最下位の最上者

竹中雅

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第三章

先生

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次の日からも教室内は特に居心地が悪い。
俺を囲みながら刺すのは、クラス生徒の凍てつく目線。
異端者を排除するべく一丸となって沈黙の中で攻撃するように。
もちろん樫谷や藍水は後ろの席には着いていないことから俺たちのチームに向けた視線では無い。俺一人に向けてだ。
時間が経れば意図的な悪意の籠もった目は少なくなるだろう。他へと意識は薄れ、俺が視界に入った際のみ攻撃対象に変わるわけだ。
それがいつかはわからない。
「何か方法、見つかった?」
「残念ながら。今日も先生に交渉しに行こうと思う」
俺が誰にどう弁明しても信じてくれる人は居らず詭弁と変わるだけ。評価はどん底。
証拠が揃っているのは相手の方だ。
少なくとも三人の退学交渉のため先生のもとへ訪ねるが、現状況を打破する希望は一縷さえない。
「失礼します」
「...また君か...今関わっている時間もないんだ。帰ってくるかい?」
「そのことですが...藤桜を含めた三人は退学を取り消しできませんか?」
「なるほど自分が無理なら他人をね~。でも交渉しても無駄だよ。学則で連帯責任となっている筈だ...」
「そうですか」
「まあ今回の件は完全な個人の問題だからね。残りの三人はまだ良くわからない」
俺には見向きもせず手前のファイルに目を通しながら、頭を掻き毟っている。
「はっきり言って...僕はどっちでも良いんだよね~」
「は?」
「君たちが退学になろうが、残ろうが。決めるのは校長なわけだし」
「それでも担任ですか?」
無関心にも程がある。
ぼそりと呟いたように発したはずなのに、耳に入る声は荒かった。
「担任でも出来ないことはあるさ。いや出来ないほうが多い」
「生徒のために努力しようとは?」
「何か言われても僕の気持ちは変わらない」
「...そうですか。わかりました」
力一杯ドアを閉めたせいで、壁に反発し僅かに開いてしまう。律儀に締め直す気はない。
隙間から見えた先生は呑気に手を振り、怒りは落胆に押しつぶされた。
最低な担任だ。
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