暗闇の中で

みかん

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そして僕は全てを聞いた。
この国で何があったのか、僕がここに来た経緯も全部、唯一の生き残りが僕だけなのも。全部全部聞いた。胸が苦しい
僕が今生きていられるのは、今があるのは親からの深い愛情があったから.....
おじさんの話を聞いて死の狭間で僕を必死に生かそうとした母の思いが心を締め付けられるくらい伝わってきた。苦しい。
さっきまで僕が大好きだったあの城下町でさえ、
この国が今では憎い。

「伝えるのが本当に遅くなってしまった。本当にすまない。」おじさんはそう言った
いつもなら明るいこの空間も、今は暗闇が覆い被さっているようだった。

寝室のドアが開きおばさんがでてくる
「身体中傷だらけだったけどもう手当もしてだいぶ落ち着いてきたよ」
僕はほっと息をついた
「すべてをきいたのかい?」おばさんに問われる
「うん。」僕はそう返した
おばさんはゆっくりと僕に近づき、ただただ抱きしめていた。
「僕は、あの子の様子をみてくるよ」悲しい顔を見せたくなかった、だからできる限り頑張って笑顔でそう言った。

寝室のドアを開くとあの子は寝ていた、さっきよりは表情がいい。
「良かった....」声が零れた。
暫くこの子の近くに座っていた
「やめ、、て、、ごめんな、、さい、、。」
苦しい表情でそう言っている。
体全身に力が入る。この国はどうなっている、昨日まで何も知らずに生きてきた。
なんにもしらずに。
僕はこの国を許さない。
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