘い味に流されてしまいそうになりましたがそういうわけにはいきません。
 私は伊織の両肩を掴んで、キスを強引に放します。

「やめてください! こんな……哀れみみたいなものは」
「違うわよ。これが私の気持ち。私はどんな手段を使ってもあなたを私のものにする」
「伊織?」

 そこまで言われて、ようやく気付きました。
 伊織の様子がおかしいです。いえ、いつも少しおかしいところはあるのです。
 だけど、これは催眠術にかかっているだけじゃ……

「ねぇ、若菜。サキュバス様の催眠術って不完全だと思わない?」
「突然ですね。いいえ、そう思いませんが」
「だって、抵抗しようと思えば抵抗できるのよ。そんなの私たちの学園に必要あるかしら?」
「伊織? どうしたのですか? サキュバス様を疑うなんてあなたらしく……」
「必要なのは絶対的な意思決定。抵抗なんてさせない絶対服従の催眠術……いいえ、洗脳と言うのが正しいかしら」

 まずいと思いました。伊織は私のことを見ているはずなのに見ていない。どこか遠くを見ている気がします。
 こういう時は愛水をかけて、いつも通り性行為して正気に戻しましょう。
 だから、私はサキュバス様の愛水が入った水鉄砲を若菜に向けたその時でした。

「やってみる?」

 そういって、伊織は距離をとって手を大きく広げます。
 何かがおかしい。そもそもあんな動画を撮っている時点で伊織は壊れてしまったのでしょうか?
 気づけば私の頬に涙が一筋の線を描いて地面に落ちます。
 
(もう、戻れないかもしれないけれども……私の気持ちは変わることはありません)

 狙いを定めて私は引き金を引きました。
 ゆったりと愛水は伊織の顔に命中しました。

「……ふふ、その程度じゃやっぱりもう駄目ね。だって、慣れっちゃったもの」
「えっ」

 言葉を失います。
 愛水はサキュバス様から授けられた私たちを発情するものです。
 常用性があり、一度これにはまると抜け出すことができない代物を伊織は慣れてしまった?
 まだ、人が作ったものなら理解できます。でもこれは……サキュバス様が

「はいっ、若菜。お返しよ」

 パンッ!と教室内に銃声が響きます。伊織の手元には私の水鉄砲がおもちゃに見えるような黒く光るまるで本物が握られています。
 だけど、打った方向は全く別で、地面に向けて―――

「んっ!? んぅぅぅ!!」

 身体が勝手に反応してイッたという感覚だけが突き抜けました。
 心臓の鼓動がやけに早く聞こえる中で、どうにか立っていられるのがやっとです。

「ん、んぅ。すごいでしょ。これは発情なんてもの無くして絶頂の体験だけを与える銃よ」
「そ、んな」
「だから、若菜。一緒になりましょう? 愛水なんていらないでしょ? これさえあればイキ放題よ?」

 笑顔で問いかける伊織に恐怖を覚えました。
 そんなことを言う人ではないです。彼女のことをよく知りません。
 でも、恋をしたからわかります。絶頂の体験だけが必要なんてことはありません。
 ……だから、私はなけなしの力を振り絞って伊織に近づきます。
 一歩一歩が重く、全身に重りが付いているようです。手を伸ばせば届きそうな距離なのに遠いです。

「若菜、それ以上歩かないで」
「は、い」

 銃を向けられ。私の口が勝手に動きます。これもあの銃の効果でしょうか?
 でも、私の体はゆっくりと動きます。
 やがて、銃口が額に当たりますがそんなこと気にしません。

「若菜。残念よ」
「奇遇ですね。私もですよ。伊織」

 伊織は容赦なく引き金を引きました。
 私は全身が自分のものではない快楽に襲われながらも最後まで目的を達しようと動きました。
 現実は残酷でそれを成す前に力なく地面に倒れてしまいます。
 
(もう一度……本当の、キスが……)

 したかった。一度捨てて都合いいように聞こえますがそれが私の本心です。
  
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