死神の館の主様

力とは

　知らず知らずのうちに僕は力に溺れていたという事実に…………情けなくなった。
　アリスが止めてくれなかったら、今頃どうなっていたのか想像するのは簡単で、現実味がありすぎた。
「アリス。次からも僕が暴走していたら、止めてほしい」
「再度、承諾いたしました」
　これでよし。
「それにしても……部屋がめちゃくちゃになったな」
「あ、それが理由です」
「えっ？」
　一瞬、アリスが何を言っているのかわからなくなる。
「私が屋敷の中で待たなかったのは。千坂さんと遊ぶとこのように、部屋がめちゃくちゃになるからです」
「アリスも遊んだんだ」
「はい。だいたい１時間ほど前ですかね」
「ん？」
　１時間前？　
　なんだか引っかかる。
　確か、僕がこちら側に来る前に千坂と一緒にあちら側で襲撃を受けていた。
　それなのに、こっち側でアリスと遊んでいたってことは……。
「アリス。魂の一部って、それぞれが別に存在しているってことでいいの？」
「……ちょっと違いますね。正確には元々１つだったものが２つになったという考え方が正しいです」
「あ、それもそうか」
　言われてみるとその通り。矛盾はない。
　いや……でも、それだとすると一つ重大なことがある。
「千坂って……力が使えるの？」