死神の館の主様

準備完了

　影移動ですぐに体育館まで移動した。
　倉庫にあるバスケットボールなどを揃えようとするも鍵がかかっている。
　ブラックホールを使い、無理やりねじ切って中を見ると棚は所狭しと並んでいる。
　ここまでは予定通り。だけど、１つだけ期待していることがあるため手ごろなのを選んで硬さを確認する。
　ぐにっ。
　球体がゆがんだ。正確には中の空気はそれほど入っていない。
　できるだけ空気が入っていてほしかったが、そこは期待通りではなかった。
　とりあえず、大慌てでバスケットボールを体育館に転がす。
　ある程度の準備は出来た。あとはうまくいくように祈るだけだ。
　僕は壇上で座り、優奈が来るのを待った。

「ここですか～。諦めが悪いですね～」
　優雅に、いやはた迷惑にも体育館のドアを切り裂いて優奈は現れた。
　傍にはあいつはいない。一人だけだ。
「あら？　罠ですか～。どういうものか気になりますね～」
　そう言いながらも警戒心なく、転がるバスケットボールをどかしながらこっちに歩いてくる。
　バスケットボールには何の細工もしていない。ただ転がさせているだけだ。
　そして、今のこの状況はよくない。
　相手の相棒が姿を見せていない以上、奥の手を使うわけにはいかない。
　どうにかして引っ張り出さなければ。