死神の館の主様

力こそ……。

　力は問題なく発揮されて、指定した場所まで移動する。
　ぬいぐるみの体は動かすことができないからそのまま倒れてしまうけど、移動はできた。
（やった……ん、これならアレも使えるんじゃないか？）
　ブラックパペット。
　相手の頭に右手を置くことが条件だけど、いける気がする。
　ぬいぐるみが頭の上に移動するのは違和感はすごいけど、すぐに発動すればこっちのものだ。
　操られる本人にはどうしようもできない。そして、他の人から見れば頭ののっけているぬいぐるみなんてファッションに過ぎない。
　誰にも気づかれることなく、誰かを支配する。
　それが可能だ。
　一瞬だけ、よからぬ想像をしてしまう。
　僕だって男だ。女性を支配することができるとなると妄想だってする。
　好きな女のことだっていた。今はもう会えないけど、この力を使えばいずれは会うことだってできる。
（すべて、僕が手に入れていい……。その力は僕に……）
　そこまで考えた時だった。
「あれ？　千坂ちゃんのストラップはずれているよ」
「ほんとだ」
　見つかった。
　いや、見つかったこと自体は問題ない。
　いっそのこと。２人ともブラックパペットで支配すればいいだけだ。
　影移動。影操作。ブラックパペット。
　この三つがあれば、僕はこの世界を支配することができる。