死神の館の主様

青の力と黒の力

（影移動……発動！）
　僕は優奈の後ろへと力を使って移動する。
　手を伸ばせば、ブラックパペットを使える距離。
　あえて、僕は後ろへと飛んだ。
「またそれですか～。サンヴァイン」
　案の定。優奈は力を使った。
　なかなか終わらない戦いにイラついているみたいだ。
　だけど……もう終わる。
（青の力……ペガサス、発動！）
　僕は千坂に借りた力を使った。
　両足に青い炎が灯り、体が軽い。
　一歩、前に踏み出すだけで優奈との距離が０距離になるまで近づいた。
「なっ……サンヴァ」
「させないよ！」
　優奈を抱きしめる。
　正確には頭の後ろに腕を回し、顔を近づけさせる。
　思いっきり力を込めて、僕の顔を押し込んだ。
「んっ、んん～～！？」
　キスをした。
　観察して確信が持てたこと。それは優奈たちは言葉にしないと力を使うことができない。
　それなら、その言葉を口にする前に塞いでしまえばいい。
　簡単な話だった。
　そして、この距離なら僕の方が有利になる。
「お前……優奈から離れろ」
　叫んで構えるがもう遅い。
　僕は最後となる力を使う。
（ブラックパペット……発動！）
　右手から黒い霧が現れて、僕たちを覆っていく。
　姿が見えなくなる効果もあり、相手は迂闊に手が出させなくなる。
　僕の勝ちだ……と言いたいが、限界だった。