死神の館の主様

XX GURIMU

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決断

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 アリスに話を聞いてみると弱っている魂の中になら入ることができる。
 本来の体の持ち主からすれば死にかける状態から復活することができるため悪い提案ではない。
 誰かを犠牲にするわけではない方法にアリかもしれないと感じる。
「ただし、この方法には1つだけ問題があります」
「なに?」
「その身体の持ち主が死んでしまうとこちら側も死んでしまうのです」
 なるほど、そういうことか。
 肉体を持たない神が死んでしまう。
 死んだことのないものにとって死は恐怖である。
 だからこそ、一から調整できる赤ちゃんの方法を提案したのだろう。
 もっとも、あっちの方は肉体を捨てることができそうだけど……。
(……もう、元の体には戻れないか)
 一瞬、そのことが頭によぎった。
 家族が心配だ。
 通り魔に刺されて死んでしまい、ろくに別れを言う事も出来なかった。
 今頃どうしているのだろうか、気になってしまう。
 別の体で会いに行ってもわかってくれないだろう。
(ここが、分かれ道だったのかもしれない)
 余計な未練は捨ててしまった方がいい。
 過ぎ去った過去は戻らない。
 家族を忘れるわけではない。ただ……無事を祈る。
 そして、僕が死んでしまった原因。
 それが家族に降りかからないように……僕は別の魂に入ることを決める。
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